表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/8

第7話 あいつを倒さないと、出られないってか

 ダンジョン生活20日目。


 スキル「魔力還元」によって、毒薬の量産ができるようになった。

 

 もちろん、ユリアのステータスは1時間でリセットしたりしない。

 だが、睡眠など取ることで回復するので、魔力を使い切った時は、数時間休んでもらった。


 その間に僕は、別スキルの習得や武器・道具の作成をしたりしていた。


 

 その他、色々と準備を進めて――――


 ついに、ダンジョンを脱出するための準備ができた。



「準備はいい?」


「うん……」



 ユリアの表情には不安の色もあるが、決意が窺える。

 

 この先、どんな危険が待ち受けているか分からない。

 だが、このままセーフスポットにいても、僕達に未来はない。


 運命に抗わなければいけないのだ。



「よし、じゃあ行こう!」



 セーフスポットの横穴から、ダンジョンの通路へと躍り出る。


 通路に一歩足を踏み入れた途端、光がなくなり、空気が変わる。

 湿った地面は魔石灯の光を薄く反射し、一層不気味さを増す。

 そして、暗闇の中から、何かまとわりつくような視線を感じるのだ。



 すると————


 どこからともなくマンティロスが現れた。



 早速エンカウントだ。


 僕は()()()()()()()()を取り出した。



「くらええっ!」



 僕が取り出したのは、木製のボウガン。


 引き金を引くと、木のツルで作ったカラクリが作動し、矢を射出される。

 それが、ターゲットの体に深く突き刺さった。



 『キ、キシャアアアアアッ!!』



 マンティロスは奇声を上げながら倒れる。


 そう――――矢の先端には、毒薬を仕込んであるのだ。

 

 戦闘の達人でもない僕が、毎回短剣で接近戦を仕掛けるのは無理がある。

 そこで、ボウガンを使うことで遠距離からでも安全に仕留めることができる。


 無論、ボウガンも素人では到底扱えないはずの代物だが、そこで僕のこのスキルが効いてくる。



 スキル「狙い撃ち」


 セーフスポットでボウガンの練習をしていた時に獲得したスキル。

 ボウガンを構えると、標準が視界に投影され、射撃のアシストをしてくれるのだった。


 これで、素人の僕でも、敵を倒せるのだ。


 

 マンティロスが動かなくなったのを確認して矢を回収する。

 だが、中には折れたりなどして、回収できない矢もあった。


 用意している矢の数、そして毒薬も限りがある。


 そして、この先の見えない暗闇。

 視界外からモンスターに奇襲を仕掛けられたら、今の僕たちの戦闘スタイルでは対処できない。


 だからこそ、できるだけモンスターのいるところを避けて進みたい。


 そこで――――



「ユリア、お願いね!」


「任せて……」



 ユリアはコクリと頷くと、目を閉じる。

 すると、彼女の足元から、かすかな光が滲むように広がった。


 水面に落ちた雫が波紋を広げるみたいに、何かが伝わっていく。


 それが通路の奥へ、壁へ、天井へと滑っていった。



「……あっち」



 ユリアが指を差した方向に、僕たちは歩みを進める。


 スキル「生命感知」

 ユリアが元々会得していた、魔法の一種とのこと。

 これで、モンスターの場所を感知し、モンスターのいない通路を選んで戦闘を避ける。

 


「すごいね、ユリア。おかげで安全にダンジョンを進めるよ」


「うん……」



 ユリアは少し照れくさそうに俯いている。

 彼女の話を聞いている限り、家で褒めてもらうことも少なかったのかもしれない。



『キ、キシャアアアアアッ…………!』


「おっと」



 ユリアの「生命感知」があっても、エンカウントを避けられないこともある。

 こういう時は、僕の出番だ。



「どんどん来いやあっ!!」



 僕達はスキルを駆使しながら、ダンジョンを進んでいく。

 セーフスポットから遠ざかるうちに、ダンジョンの暗闇はその濃さを増していった。


 時折、凹凸のある石床につまづきそうになったり、まるでホラー映画のような勢いでモンスターが飛び出てくることもあったが、危なげなく脅威を退けていった。


 モンスターの反応を避けつつ、必要最小限の戦闘を行う。


 そうしながら道を選んでいると――――



 大きな広場に辿り着いた。


 

「ここって――――」


 

 とてもじゃないが出口に近づいているとは思えない。

 むしろ――――ダンジョンの中枢のような。


 ということは――――


 

 ══════════【 SYSTEM 】══════════

  ダンジョンのボスが出現しました。

 ═══════════════════════════



 その瞬間、足元の石床に淡い光が走った。


 光の線は絡み合い、円を描き、幾何学模様を重ねていく。

 広場の中央を起点に、巨大な紋様が浮かび上がった。

 


「なに……あれ……?」



 指先から、背中に広がる巨大な翼に至るまで、全身は黒に近い濃紺の皮膚に覆われている。

 筋肉が異様なほど隆起しており、まるで鋼を削り出して作られた肉体のようだった。

 

 肩、胸、腕、腹――――すべてが暴力的。

 

 悪魔のような存在が、そこに出現していた。



 ──────────────

 【???】

 Lv:?

 体力:???

 魔力:???

 攻撃:???

 防御:???

 速さ:???

 

 ??? Lv:?

 ──────────────



『ウオオオオオオオオオオオオオオオッ――――――!!!』

 

「うわああああっ!?」



 周りのものを全て吹き飛ばすかのような、咆哮が広場に響き渡る。


 明らかにやばい……!

 こいつが、ダンジョンのボスか……!?


 ステータスもほとんど「?」で意味分かんねえ……!

 僕の鑑定スキルのレベルが足りないのか……!?



「こんのっ!」


 

 先手必勝。

 僕はボウガンの引き金を引き、矢を撃ち放った。


 しかし――――矢は簡単に弾かれてしまった。

 硬い体表に、あの小さい矢では刺さらないのだ。



「ま、まず〜〜い……!」



 僕とユリアは一目散に逃げ出した。

 唯一の武器が効かないことが分かれば、逃げるしかない。



『オオオオオオオオオオオ――――――!』



 後ろから大きな足音を立てて、化け物が迫ってくるのを感じた。



「――――くそっ、これでもくらえ!」

 


 叫ぶと同時に、腰のポーチから火炎瓶を引き抜いた。


 念の為に準備しておいたのだ。


 橙色の炎が短く尾を引く。

 火炎瓶は弧を描き、怪物の前方の石床へと叩きつけられた。


 石の床を舐めるように、炎が這い広がった。



『オオオオオオオ――――』


「……!」



 モンスターが足を止めた。


 だがしかし、火炎瓶の延焼範囲はそこまで広くはない。

 すぐに迂回してこっちに来るだろう。


 

 その隙に、二人で逃げようとする。


 広場の入り口から出ようとしたが――――

 見えない壁に阻まれてしまった。


 

「出られないよ……!」


「あいつを倒さないと、出られないってか……!?」


 

 僕はユリアの顔をしっかりと見つめる。

 こうなったら逃げ回ってもいられない。


 あいつを倒すしかないのだ。


 だが、僕の武器ではあいつを倒すことはおそらく難しい。

 であれば――――



「ユリア……! 僕があいつを引きつける。だから――――」



 ユリアの肩を強く掴む。

 震えが止まるように。


 僕達がこの状況を切り抜けるには、これしかない。

 


「ユリアがあいつを倒すんだ」





読んでくださりありがとうございます。



主人公がこの先どうなっていくのか、ぜひこれからも見守ってあげてください。

もしよければ↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!


ブックマークもお願いします!



あなたの応援が、作者の更新の原動力になります!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ