表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/17

第13話 で、冒険者を頼んだというわけね

「てめえら……街のど真ん中でなにをしてやがる……!?」

 


 サクトシと知らない男達の三人は、カボナッチの衛兵によってお縄についていた。

 詰所の前で正座させられて怒られているサクトシ。


 流石に情けなかった。



「このガキが変なこと吹き込みやがったせいだろ!」

 

「ディーズさん達が気持ち悪い声で追いかけるからでしょ!?」

 

「……んだとごらあああっ!」


「ああちょっ……ごめんなさい〜〜!」



 喧嘩をし始める、サクトシと男達。

 私が手紙を出している間に、こんな悪そうな人と一体何が……。


 

 ――――というかサクトシが全裸なのが一番悪いのでは?


 やっぱり、サクトシはバカだ。

 

 

「通りの店から騒音の被害届が出ている――――これはもう罰金だ」


「そ、そんな!?」


「金ねえんすよ!?」

 

「横暴だぁ!」



 罰金という言葉を聞いた瞬間、サクトシ達から悲鳴があがる。

 しかし、衛兵は顔を真っ赤にして、サクトシ達の抗議を跳ね除けた。

 


「こんだけ騒ぎを起こしておいて、タダで済むと思っているのか!?」



 サクトシと男達の顔が徐々に青ざめていった。

 


「ふええええん、どうしよう……」


「わし……昨日飲みすぎて一銭もないっぴ……」



 すると、今度は急に泣き出した。

 おいおいと、赤ん坊のように。


 詰所は通りに面していて、通行人も多い。

 憐れむような目で、皆サクトシ達を見ていた。



 ――――もう……!

 

 何だか見ていられなくなって、私は彼らの前に進み出た。



「これ……」



 思い切って、衛兵に向かって袋を差し出す。

 差し出したのはもしものために取っておいた、なけなしのお小遣いだ。

 

 

「ユリア!」


「なんだね? 君は……」


「この人――――達の知り合い」



 ほんの少し迷って、私は四人の知り合いということにした。

 

 

「罰金……なんでしょ……? これで……許してあげて……」


 

 私は震える手で、袋を押し付ける。

 罰金がどれほどの金額のものなのかは分からないが、どうかこれで許して……


 衛兵は、空を見上げてしばらくうーんと唸っていた。

 すると――――衛兵は溜め息を吐いて、その金貨袋を押し除ける。



「君のお金は受け取らないよ。今回はこの子に免じて許してやる……」



 衛兵はそう言うと、縄を解いて四人を解放した。



「次はないぞ。ほら帰った帰った」



 そして、私達を詰所の外に追い出した。

 足を止めていた通行人達も、しばらくするとそれぞれの道に戻っていった。


 その場には、五人だけが取り残されたのだった。

 


「ありがとユリア〜〜!! ぶへえええっ!?」



 サクトシに抱きつかれそうになったが、私は右手を突っ張ってサクトシを押し退ける。

 全裸で抱きつかれたくはない。


 早く服を着て欲しい。



「おんどれは女神だ……!」


「救世主だ……!」


「天使だ……!」



 他の三人からもすごい勢いで感謝される。

 そんなに大したことしてないんだけど……


 

「お嬢、この恩は忘れねえ! 困ったことがあったらなんでも言うてくれ! 腕っぷしにはそれなりに自信があるからのう!」


「え? 今なんでもって言った? そうだなぁ――――」


「おんどれには言うとらんのじゃあ!!」


「ひいっ! ごめんなさ〜〜い!」


 

 またもや、サクトシと喧嘩をし始める。


 なんだか変な人達に恩を売ってしまった。

 そんなこと言われても、別に困ったことなんて……


 

 あ、そうだ。

 


「だったら――――」





 * * *





「――――で、冒険者を頼んだというわけね」



 僕達――――サクトシ、ディーズ、ジェミー、リーの異世界ロケット団とユリアは、宿に戻ってドクトルと合流していた。

 そう、うまく冒険者のメンバーを集めることに成功したからだ。



「いやはや、大変でしたけど。なんとかメンバー候補を連れてこれましたわ」


「まず服を着なよ」



 ドクトルが冷めた目で僕のことを見ている。

 そういえば、ずっと全裸のままだった。



「おんどれがドクトルっちゅうこいつらの保護者か……」


「ああ、よろしくね」



 ドクトルがウィンクをすると、ディーズの体が、電撃でも走ったかのように震えた。

 そして、慌てて僕とジェミーとリーを連れて部屋の角に移動する。



「おい……なんちゅう()()()しとるんじゃ」


「すごいでしょ? 見てくれはめっちゃいいんですよ」


 

 見てくれはね。



「冒険者なんぞにそこまで興味はなかったが……これはアリかもなぁ」


「行けますよ! リーダーならきっと!」


「おいらも応援しまっせ!」


「あの……もしかしてあんたら――――」


「おっと! ガキにはまだ早いんじゃ。大人しく見守っとれ!」



 もしかして、もしかしなくてもドクトル狙いですか?

 なかなか身の程知らずなような……


 僕の心配をよそに、ディーズはモジモジと前に出て、ドクトルに話しかけた。

 

 

「あのぅ……」


「ん? なんだい?」


「おっ……おっ……」



 言葉に詰まっていてまるでオットセイのようになっていたディーズだったが、何かを決心したかように大声で問いを発した。



「お……お風呂ではどこから洗い始めるんでしょうか!?」

 

 

 シーン。

 全員ポカーン状態である。


 言うに事欠いてとんでもなく気色悪い質問を選んだな。


 それに対し、ドクトルはしばらく宙を見て思案した後、あっけらかんと答える。



「うーん、風呂はあんまり入らないんだ。だからどこも洗ってないよ」



 ドクトルはドクトルで、予想の斜め上の答えを返してきた。


 ここでまさかの風呂キャンかよ。

 風呂は入れよ。



「おうふ……なんだかそれはそれでいいのかもしれん……!」



 で、あんたはそれでもいいのかよ。

 だったらきっとなんでもいいよ。

 

 ディーズのことは一旦無視し、僕は冒険者パーティのメンバー集めの話に戻る。



「で、ドクトルはメンバー集めてくれたんだよね」


「ああ、私だってサボっていたわけじゃないさ」



 ほんとか?

 一体どんな人を連れてきてくれたのだろうか。

 

 すると、ドクトルは影から誰かを引きずるようにして連れてきた。


 

 出てきたのは、ジローだった。



「ちょちょちょ……ちょっと待ってください〜〜!!」

 

「紹介しよう。宿屋のオーナーの息子、ジローだ」



 当のジローは額に汗を滲ませながら、必死にドクトルの腕から逃れようとしている。


 やっぱりメンバー探しなんてしてないじゃないか。

 面倒くさくて、もうお前でいいやで選んだでしょ。



「頭おかしいんじゃないですか!? 僕は宿屋の家賃を払ってくださいって言ってんですよ!? なのに、冒険者になれだなんて――――」



 至極真っ当な抗議である。



「おぅいちんちくりん……威勢がいいようじゃのう……?」


「ひぃぃぃっ!! 怖いいいいいっ!」



 ディーズに睨まれて小さくなってしまった。

 不憫である。



「どうせ今の私達から搾り取ったところで、大した金は手に入らないんだ。だったら自分で冒険者でもやって稼いだ方が早いだろう?」


「そんな無茶苦茶な……」


 

 家賃未払いのことを棚に上げたあまりに無責任な物言いだった。


 

 すると、ドクトルはずいっとジローの方に近寄る。

 少し胸元をはだけさせて、艶かしい手つきでジローの顎をクイと持ち上げた。



「君だって、ずっとこのままじゃ駄目だって心の中ではそう思ってるんだろ?」


「……!」

  


 ドクトルに扇情的な仕草で迫られて、ジローは顔を赤らめた。


 よりによってあんな純真そうな子に対して色仕掛けって……

 なんて大人気ない人なんだ。


 

 僕にはそんなこと1回もしてくれたことないというのに……



「――――分かりましたよ……やればいいんでしょ」


「よし、決まりだ」



 ついにはジローが折れてしまい、パーティへの加入が決まってしまった。



「おい……とてもえっちなお姉さんではないか……」


「これは俺たちにもわんちゃんあるんじゃないか……?」



 異世界ロケット団の鼻の穴がひくひくと大きくなっている。

 こんなことを言ったらボコボコにされそうだが、あまりにも醜悪な表情だ。


 

 頭の中ピンク色の悪党三人組。

 10歳くらいの子供三人。

 そして家賃未払いニートの学者一人。


 

 これが……僕の冒険者パーティ――――


 我ながら、酷いメンツだった。



「まあ、ともかく――――これで冒険者パーティ結成だ」



 こうして僕は、冒険者になったのであった。




読んでくださりありがとうございます。


これからしばらく書き溜めの期間に入りますので、次回更新日は未定です。

また溜まったら放出していきます。



今作を読んで、なんかおもろそうやんと少しでも思ってくれたら↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!


ブックマークもお願いします!



あなたの応援が、作者の更新の原動力になります!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ