鳴らない鐘
>こんばんは。今日はちょっと不思議な短いお話を書きました。
「鐘が鳴らないとき、人はどう感じるのだろう?」
そんな気持ちから始まった物語です。
肩の力を抜いて、気楽に読んでみてください。
ある海島の国に「希望の鐘」があった。
人々はその鐘に祈りを捧げ、平安や愛、健康を願い、心の内を語りかけた。鐘は静かに耳を傾け、澄んだ音色で人々の心を安らげていた。
「今日は虹を見たの。みんなの願いが叶いますように……」
夕暮れになると、少女はいつも大切なウサギのぬいぐるみを抱え、鐘に微笑みながら語りかけていた。この日も彼女は鐘のそばに立ち、目を閉じてそう願った。
「どうして鳴らないの?」
鐘は沈黙したままだった。少女は目を開け、ぬいぐるみを抱きしめながら鐘を見回した。焦った彼女は手で鐘を叩きながら叫んだ。
「返事してよ!どうして音を出さないの?」
それでも鐘は鳴らなかった。少女の焦りはやがて怒りへと変わり、何度も鐘を叩き続けた。
「小さき者よ、なぜ心を荒らしているのだ。」
通りかかった長老が静かに声をかけた。
「鐘……鳴らなくなったの。」
少女は涙をこぼしながら答えた。
「鐘に何を話しかけたのだ。」
長老が尋ねると、少女は虹を見たことと願いを語ったことを伝えた。
「この鐘は人の心を映す鏡だ。正直で、愛を信じている。だが世の願いはすべて叶うものではない。欲望が重なれば、争いが生まれる。皆が同じものを望めば、世界は裂ける。……乱れた手で叩けば、鐘は沈黙し、人の脆き心を支える力を失う。」
長老は深い眼差しで少女を見つめ、諭すように言葉を続けた。
「私……鐘を壊してしまったの?」
少女は嗚咽しながらつぶやいた。
「壊れたのは鐘ではない。人の心だ。鐘はいつか再び鳴る。その時まで、静かに待ち、心を整えよ。」
長老は穏やかに答えた。そして彼は少女と共に、橙から紫へと移りゆく夜の幕に消えていった。
「ニャー」
それから何年も後、橙色の猫が鐘の上に跳び乗り、数回鳴いた。すると鐘は再び響き渡った。けれど、いつまた沈黙するのかは誰にも分からない。
>最後まで読んでくださってありがとうございます。
鐘が鳴らないとき、みなさんならどうしますか――怒る?待つ?
それとも笑って流す?
私はこのお話を通して、「沈黙もまたひとつの答えかもしれない」と思いました。
みなさんの心にはどんな鐘の音が響いたでしょうか。
是非教えてください
(*´ω`*)




