表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/95

第67章:学年末テストの悪夢と、桜の蕾


与市先生の宣告


3月上旬。1年生最後の試練、学年末テストが迫っていた。

放課後のホームルーム。

数学担当の与市星一先生が、教壇で黒板を叩いた。

「いいか、お前ら。義務教育に留年はない。どんなにアホでも2年には上がれる」

先生はニヤリと笑った。その笑顔は、完全に捕食者のものだった。

「だが、**『赤点』を取った者には、春休みを返上しての『地獄の特別補習・パート2』**を受けてもらう。……夏休みのあれよりも、さらに濃密なやつをな」

「「「ひいいいいっ!!」」」

俺(古田)と赤城烈兎は、抱き合って震えた。

あの夏の地下合宿。あれ以上の地獄があるというのか。

春休みは「コア探し」の作戦会議や、進級の準備で忙しいのに、補習になんて捕まっていられない!

「やるぞ赤城! 絶対に回避だ!」

「おう! 俺の直感ヤマカンですべてをかわしてやる!」


最後の悪あがき


テスト期間中。

俺たちは、図書室に籠もって勉強をした。

メンバーはいつもの4人(古田、赤城、なのは、塩原)。

「塩原さん! この漢文の意味を教えて!」

「赤城くん、そこは『レ点』よ。……古田くん、理科の電流は?」

「……右ネジの法則が、俺の脳内で迷子になってる」

必死だ。

今回は、裏世界(園芸部)への逃げ込みは封印した。

櫻子先輩に「テスト勉強? 頑張ってね(ハート)」と応援された手前、ズルはできない。自力で乗り越えてこそ、胸を張って2年生になれるというものだ。

そして、テスト当日。

俺はシャーペンを握りしめ、問題用紙に向かった。

与市先生の顔が浮かぶ。

(計算しろ……生き残るための計算を……!)

カリカリカリ……。

教室に、鉛筆の音だけが響く。


審判の結果


1週間後。テスト返却。

「古田。……数学、45点」

与市先生から答案用紙を渡される。

平均点は60点。赤点ラインは30点。

「……セーフ!!」

「チッ。ギリギリで生き残ったか。つまらん」

先生は舌打ちしたが、その目は「よくやった」と笑っていた(気がする)。

赤城も、なのはさんも、塩原さんも、全員なんとか赤点は回避した。

「やったー! 春休みは自由だー!」

俺たちは廊下でハイタッチをした。

これで、心置きなく進級できる。


卒業の予感


放課後。

俺は報告のために、旧校舎の裏へと向かった。

校庭の桜の木には、まだ固いが、ふっくらとした**つぼみ**がついている。

(もうすぐ、春か……)

春は、出会いと別れの季節だ。

俺たちが2年生になるということは、お世話になった3年生の先輩たちが、この学校を去るということだ。

ボランティア部の頼れるリーダー、玄田宇宙部長。

オカルト部を支配する中二病の女王、四方山ヨミ部長。

彼らはもうすぐ卒業し、それぞれの進路へ進む。

校内からいなくなれば、もう頻繁には会えなくなるだろう。

「……寂しくなるな」

俺は百葉箱の前で立ち止まった。

櫻子先輩は、ここに残る。

卒業していく生徒たちを見送り、新入生を迎え、ずっと変わらずここにいる。

「先輩。……俺は、進級しますよ」

俺は百葉箱に手を触れ、小さく呟いた。

今はまだ、会わないでおこう。

終業式の日、通知表(と無事だった数学の答案)を持って、胸を張って会いに行こう。

風が吹き、桜の枝が揺れた。

俺たちの1年間が、もうすぐ終わろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ