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第四章

 手術を終え入院することになった善三にN医師は言った。

「左腕治ってもおめは二度ど野球はでぎね。」

(なんだど?わっきゃもう野球がでぎね?)

突然のN医師の宣告に善三は困惑した。野球ができなかったら一体どうしたらいいのか。善三の左腕はギプスで真っ直ぐぐるぐる巻きに固められ、天井の滑車を経由して重さ5kgの分銅によって真上に引っ張られている。寝返りを打つこともできず、患部だけでなく左肩全体までも痛む。天井に向かって伸びている左腕のギプスを憎々しく眺めながら善三は悲嘆にくれるのであった。この左腕はもう二度と治らないのであろうか。日常生活に差支えはないのだろうか。野球ができないのなら何ができるのか。右腕だけでできるスポーツってあるのだろうか。

 自然と泣けてきた善三の病室へ夕食が配膳されてきた。仰向けに寝たきりの善三は首をやや持ち上げ、祖母が口元に運んでくれる夕食を少しずついただく。その日の献立の中に納豆汁があった。善三の家では食事に納豆が出ることは一切ない。初めての納豆。しかも味噌汁の中に入っているのだ。一口食べて善三はそれを吐いた。

(こぃは人間の食い物なのが?)

 その日から善三は病院食が一切食えなくなった。


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