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第14話.新技披露


「我が王よ」

「どうした?」

「前方に魔物の大群を発見しましたが、私が先んじて掃討……「いや」」


 その言葉に割って入る大和。


「数は?」

「恐らく百は下らぬかと」

「久しぶりの戦闘だ。ヘッドレスと戦闘にならないとも限らないから、体を温める意味も含め俺も戦う」

「承知いたしました」


 しばらく走ると、見えてきたのはゴブリンのような魔物の大群だった。


「いや……」


 あれは多分ゴブリンじゃない。

 前までの流れで言うとキメラっぽかったのはネメアって名前だったし、あのゴブリンみたいなやつも、この世界の特殊な名前が……


「ゴブリンじゃな」

「ゴブリンなのか!?」


 大和の気の抜けたツッコミと共に始まる戦闘。


「はぁッ!!!!!」


 虚撃(ヴォイドショット)を連続で放ち十体のゴブリンを片付ける大和。


「……」


 対し、幻惑の王は、無言のまま優雅に指を鳴らしゴブリン十五体を灰に帰す。


「お前ほんとに俺の配下になってもいいのか?」

「はい?」


 あまりにも垣間見える戦闘力の差に頭を抱えそうになる大和だったが、久しぶりの戦闘ということもあり、気を抜かず淡々とゴブリンを各個撃破してゆく。


「大和よ!!気を緩めるのは危険じゃがこやつらは格下。ここで新技を編み出してどうじゃ!」

「無茶言うなよアマテラス!!」

「その(ヴォイド)という力。弾として撃つことも可能じゃが、殲滅にも向いていると妾はふんでおる!」

「……殲滅か」


 大和は地面に片手を添える。


虚ノ門(ヴォイドゲート)


 突如として地面に現れた黒きオーラを纏った門は、ガタガタと音を立て開く。


『ギギギ!!!』


 ゴブリンたちは叫びながら地面に開いた門に足を取られ、ヌルヌルと引き込まれたかと思ったらギィーっともんが閉まり霧散する。


「素晴らしい!!さすが我が王!!」

「なんか禍々しいけど、もう一個やってみるか」


 大和は、残りの十二体を殲滅するべく手を天に掲げる。


虚撃(ヴォイドショット)霧雨(レイン)


 虚撃で放つ弾を細分化し、広範囲の上空から無数に降らせることにより確実に命中させることが可能な技だが、一撃一撃の威力が大してないため回避のしようはいくらでもあるため、知性のない格下相手にしか使えない広範囲殲滅技なのが難点だ。


「未知のアルカナをこうも使いこなしているとは……さすが我が主でございます!」

「おいおいあんま褒めるなよぉー」

「ゴブリンも倒したし往くぞ阿呆。」

「阿呆って!!」


 軽口を交わした二人。

 気を取り直して三人は、再び目的の地へと駆ける。


「この調子ですと恐らく、一時間後には到着するかと」

「了解」


 凄まじい速度で入れ替わる景色。

 この世界に来て一ヶ月ほどだが、未だにこの速度でみる世界の景色にはなれない。


「ふむ、ヘッドレスのリーダーらしき人物についての情報が天野から送られてきたのじゃ。(えん)と名乗る二刀流の男。年齢は恐らく大和……お主と同年代じゃ」

「その歳で組織のリーダーを……」

「奴らの目的は単純。自衛じゃ」

「自衛??」

「奴らヘッドレスは王不在の組織でありながら、他の七人の王の組織に匹敵する力をもつヘッドレス。あの日に家族をなくした者……老若男女問わず招き入れ規模を拡大してきたのじゃが、規模故に内部分裂が起きている」


 移動する足を緩めることなくアマテラスは大和の後方から言葉を続ける。


「閻を筆頭に他に関わりを持たず現状を維持しようとする保守派。王紋を持たずとも王に匹敵する閻の力を利用して関東全域を掌握しようと目論む過激派」

「人の力に頼って征服しましょうって……むしが良すぎねぇか」

「それがのぅ……その過激派のトップは閻の兄……(じん)なんじゃ」

「兄貴か……そりゃ、やりにくいよな」

「うむ、そこまで踏まえて今まで動きを見せなかったヘッドレスがアジトの移動を始めたということは……」

「閻が結局逆らえず、過激派に意見が飲まれた……つまり防衛都市の急襲??」

「あくまでその線が高いということじゃ」

「戦闘になる可能性は高いな」


『うむ』と頷くアマテラス。

 そこで今まで黙って話を聞いていた幻惑の王が先頭から口を開く。


「我が王よ」

「どうした」

「そろそろ、ヘッドレスのアジトに到着いたします」


 幻惑の王のその言葉に、大和とアマテラスは気を引き締める。


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