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2月15日(13)

新年あけましておめでとうございます。

中断していた投稿を再開しました。

***


 ゼックスが完全に消滅した後、俺たちは七海を連れてビルの出口を目指していた。

 俺も芽衣も体中に打撲、切り傷、火傷を負い、無傷の部分はもうほとんど残っていない。それに疲労も限界を超えていて、今にでもぶっ倒れそうだった。

 でも、そんな極限の状態でありながらお互いの表情は晴れやかだった。


「ようやく終わったな……」

 隣をゆっくり歩く彼女に話しかける。

「うん、終わったね……」

「芽衣、ありがとうな。今回も俺を助けてくれて」

 彼女がいなければ、俺はそうそうにやつに殺されていた。最後のだって、彼女の力がなければなし得ないことだった。

 芽衣は静かに首を振る。

「ううん……、助けられたのはわたしだよ。最初、あいつの魔導からわたしを庇ってくれたでしょ? だから、ありがとう」

 そういえば、それでこんな全身に火傷を負ったんだったっけ。

「はは……、俺たちお互いに助けられてばっかだな」

「あはは……、ほんとそう。でも、彰とそんな関係になれて嬉しいな」


 俺もそれは感じていた。

 今回は彼女を守ることができた。

 彼女の隣で、彼女とともに、戦うことができた。

 それがとてつもなく嬉しかった。


「それと……、もう一つお礼を言っておきたいことがあるの」

 隣を歩いていた芽衣が顔を俯かせた。

「ん、もう一つってなんだ?」

 気になって問いかける。


「――――わたしの側にいてくれてありがとう」


 ああ――

 それは彼女と恋人になったときにした彼女との約束だった。

 恋人になって一番初めにした約束で、一番大事な約束だ。


 俺はそっと彼女に手を伸ばした。

 小さくて、柔らかくて、とても愛しい、彼女の手をぎゅっと包み込む。


「離れるわけないだろ。というか、絶対に離さない」

 手を握った瞬間、彼女も指を絡ませてきた。そして、ふっと顔を綻ばせる。

「うん、ありがとう――」

 彼女の笑顔を見て、自然とほほが緩む。


 絶対離すもんか。


 彼女の手を握りながら、改めて強く誓う。


 自信満々で、ちょっかいばかりかけてきて――――、

 正義感が強くて、気遣いができて、家庭的で――――、

 魔導の天才で、お嬢様で、人づきあいが上手で――――、


 そして、いつも俺の味方でいてくれる――――


 そんな彼女が大好きなのだから。


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