2月15日(13)
新年あけましておめでとうございます。
中断していた投稿を再開しました。
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ゼックスが完全に消滅した後、俺たちは七海を連れてビルの出口を目指していた。
俺も芽衣も体中に打撲、切り傷、火傷を負い、無傷の部分はもうほとんど残っていない。それに疲労も限界を超えていて、今にでもぶっ倒れそうだった。
でも、そんな極限の状態でありながらお互いの表情は晴れやかだった。
「ようやく終わったな……」
隣をゆっくり歩く彼女に話しかける。
「うん、終わったね……」
「芽衣、ありがとうな。今回も俺を助けてくれて」
彼女がいなければ、俺はそうそうにやつに殺されていた。最後のだって、彼女の力がなければなし得ないことだった。
芽衣は静かに首を振る。
「ううん……、助けられたのはわたしだよ。最初、あいつの魔導からわたしを庇ってくれたでしょ? だから、ありがとう」
そういえば、それでこんな全身に火傷を負ったんだったっけ。
「はは……、俺たちお互いに助けられてばっかだな」
「あはは……、ほんとそう。でも、彰とそんな関係になれて嬉しいな」
俺もそれは感じていた。
今回は彼女を守ることができた。
彼女の隣で、彼女とともに、戦うことができた。
それがとてつもなく嬉しかった。
「それと……、もう一つお礼を言っておきたいことがあるの」
隣を歩いていた芽衣が顔を俯かせた。
「ん、もう一つってなんだ?」
気になって問いかける。
「――――わたしの側にいてくれてありがとう」
ああ――
それは彼女と恋人になったときにした彼女との約束だった。
恋人になって一番初めにした約束で、一番大事な約束だ。
俺はそっと彼女に手を伸ばした。
小さくて、柔らかくて、とても愛しい、彼女の手をぎゅっと包み込む。
「離れるわけないだろ。というか、絶対に離さない」
手を握った瞬間、彼女も指を絡ませてきた。そして、ふっと顔を綻ばせる。
「うん、ありがとう――」
彼女の笑顔を見て、自然とほほが緩む。
絶対離すもんか。
彼女の手を握りながら、改めて強く誓う。
自信満々で、ちょっかいばかりかけてきて――――、
正義感が強くて、気遣いができて、家庭的で――――、
魔導の天才で、お嬢様で、人づきあいが上手で――――、
そして、いつも俺の味方でいてくれる――――
そんな彼女が大好きなのだから。