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2月8日(5)

すみません、とうとう日付をまたいでしまいましたm(_ _)m

毎日投稿の予定だったのに……

 先ほどの彼の動きを見て確信する。


 ――――彼女からもらった薬袋。これがその正体だ。


「いきなりなんだっ⁈」

 武が声を荒げる。

 そんな武の様子を確認して、俺は口の端を上げた。

「さっきのは薬袋。屍鬼しきが嫌がる薬が中に入っている。……そして、お前がそれを嫌がったのが、お前が屍鬼である証拠で、今回の事件を引き起こした犯人である証拠だ」

「っっ⁈」

 武が眉をしかめた。

 俺は言葉を続ける。


「武はいつも琢磨と一緒に、朝は俺に話しかけに来てくれていた。でも、つい最近、俺のところに来なかった日が二回あった」

 武の顔が一層険しくなった。手のひらから血がにじみ出るほど強く拳を握りしめている。

 俺は、探偵が犯人を追い詰めるときのように、ひとつひとつ丁寧に言葉を紡いでいく。

「一月二十七日と二月八日だ。そして、その日はいずれも俺が間違って薬袋を学校に持ってきてしまった日だった。お前はこの薬袋が嫌で俺に近づいてこなかったんじゃないか?」


「……」

「……」


 二人の間に沈黙が流れる。

 その間も俺は武から一切、目を離さなかった。

 武は瞳の奥に俺を映しながら、やがて、ふっと笑った。

「ついにばれたか……」

 その顔には諦念が混じっていた。

「……認めるんだな」

 俺の問いかけに武は両手を上げた。


「ああ、認めるとも。そうだ、俺は屍鬼だ。まあ、他の屍鬼とは多少異なるけどな」

「人格があるところか?」

 直後、武が再び笑みを浮かべた。

「よくわかったな。ああ、普通の屍鬼は人格を持たず、ただ本能的に人を襲い喰らうが、俺は違う。ちゃんと人格があるし、他に目的があればむやみに人を襲って食べたりしない。まあ、突然変異した屍鬼ってところかな」

「なるほど、その他の目的が屍鬼づくりってことか」

「ああ、正解だ。俺の目的は屍鬼の生成。人を襲って、その場で心臓をえぐり、そいつを屍鬼にしていた」

 やっぱり思った通りだった。

 ただ、一つ聞いておきたいことがある。これについては、俺がずっと考えても答えが全く分からなかった。


「なあ、一つだけ聞いていいか?」

「ああ、もちろんいいぜ」


「どうして屍鬼づくりを始めたんだ?」

 俺がそう問いかけると、武は顎に手を置いて思考に耽った。

 やがて、考えがまとまったのかおもむろに口を開く。


「そうだな……。俺にもよく分らんというのが正直なところだな。俺たち怪異は人間とは全く異なる存在だし、それに本来、屍鬼は食欲以外の感情を持っていないからな。強いてあげるとすれば……」

 そこで、武はどこか遠くを見つめる。

 その目はとても寂しそうだった。


「……仲間が欲しかったのかもな。俺と同じように死体として生きる同士が。ま、俺みたいな人格をもった屍鬼はできなかったし、逃げ出して勝手に人を襲ったやつもいたけどよ」


「……」


 その逃げ出した屍鬼というのが、あのとき俺がビルで襲われた屍鬼だろう。

 そうやって一人納得していると、不意に武の目が光った気がした。


「……さて、これで彰をここから出すわけにはいかなくなったな」


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