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2月8日(2)

***


『今日は家の用事があるから、事件の調査に行けない。あんたもまだ病み上がりだから、明日から調査を再開しよう』


「……」

 スマホのアプリを開き、二時間ほど前に送った彼女宛てのメッセージを眺める。

 メッセージには既読の文字がついていた。


「よし、あいつも見たな」

 ほっと胸をなでおろす。


 これで彼女は家に帰るはずだ。

 彼女は昨日、退院したばかり。医者からも過度な運動をするなと言われている。

 俺はこれから一連の事件を起こした犯人と会うんだ。彼女に無理をさせたくない。


「さて……」

 振り返り、背後にある貸倉庫を見上げる。

 すでに日はすっかり落ちていて、一定の間隔で設置された外灯がアスファルトの地面を白銀に照らす。

 就業時間を過ぎた今、あたりに作業員の姿もない。そうすると、街から離れたこの場所では人工的な音がほとんど耳に入ってこなかった。


 嵐の前の静けさ――


 よく小説や漫画で目にするこの言葉が思い起こされる。

 俺は手に持っていた(ブツ)を強く握りしめる。

 今までしてこなかった覚悟を決める。


「……行こうか」


 誰にともなく呟くと、そのまま進み、重たい貸倉庫の扉をゆっくりと開けた。


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