表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/70

1月26日(1)

 今朝、一階のリビングに行くと、七海はおらず、母さんと父さんがいた。何やら二人で話し合っていたようだが、俺が姿を現した途端、室内は無言になった。

 母さんは気まずそうに目をそらし、父さんは咳払いをして新聞を読み始める。

 いつものあの重たい雰囲気が室内を支配する。

 やはり、この空気は苦手だ。今朝は七海がいない分、さらに憂鬱な気分にさせてくる。


「……」


 トーストをもらうべく、キッチンに向かって歩く。

 だが、食卓を横切ろうとしたとき、父さんが珍しく口を開いた。


「なあ、彰」


「何ですか?」

 父さんの言葉に足を止める。


「昨日はどこに行っていたんだ。珍しく遅かったじゃないか」

 父さんは見ていた新聞から視線を上げることなく尋ねてきた。

「友達の家です」

 俺も父さんとは目を合わそうとしない。


「……ふん、役立たずのお前にも友達ができたか」

 

 役立たず――――


 これはあのときから父さんに言われている言葉だ。

 だが、ここで何か言い返しても全く意味はない。

 ぐっと拳を握りしめる。


「言いたいことはそれだけですか?」

 自然と棘のある口調になってしまった。

 父さんは相変わらず新聞から目を離そうとしない。

「今日の夜は家族で外食するつもりだ。昨日、七海がテストで満点を取ったからな」

「……、分かりました」

 父さんの言う「家族」に自分は含まれていない。


「つまり、今日の晩ご飯は自分でどうにかしろ、てことですね」

「ああ、そうだ」

「用件は以上ですか?」

「もうない。さっさと学校に行け」

「……」

 父さんから解放され、いつものように母さんからトーストを受け取る。


「それじゃ、行ってきます」


「……」


 今日も返事は帰ってこなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ