1月24日(2)
「ねえ、タピオカジュースもあるし、一旦どこかで休憩しようよ」
彼女は先ほど受け取ったジュースを顔の横に掲げる。
「はいよ」
購入したタピオカジュースを飲むため、俺たちは近くの公園へと移動した。
二人並んでベンチに腰掛ける。
彼女は腰を下ろすと、まずは一口とマンゴータピオカを口に含んだ。
「んー、やっぱり、美味しいぃぃ」
バタバタと足を震わせて喜びを表現している。
「マンゴーとタピオカの異なる甘さがうまい具合にマッチしてるんだよねー」
「お気に召したようでなによりだよ。ん、ほら」
そう言って、俺は自身の抹茶タピオカを彼女に差し出す。
「ん?」
どういうことか分からず、彼女は怪訝な表情を浮かべた。
「少し飲んでみるかってこと。あんた、さっきはこれと悩んでいたんだろ?」
「えっ、どうしてわかったの?」
「あんたが抹茶とマンゴーとで視線をさまよわせていたからな」
「……」
彼女はぽかんとしている。
彼女にはよくちょっかいを掛けられているが、こんな表情は初めて見た。
してやったり感がして、ちょっと気持ちいい。
「でも、いいの?」
「あんたがタピオカ飲みたいって言いだしたんだろ?」
すると、彼女は笑みを浮かべて、
「ありがとう」
そう言って、俺から抹茶タピオカを受け取る。
抹茶タピオカを受け取ると、彼女はストローに口をつけて、ごくごくと中身を口に含んだ。
「んー、やっぱり、こっちも美味しいね」
「そりゃ、よかったな」
彼女から抹茶タピオカを返してもらい、俺も中身を堪能する。
彼女の言う通りこれは美味い。
「それにしても、笹瀬くん、意外と周りを見ているし、気配りできるよね」
「意外って言われると失礼だな……」
「普段からそうしていればいいのに……」
「ほっとけ」
そうして俺たちは、タピオカジュースの味を楽しんだ。