思ったのと違うくない。
「今日もまた、車への細工をし、爆発させるという事件がおきました。犯人はいまだ掴まっておらず、警察はなおも近隣住民に情報を…」
「おいおい物騒な世の中だな。まぁ今日もサビ残の俺には関係ねーけどな。あー割に合わねーわこの仕事。」
そんなことを毎日いいながら、同じ一日を過ごす毎日。
俺の名前は海波春季。車の営業やってるどこにでも居るモブキャラだ。ろくに就職活動もせず、昔から話が上手いと周りから言われてたので、この仕事を選んだ。すぐに受かって就職活動を辞めたかったと言うのが本当の理由であることは隠しておこう。
「あー。社長になりてーな。働きたくねーな。らくしていきてーな。」
「春季、またそんなこといってんのかよ。
俺らは会社の犬なんだから、黙って働くしかねーんだよ」
この夢もクソもないことを言っているのは同期の河森だ。こいつは俺より成績が良く、出世ルートを歩んでいる。
「はいはい。河森くんのいうことが正しいですねー。黙って今日もはたらきまーす。外回りいってきますわ。」
ブルルン、ブルルン
「あれ、バッテリーあがったかな。くそーめんどくせーな。」
ブルン、ブルン、ブルン
「あれなんか変だな。まてよ。煙でてんじゃん。」
ガガガガ、ボンボンボン、ドーン。
「待ってこれ。やられてんな。事件のやつじゃん。あーしょうもない人生だったな。」
「おい。おい。浸ってんなよ。」
「あーなんだかあんまりくるしくねーんだな。あっという間だっからかな。」
「おいこら。こっちをみろって。きいてんのか。」
「あー。もっと色々しとけばな。」
「あれきこえてないかな。きこえてんだろ。しゃちーく、しゃちーく…」
「誰が社畜じゃーい、お前誰なんだよ。人が人生を振り返ってるときによ。」
「やっぱ聞こえてんじゃん。おほん。私は神だ。人間よ貴様は選ばれた。もう一度やり直すのだ。人生を。」
「え、これ、よくある転生するやつ。やっば!チート能力ゲットして異世界で活躍するやつじゃん。おけおけ!すぐやりなおすわ。早くして。説明とかいいから。」
「あ、いや思ってるのと違うかも」
「いいから早くしろよー!」
「え。まじ。ほんとにきかなくていい?
もういっちゃうよ?知らないよ?」
「いいから、善は急げっていうでしょ。」
「まじしらねーからなー。あとから恨むなよ。」
プォーーーーン。
ガサガサガサガサ。
「やっば、ついにしちゃたか異世界転生!」
そこはまるで大都会のようなビルが立ち並ぶ場所だった。
見渡す限りビル、ビル、ビル…
「おい。これほんとに異世界か…」
「すまん。間違って200年後の未来に転生しちゃった。」
「なんでやねん!今までとかわんねーじゃねーかよーー時代進んだだけじゃん!」
「そんなこといわれても。急かすからだろ。
まぁ、お詫びの力はつけてるから頑張って!」
そう言い残し、神の声は聞こえなくなった。
「おいっ!おいっ!まじかよ…一体どうすりゃいいんだよ。そうだ!なんかお詫びの力がとか言ってたな。ステータスみたいなのが見れんのか?」
ブォン。営業能力。トークレベル♾交渉術レベル♾メンタルレベル♾………
「まてまて。この能力なんだよ。営業能力って。普通、魔法とかじゃねーのかよ!」
俺はこうして、異世界転生ではなく、単純に200年進んだ現代に蘇ったのだ。