◯地政基礎2ー2:中立地区、センタバラードについて
センタバラードは帝域領のように扱われることもあるが、場所的に聖圏と接しており、実際は南の“カースエイド”と似たような中立的地域である。この街のそうした立場的な中途半端さは目下、一時停戦中にある両大国が紫境線を制定する際にできあがった。
両国が境界の制定で揉めていたところ、現在の商工機関取り纏め役が“空白地帯”としてここを残させたのである。どうやら取り決めの最中でこの街の存在を一時的に議場から忘れさせ、協定が結ばれるどさくさで自治権を確立させたらしい。そのために会議を散々に混乱させて無駄に時間を消費させたとも言われる。随分と大胆かつ剛腕なものである。
そうした経緯から。歴史の重みによって自治しているカースエイドとはここが決定的に異なっており、「なんだか知らないうちにふんわりと自治してしまった」この街は非常に“ゆるい”気風がある。表立ってみる憲兵や兵士などはどこかボンヤリとした様子であるし、城壁などもなく至る所から街に入ったり出たりが可能。見張りなんてものもない。
そのため行き交う人々の様相は一層に様々だ。これを良く言えば分け隔てない自由な街であるし、斜に見ると混沌とした怪しい街とも言える。住居も乱雑に建てられていてあまり統一感がない。
もっとも、混沌とした感じは見た目だけのことではなく。この街に最低限の“秩序”なるものをもたらす組織については経歴から実力まで多様な者が在籍しているようだ……。
そうした街でもわりかし治安の良い場所。高級な住宅地にしっとりと咲いた美しい花弁のような気品ある場所こそがカフェ・ドゥ・マタンゴなのである。




