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森のくまさん3

森の中に一匹のくまがいました。

くまくんには 森の中に友だちがいっぱいいました。でも その中でも 仲がいいのが ありさんと ぶんぶんでした。でも それ以上に仲がいいのが

くまくんの 木のお家の隣に住んでいる 女の子のくまでした。小さい時から ずっと知っていて 朝起きたら おしっこにいく事よりも ご飯を食べる事よりも 歯磨きをする事よりも 早くに隣に行くのが決まりだった。う〜ん おしっこは先だった。

くまくんが 隣に行くと 決まって入り口の隣にある くまさんの部屋の窓が空いている。その窓から中をのぞくんだ。でも、決まって 女の子のくまさんはいないんだ。ううん 正確に言うと くまさんは かくれんぼをしてるんだ。その部屋のどこかにかくれていて くまくんがそれを探すんだ。でも 窓からでは なかなか見つけられないので くまさんは 必ず しっぽを少しだけ見せてくれているんだ。その ちょっとみえているしっぽを探すのが大変なんだ。でも 見つけた時の喜びといったら まさしく 1日の始まりってところかな。

かくれているのが 机の下だったり時には 布団の中だったり ベットの下だったり あ、そういえば壁とタンスの間だったりした時もあったなあ。くまさんは いろんなところを見つけてかくれているので なかなか見つからなかったり 雨の日なんかは 葉っぱの傘をさしながらさがすから大変なんだ。

あんまり 見つからなくて 泣きそうになると かくれてたしっぽが少しでてくるんだ。「優しいよなぁ。」

見つけると 「あ、くまさん見つけた!」て言うんだ。

 そうしたら「あ〜あ。みつかっちゃった。くまくん 見つけるの上手だね。」て 言いながらぼくの手を握ってくれるんだ。その時の 嬉しさは ぼくの大好きな はちみつを食べている時より幸せなんだ。

 だって ぼく くまさんの手の温もりと あの笑顔に メロメロなんだ。小さい時から ずっと あの笑顔は変わらないんだ。

 それがすんでから お家に帰って ご飯を食べて 葉っぱの歯ブラシで歯磨きをするんだ。それから くまさんと遊んだり 散歩に行ったり ありさんやぶんぶんのところに行ったりするんだ。

 くまさんとは お花畑に行ってお昼寝をしたり 小川に行って魚釣りをしたりするんだ。お魚釣りの時はかっこよく釣って お魚をプレゼントしたいんだけど どういうわけか そこにお魚がいても釣れないんだ。竿では全然釣れないので 手でとろうと思うんだけど やっぱり手にお魚が触れてもとれないんだ。そんなぼくだけど くまさんはいつも 「大丈夫?転ばないでね。」って 優しんだよなぁ。

 だから 冬が来る前 いよいよ お別れっていう日は 朝 起きても すぐには 会いに行けないんだよなぁ。

 だって 会いたいけど 会ってしまったら 会えなくなるし‥‥

 でも やっぱり 会いに行くんだ。

 その時だけは くまさんはかくれないで窓から ぼくがくるのを待っていてくれるんだ。

「おはよう。くまくん」て、にっこり笑ってくれるんだ。

「おはよう。くまさん。遅くなってごめんね。」と いい終わるまでに くまさんの顔が霞んで見えるんだ。

そして いつものように くまさんの手を握って くまさんの手の温もりを感じるんだ。そうしていると くまさんの目から光るものが見えるんだ。

しばらく そうしているうちに だんだんとお別れの時が迫ってくる。

 お日様が 高くなってくる頃

「じゃ そろそろ お家の中に はいるね。」て、くまさんが言うと ぼくの手が くまさんの 光るものでいっぱいになるんだ。くまさんの光るものを見ていると余計に悲しくなってくるので 勇気をだし くまさんの手を握り返して 「また 春になったらね。」て、言ってあわてておうちに帰って眠りにつくんだ。

くまさんの 手の温もりと光るものが消えないうちに 眠りにつくんだ。

そうしたら 夢の中でも くまさんに会えるから。


「おはよう」

海を渡って帰ってきた つばめさんが

くまくんのおうちの窓をつつきました。

 暖かい春がやってきたのです。

くまくんは おおきな あくびをするのと同時に 飛び起きて 外に飛び出しました。 もちろん くまさんに会いに行くためです。

くまくんのいえをでて まっしぐらにくまさんのおうちの窓の方をみると 「あいてない!」

いつも あいているくまさんのおうちの窓があいてないのです。

あわてて 窓の近くまで行っても ぴたっとしまったままでした。

「どうしたんだろう。」

「今まで こんな事は一回もなかった。」

「いつも 絶対に窓があいていたのに。」               

「どうしたんだろう。」

「まだ ねてるのかな?」

「そんな事はない。くまさんは いつもぼくより早起きだもの。」

「病気なのかな。」

「それとも ぼくの事が嫌いになって開けてくれないのかな。」

「ぼく 何かしたかな。」

くまくんは くまさんと別れる時の事を 一生懸命思い出してみた。

「ぼくが いつもより 強く手を握ったからかな。」

「それとも バイバイって言わなかったからかな。」

「でも くまさんはそんな事で 怒ったりしないし‥‥」

「じゃ やっぱり 病気なんだ。」

「どうしよう」

くまくんは 思い切って くまさんのおうちの窓をたたいてみた。

でも 何も返事はなかった。

「くまさん ぼくだよ。大丈夫?」

て 言ってみた。

でも 何も返事はなかった。

「あ〜 どうしよう。」

「どうしよう。」

「どうしよう。」

「もう くまさんと会えないんだ。」

と 思うと くまくんの目からは 光るものが次々にあふれてきた。

「あー もう会えないんだ。」

「会えないんだ。」

くまくんの声は だんだんと大きくなってきて 足下は光るもので 今にも水たまりが出来そうになっていた。

 その時、

「どうしたの?」 

くまくんの後ろから 聞き覚えのある声が聞こえてきました。

「え!」

「今の声は‥‥」

「でも そんなはずないし。」

「ぼく 悲しすぎて くまさんの声が聞こえるようになったのかな。」

「それとも 頭の中が くちゃくちゃになっちゃったのかな。」

くまくんの目からは さらに 光るものが出てきて 声も大きくなってきました。

「くまくん 喉が痛くなってしまうよ。」と 聞き覚えのある声が 再び聞こえてきました。

くまくんは 恐る恐る 後ろを 振り返ってみました。

「わ!」

「くまさんだ。」

「いやいや そんな事はない。」

「ぼく 目までおかしくなったんだ。」

と 目をこすりはじめた。

でも 何度見ても そこには 大好きなくまさんが そこにいた。

「え!」

「ほんとに くまさんなの?」

「そうよ。くまくん どうしてそんなに 大きな声をあげていたの?」

「それに くまくんの足下 大きな水たまりができてるよ。」

「だって だって‥‥」

「くまさんのおうちの 窓が ぴたっとしまっていて 声をかけても 返事がないから」

「だから ぼく‥‥ くまさんが病気だと思って‥」

「だから ぼく‥‥‥」

そう言いながら くまくんの声はだんだんと小さくなってきて 目からは光るものがこぼれてきました。

「ごめんね。」

そう言いながら くまさんはくまくんの手を握り締めてくれました。

「あー くまさんの温もりだ。」

そう言いながら くまくんの目からは光るものがあふれてきました。

「泣かないで。」

「そんなに泣いたら プールになってしまうわよ。」

「えー 」

くまくんは あわてて足下をみた。

そうすると プールまではいかないけど 水たまりが出来そうになっていた。

くまくんの光るものは あわてて止まってしまった。

「止まったね。」

「うん。」

「くまさんの温もりで止まったよ。」

「よかった。」

「え!」「それより くまさん どこから きたの?」「くまさんのお家の窓は閉まっていたよ。」

「ごめんね。」「実は くまくんと 別れてから 寝ようかなと思っていたら 床の下が どんどんと音がしてきて 見てみると もぐらさんが床の中から出てきたの。」「あら もぐらさんどうしたの‥‥」と 聞いている内に お家の中に水が入ってきてしまって もぐらさんに聞くと どうも 土の中でもぐらさんたちが 鬼ごっこをしている間に水が出てきてしまって 上に上に掘っていったら ここにきてしまったらしいの。

あわてて 水を止めたんだけど お部屋の中が べちゃべちゃになってしまったので あわてて 違う木のお家を見つけて そこに変わったの。

「大変だったんだね。」

「ぼく 何にも知らなくて お手伝いもできなかったね。」

「大丈夫。」「鹿さんやきつねさんそれにうさぎさんも手伝ってくれたから   助かったの。」

「だから 春になったから 美味しい食べ物いっぱい集めて お礼しなくちゃと思っているの。」

「じゃ ぼくも手伝うよ。」

「いいの?」

「うん。」「お家を作るのを手伝えなかったから。」「ぼく いっぱい集めるよ。」

「ありがとう。」

「じゃ さっそく‥‥」と 言いかけた時 くまくんのお腹がグーとなった。

「くまくん 朝ご飯食べた?」

「あ! 忘れていた。」

「じゃ 朝ご飯食べてからまた来るよ。」

「ありがとう。」「待ってるね。」「でも あわてて来てお家間違えないでね。」

「あ!」「そうだね」「また お家の前がお水でいっぱいになったら大変だもんね。」

くまさんが にっこり笑っていた。

それをみて くまくんも にっこり笑った。

そうすると くまさんは さっきよりも もっと 笑顔になってくれた。

ぼく やっぱり くまさんの笑顔大好きだな❤️

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