I love you.
何故、私がこんなに苦しまなくてはならぬのか。甚だ疑問に思う。もっと他に怠惰な暮らしをしている人達もいるだろう。何故私が彼等よりも苦しまなくてはならぬのか。いっそのこと近所の川に身を投げ入れようかとさえ思った。が、私は残念ながら死ぬ勇気さえない。ただただ雨を避けながら日のない国に居続けなければならない。そんなことを思いながら、テレビを見る。この生活に終わりはあるのだろうか。最近、月でさえ眩しく感じ始めた。彼女は闇の中で孤独に輝いているのだ。他の星については名前は知らない。月だけは知っている。しかし、月は知らない。
テレビの音が少しうるさい。リモコンへ手を伸ばす。彼は言う。「いつまでも月に憧れてちゃいけないよ。彼女に手は届かないんだから。」うるさい。そんなことは重々承知だ。
「いや、分かってないね。君は。口だけでそう言いつつも、心の中ではどこかで希望を探してるのさ。」だまれ。それ以上喋るな。「君には才能はないのさ。とっとと見切りをつけなきゃ。」喋るなといっただろう!黙れ!「人の意見も聞かないと。だから君はいつまでたっても負け組なんだ。君が勝ち組になるだとは思わないよ。だけど、人並みの生活なら――」テレビ消した。私は窓を開けて月を見続けた。