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実は私(俺)たちは、

「さぁ、偽の情報を伝える日がやってきましたー!」

 私は笑顔で拍手をした。テンション高めじゃないとやってけない!

「…。」

「反応して!」

 わたしだってこんなの嫌なのに…。「いつまでたってもこのウジウジ男は!!でかいのは胴体だけかよ!」

「おい、声に出てるぞ。」

「あっごめぇん!ついうっかり!てへ!」

「うぜぇ」

 なんとでも言いなよ。

 私は天才女優!今日の私は三和の事が好き!以上!

「あっ…ごめん…。吐き気がするから休むわ。」

「今、登校前!電車遅れるぞ!?」

 相談会議に長く時間を取られすぎたため、普段なら絶対にしない遅刻ギリギリの時間に出るはめになった。

 熱心になるのはいいけど佐江川と付き合っているというあらぬ誤解を生むぞ!まぁ、その誤解を解くためにも違う嘘はつくんだけど。

「あーあ。私は美里一筋なのに胸が苦しい…。何であんなことを言わなければ。」

 頭をかかえながら急いで駅に向かう。

「それ、俺の好きな人に対しての侮辱かよ。」

「えぇ?何?好きな人けなされて怒ってんのー?可愛いなぁ。」

「やめろ。」

 まっ。私だって怒るけど。

 誰かがその人のことを好きになってもみんながその人のことを好きになるわけじゃないからね。いくら私が三和にときめかなくともコイツにとっては違うんだろう。


「「はぁ…」」

 二人同時にため息をつく。

 駅には無事着いた。あと、二分ぐらいの余裕はある。

「お前が言い出したんだからな?」

 恨むようにジトーと睨みつけてくる。あれから『やめよう』とは一言も言わなくなった。ウジウジはしているけど。

「はいはい。分かってますよ。」

 私もはっきりさせましょうか。

 私は美里が好き。ハッピーエンドはやっぱり自分が結ばれなくちゃね。

 

ーーー

「よっ!」

 電車を降りると三和に声をかけられた。同じ電車に乗ってたんだな。

「おー。三和、おはよう。」

 不自然じゃないか?今の俺。

「最近お前らほんとにいつも一緒にいるな。」

 苦笑いしながら三和は芹川の方をちらっと見て言った。

「そーかなぁ?」

 芹川はいつもの調子で返事をする。さすがだな。

「三和はいつもこんな遅い時間に乗ってるのー?」

「間に合えばいいんだよ!」

 にかっと笑う。楽しそうだな。


「一緒に行こうぜ。」

 三和、それはもちろん俺にも言ってくれてるんだよな?自信が無くなってくる。…今お邪魔じゃないよな?それに()()()なら気をきかせて二人っきりにさせるところだよな?

 そう思ってたら芹川に肘で突っつかれた。

「いって!」

(何余計なこと考えてんの?行くよ!)

 目でクイっと合図ると「もちろん!」と言いながら三和のもとへとかけていった。


「お前らほんとに最近仲いいよなー?」

 疑わしそうな目で見てくる。しつこい!そこまで疑うか!だが…俺はその視線に耐えられず思わず目をそらした。誤解なんだよ。

「うーん?ちょっとね!恋愛相談してるから♪」

「おい!」

 勝手に横で話を進めるな!俺は心の準備がまだできてないんだよ!

「三和は知らないんだぁ。佐江川、親友にも言わないなんて薄情だなぁ。」

「おい。」

 色々と俺の評価を下げるようなこと言うなよ。あぁ、もうこの流れで言えばいいんだろ!?

「言おうと思ってたよ。」

「おっ?何何?お前好きな人いんのか?」

 話についていけてない三和がやっと話に追いついてきた。食いつきがいいな。

「…俺…その…入江さんの事が…」

「おはよう。みんな!」

「うわ!?」

 ピンポイントで入江さんがやって来た。部活終わりなのか袴を履いたまま弓を持っている。俺らを見かけたから弓道場から来てくれたんだろう。…今じゃなくて良かったのに。

 嘘といえど『好き』という言葉には抵抗があるし、赤くもなる。もう、バカにしろよ!俺はまだまだ子どもだ!

 今だって心臓が止まるかと思った。


 状況を完璧に把握した三和がにたぁと笑いながら見ている。

 芹川の微笑は…。みんな平然としているけど俺にしかこの殺気は感じないのか?

「みんな、何話してたの?」

 この二人がずっと笑っている状況を不審がったのか入江さんは首を傾げた。

「何もぉ?なぁ、佐江川?」

 俺にふるなよ!

「あ、あぁ…何てもないぜ?」

「もう!みんなニコニコして気になるよー!」

 入江さんの一つにまとめた髪がゆらゆらと揺れる。やっぱり彼女はすごく女の子女の子している。芹川も見習ってほしい。

「いつ見ても美里は可愛いなぁー!」 

 そう言って俺らの間に割り込んできた芹川は美里さんにダイブした。入江さんの小さな体はその勢いに一歩、二歩とあとずさりよろけて踏ん張った。


「千佳ちゃん暑いよぉ」

 そう言ってる合間も芹川はまとわりつく。…困ってんだろうが。

「美里、部活終わり?ついていくよー!」 

 急に両肩を捕まれぐいっと離された入江さんは「うん、ありがとう。」と笑った。完全に遊ばれている感じがする。


「じゃあねー!」

 そう言って笑った芹川は俺にだけわかるように「頑張ってくるわ!」と言ってブイサインをした。


 毎回毎回、嵐のような女だ。

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