表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤く光る黒  作者: ニッケル
1/1

地下にて

僕は一人で作業をしている。


お茶やコーヒー豆を保存する瓶のような、ステンレスの瓶を手に持ち、瓶の中から黒い粉末を薬サジで慎重にすくい、電子天秤の上に乗せる。


0.1gにできるだけ近づけるように、ゆっくりと少しずつ足していく。


目標の0.1gを越えて載せてしまった粉は、小さくちぎったキムワイプで粉に触れ、粉を少し付着させることで、電子天秤の上の粉をわずかずつ減らしていく。


秤量し終わった粉に、さらに金属の粉末を少量混ぜる。


最後に混合した粉体を小指ほどのガラス瓶に封入する。


どれくらいの時間が経っているのかは分からない。というより、時間の経過に関心が奪われることも許し難い気分だ。


この単純な作業を世界の誰よりも慎重にやり遂げることで、同じような実験をする世界の誰よりも美しい実験結果を得るのだ。


そう思えば、僕はこの作業をあと何時間でも続けることができるだろう。


そして僕は静かに、何時間も椅子に座ったまま、同じ作業を続けている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ