憧れと現実の狭間
この作品は、全て妄想であり、創作です。
就職もまともに決まらなかった私に両親は怒り狂った。
が、地元を私が離れている間に高校に入学した弟を置いて再びの転勤せねばならず、そもそも父が何一つ自分で出来ない人で、母は、子供を置いても父について行く、昔の女だった。
私が中途半端な帰郷をしても、地元に残した弟の世話をさせて同居させると言う、大義名分がたった。ので、私は今度は弟と同居しながら英会話教室に通うと言う、人様から見たら優雅ではあろうが、非常に中途半端な席に身を置く事になった。
その教室で知り合いになった人から、就職を紹介された。派遣のOL。私は学生時代にバイトしていた時も感じていたが、働く、と言うか給料を稼ぐのが性に合っているようだ。
私はOLになって、すっかり明るくなった。持ち前のバイタリティーを取り戻した。
今まで自分を追い詰めていた異常な劣等感は何だったんだろう?自分の中途半端な学力も学歴も気にならなくなったと言ったら嘘になる。しかし、社会人の人達は、それよりもまずはは今日の仕事を仕上げる事に必死だった。
有名女子大のネーミングに嫉妬している間に、まずはこの書類を打ち込みしてFAXしないといけなかった。
K大のどのクラブにいい男がいるかクラブ渡りしてる彼女達を羨んでる間に、まずは電話を受けて正確に用件を伝えなくてはならなかった。
もちろん英語が出来ないと、ある程度な正しく英文を打ち込めないが、まずは日本語を礼儀正しく話せないといけなかった。
毎日が戦場で黄昏ている間など無かった。
優柔不断の私は隆とすぐに別れた訳でも無く、遠距離恋愛に突入した。しかし会社組織にはいってますます隆が普通の人に思えるようになってしまった。もっとも隆はまだ学生であり、子供っぽくても仕方なかったのだが....
あんなに大好きだったのに。あんなに幸せだったのに。あんなに手の届かない人だったのに。
私がもしK女で、隆と堂々と付き合ってたら、つまらない自尊心につまづき傷つかなかったかんだろうか?隆といつまでも恋仲でいたいと思ったんだろうか?
それは神のみぞ知るだが、やっぱり別れたんじゃないかな。今度は何かしら別の理由で。
自然消滅と言うと聞こえがいいが、私は隆に電話しなかったし、隆から掛かって来そうな時間帯の電話はことごとく避けていた。最後は本当に逃げるようにして別れた。
悲しいかな、K大生でプライドの高い隆は私を執拗に追い回す事なんてしなかった。
本当に縁が無かったんだなぁ。
やっぱり憧れと現実を一緒にして突き進むのは不幸な事だよね?
私に振り回された隆も、家族にも、本当に悪い事したな....
隆とも別れて、働き出した私。現実世界は憧れだけじゃないよね!