自分の気難しさ
この作品は、全て妄想であり、創作です。
K女を憎めば憎むほど、自分な内面にざまざまな変化が起きた。
まず、英語の勉強をやり直してみようと思った。隆のレベルには無理でも、高校時代の英語は完全にわかるようにしようと。受験してるのだから出来て当たり前の筈の基本が自分に備わっていると思えなかったからだ。私は受験生の鉄板、通信教育Y会の英語の初級から取り組み始めた。
自分が通っている短大の勉強よりよっぽど手を焼いだが、一年ぐらい真面目にやったらだいぶ英語に関しては楽になって来た。たまに隆が部屋に来るので、教材を隠すのが大変だったが^ ^
あとはお洒落と言うか、ファッションとか化粧の研究も多少するようになった。ただ、それに関してもいくら仕送りを貰ってるとは言え、少ないバイトの中でやり繰りするのに、所詮限界があった。
短大の二年生になり、K市の水にも慣れ、学校やバイトにも慣れ、多少垢抜け出すと、不思議な事にあんなに男子学生から掛かってた声がピタリと止まった。自分でも警戒心と言うか、周りに薄い膜みたいなものを張り出したのが分かった。近づくなオーラ?
成る程なぁ。こうやって大人になるに連れ、人との距離感を学んで行くんだね。
そして、一番自分の中で変わってしまった事。
隆に興味が無くなった事。
あんなに憧れていたのに?神童と付き合えたのに?半年だったけど毎日帰り道話したのに?初体験もしたし、今でも仲良いのに?
自分でもよくわからなかった。ただ、隆が普通の人に見えて来たのは間違いない。まぁ、一緒にいるとお互い様ではあるがワガママも慣れもあるし、性格や育ち習慣の違いで、食い違いも出て来るだろう。
歌にあるよね。翼の折れたエンジェル
しかし、そんなものじゃない気がした。隆に飽きた訳でも無く、隆といるといつも楽しかったし、隆がK女と浮気したわけでも、私が他に好きな男子学生が出来たわけでも無かった。
一言で言うと、私の持っている気難しさが、マックスになったとしか言いようが無い。
二年間住んで、美しいK市も大好きな街になった。
しかし私は隆もK女にも全く関係の無いところで、出直したくなったのだ。自分探し?いや、違うな、人生の仕切り直し?そんな感じ。
私は自分のこの、途中から仕切り直したい癖で、今後の人生もいろんな目にあうことになるのだが^ ^
英語の勉強だけ真面目にはやったが、喋れるようになった訳でも無く、あの頃流行りだったスチュワーデスの試験に受かった訳でもなく、K女への劣等感を克服すべく大人になった訳でもなく、ただただ気難しさだけが増長して私の学生時代は終わりを告げた。
当然、両親はただの金喰い虫の私に完全に呆れ果てていた。
何年かしたら、隆が世の中のエリートとして出て、何も考えずに結婚もいいんだろうな?と実際そうも考えた。
でもきっと私はそのうち自分の中の正体不明の何かに苛まされて別れてしまうだろう。
そして、それは予想通りだった。
あれ、なんだかね?何かと中途半端ですね?