隆と初体験
この作品は、全て妄想であり、創作です。
でも、短大に入って新しい環境に慣れるに連れ、受験結果で落ち込んだ事も暫くは忘れていた。
隆は私が自分と同じ市内の学校に進学した事を、驚きながらも、素直に喜んでくれ、私達はいつも一緒にいたので、本物の恋人になったのは時間の問題だった。
K市の有名な川のほとりで、夏になると大きな花火が上がるお祭りがある。まぁ、河辺には恋人同士しかいない。私達もご多分に漏れず河辺でイチャついていたら、私のバックが脇に置いてあり、こう言うのが引ったくりの被害に合うのだ、と見回りに来た警察官に怒られたっけなぁ。笑
私達はそこで興ざめし、初めて私のアパートに隆が泊まって行った。終電が一杯で乗れなかったのだ。暑い夜で、あの頃エアコンを引く余裕も無く、ただ一緒に寝ただけ。
でも、すっかりその気になった私達は、その何日か後にラブホテルが2人とも何となく嫌だったので、シティホテルの小洒落たところに泊まり、初体験した。
恥ずかしいが、あるあるだが、2人とも初めての事でなかなか上手くいかず、苛立ったりもした。が、そこは若さゆえ好奇心と本能が勝り、今考えても私達は結構、いい相性だったんじゃないかな?
お金も無かったし、2人ともバイトしてたし、勉強や学校も忙しくて、そんなにしょっちゅうでは無かったが、時間を作っては2人であちこちに泊まっていた。
そう、その頃は本当に純粋に幸せだったと思う。
国立K大生の隆と恋人になれて、心のどこかで誇らしい気持ちもあった。毎日ウキウキしていた。
私の気持ちに陰りが出て来たのは、何故か、バイト先で、モテ出してからだ。私は近くの喫茶店で、ウエイトレスをやっていたが、当時不思議なくらい、いろんな学生から誘われた。隆と同じK大の学生にも良く誘われた。
今考えても、あの当時は何だったのだろう?私が田舎娘だからウブに見えたから?としか原因が考えられない。あちこちの学生に誘われ、普通はそこで舞い上がって逆上せ上がると思うが、私は誘われれば誘われるほど、声を掛けられれば掛けられるほど、自分に嫌気がさして行った。
隆に内緒で、そのうちの何人かとお茶や、映画を見た事もある。みんな私に対する感想がだいたい一緒で、誠実で真面目そうだと言った。裏切られなそうだと。で、私が受験に失敗して今の短大に入った話をしても誰もスルーだった。何がそんなに気になるのだ?みたいな。
私は自分がそんなに気難しい性格とは知らなかったが、つまり自分は、雰囲気と言うか、性質と言うか、そんなものが男性に求められ、私に知性を求めてる男が居ないのだと言う事実に大いに傷ついた。
大して努力もしてないくせに、自分が思ったような評価が得られなくてがっかりする.....そんな人間はやはり不幸だよね?
いわゆる勘違いってやつ?
隆とも初体験し、バイト先でもモテモテの私。何がそんなに気に入らないのかな?