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はじまりのあたま
いじめを見て楽しいと思ったことがあるだろうか。いじめを見てあの輪に加わりたいと思ったことが一度でもあるだろうか。そんなことあるはずない。
けれどいつの日か人は誰かをいじめている。いじめたい訳ではないのに、いじめている友達にノーと言うことができず、そして孤独になるのを恐れて、気づけば自分もいじめている。
小さい大きいの違いさえあれ、そういういじめが学校から無くなることなんてない。日に日にその数は増えていって、校舎はいじめで溢れかえる。
地震にも耐え抜く堅牢な鉄筋コンクリートが、皮肉にもいじめを溜め込んでいく。マスメディアに取り上げられるいじめなんて、そのほんの一部だ。
コンクリートの割れた隙間からこぼれ落ちた一雫のいじめ。
しかし、そんなものは氷山の一角に過ぎない。
いまも学校のなかにはいじめが蠢いていて、そしてこの瞬間も新しいいじめは産声をあげている。