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夏休みの君と  作者: 小雨
1/1

-1- 出会い

-1- 「出会い」




日差しが身体に突き刺さる。こうして歩っているだけでも背中が汗ばんでくる。七月に入っていよいよ日本にも本格的な夏がやってきた。学校はどこも夏休みのに入り、駅前は遊びに行く学生や親子連れで溢れかえっている。案の定、僕も昨日から夏休みが始まっていた。


「・・・・・・」


それにしても暑い。夏休みの始めからこの気温だとこれからどこまで気温が上がるのか先が思いやられる。何処ぞの県ではすでに四十度を超えたところもあると今朝ニュースでやっていた。勘弁してもらいたい。

そうしているうちに目的地に着いた。行きつけのカフェだ。高校受験の時からだから三年は経っただろうか。店は白を貴重にした建物で、壁には地面から屋根へツタが伸びている。店の前には花壇があり、アサガオが植えられている。先週まではアジサイが咲いていた気がするが植え替えたんだろうか。そんなことを考えながら店の戸を引く。


「ふう……」


店に入るととても涼しかった。どうやらもうクーラーがついているらしい。冷たい空気が火照っていた身体を包む。店の中はカウンター席が八つ、そしてカウンターを囲うようにテーブル席が四つ置いてある。店には客がいなかった。僕はいつものように一番奥のカウンターに座る。


「いらっしゃい、春やん」


「こんにちは 、店長」


声をかけてくれたのはこの店の店長である高橋遼だ。髪は少し長めの茶髪。三十五歳らしいが見た目は完全に二十歳ぐらいに見える。

「春やん」というのは店長が僕を呼ぶ時に使うあだ名だ。

店長に軽く挨拶をするとバッグから夏休みの課題を取り出した。早めに終わらせようと思うのだがなんだかんだで毎年ギリギリなってしまう。


「学生は大変だねー、毎年、毎年ご苦労なこった。」


「本当ですよ、全く。学校ももうちょっと考えてほしいもんですよ。」


遼さんが軽く笑う。


「でも春やんは部活とかやってないし暇なんだろ?ちゃっちゃと終わらせちゃえよ。」


「はいはい、ちゃっちゃと終わらせますよーだ。(ちゃっちゃと終われば苦労しないんだけどね…。)」














小一時間ほど経っただろうか。時刻は十二時をまわっていた。課題を一通り終わらせてひと息つく。夏休みといえば毎年こんな感じだ。何か面白いものがないかと考えはするが何も思いつかない。今年も去年と同じなのかな。そんなことを考えている時ーーー


ドンッ!!!


いきなり店の天井から何かが落ちるような音がした。一瞬天井を見上げるとすぐに店長の方を見る。すると店長は何か思い出すような顔をして天井を見上げた。


「お、起きたかな。」


店長は何やら料理の支度をしていたらしいが、それを一旦切り上げるとカウンターの裏にある階段を登って行く。


「って、お、おい!店長!上に誰かいんの!?」


確か二階は店長の生活スペースだった気がする。店長は呼びかけに答えずに二階へ上がっていった。

しばらくすると二階から店長が降りてきた。するとその後を誰かが降りてくる。青い髪の少女だった。




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