第一章 第四話
待っていたかたもそうでないかたもお久し振りです
次の日。
お師匠様との距離が離れていたおかげで怪我なく寝られた僕は、気が付いたら起きていた。
ただし、僕が棒に巻きつけられるように縛られて、周りに村人たちが跪いている状況がある中で。
口だけは縛られてなかった僕は、抵抗する気もなく純粋な疑問を述べた。
「なんでこうなってるの?」
それに対し村人は跪いたまま答えてくれない。視線を合わせてくれない。
これじゃまるで生贄か何かだよな…とお師匠様やチャオズお爺さん、そして本を読んだ中に出てきた状況で当て嵌まるものを思い出しながらそのままでいると、一人のおじいさんが杖をつきながらも堂々とした足取りでこちらに向かってきた。
「お前さんがジークで間違いないな?」
「えーっと……」
僕とあと一歩ぐらいの距離で立ち止まったお爺さんが、その風貌とは似つかない声で確認してきたので、僕は肯定するより違和感を覚える。
このお爺さん、何かがおかしい。目は赤いし、杖があるのに足取りは軽かったし。
一体どうしてだろうと考え始めようとしたところ、お爺さんが杖を思いっきり僕の腹へ突いてきた。
縄のおかげで痛みはそれほどでもない。けれど、そのたった一回の突きで僕を縛っていた縄は、ブチブチと音を立てて切れた。
途端に自由になったところに顔面に同じ突きが来たので何とかしゃがんでよけたら、お爺さんとは思えない速度で追撃してきた膝蹴りを顔面でモロに食らい、棒を折って吹っ飛んだ。
痛い。とんでもなく痛い。叫びたいほど痛い。
吹っ飛んだ先でのた打ち回りながらそんなことを考えていると、「おい」と声が聞こえた。
その声が先ほどのおじいさんの声だと分かったけど、痛みが引かないので反応できない。
そのまま無視していると、今度は腹を殴られた。
「がっ!!」
地面に横になっていた状態で直撃した僕は、体が腹部を起点に直角に曲がり、地面から少し浮いた。
「はっ。なんだぁおい。ずいぶん弱くなったじゃねぇか」
意識が朦朧としてきた。おそらく血も流れている。
そんな中でもお爺さんの声は――もう真似ていない声は――鮮明に聞こえた。
何も言えない。体も動かない。視界は閉じかかっている。
もう何も考えられないや。これが『死』なのか。
「あばよ、――――」
僕はそっと、瞼を閉じた。




