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「入院かー。人生で一度くらいはしてみたいかな」
「意外とつまんねぇもんだぞ? やる事はないし、看護婦さんとキャッキャウフフな展開なんて起きないしな」
「別にそんなもん求めてるわけじゃねーよ、ぼくは。単にこう……、怖い物見たさ?というかさー」
「ふーん、分っかんねぇなぁ……。もう入院なんて二度としたくないね」
そんな会話の2週間後。ぼくは入院する次第となったわけである。
なるほど、確かにこれはつまらんな。
しかし前言撤回するほどじゃない。楽しみを見出すこともある種の楽しみなのだから。
幸い可愛い看護師もいるわけだし。
キャッキャウフフがないにせよ、話せるだけで十分だ。暇つぶしにはもってこい!
こうなりゃもういっそ退屈をエンジョイしてやるぜ!
と、個室のベッドの上でノーアクション&無表情に決意したのはいいが、同時に異様な不安が襲ってきた。
ぼくっていつ退院できるんだ?
入院してからすでに一ヶ月と半月が過ぎたというのに、一向に退院の目処が立たない。
下手すりゃ留年なんじゃね?
一応、勉強は毎日こつこつとやっているのでクラスメイト達にも劣ってはいないはずだ。
しかし授業日数というものがある以上、これは避けられない問題……!
ぼくがこうして魔法少女アニメを37周している間にも出席日数は着々と削られていくのだ。残忍すぎ。世の中残忍すぎ。
あーー、時間止める能力がある日突然発動しねーかなー。
発動してどうなるんだよ。時間を止めたってぼくの病気は治らないぞ。
ぼくは馬鹿か。大馬鹿か。
どうやら長きにわたる闘病生活で身も心も頭も頭脳も参っているらしい。
あーー、空から美少女落ちてこねーかなー。
落ちてきてどうなるんだよ。ここベランダねーし。
ぼくは馬鹿か。大馬鹿か。
似たようなボケを2度もやるぐらいには大馬鹿だ……。
故意の“ボケ”なのか、文字通りボケたのか。それすらも判別つかない。
入院生活暇すぎ。
笑えねーよ。