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プロローグ
日本のどこかの小さな町『風花町』ほんの30年ほど前、どこぞの物好きな大富豪様が当時村だったこの土地をまるごと買い取り“日本を変える新たな人材育成”の名のもと様々な教育機関を備えた学園都市に変えた。それがこの町の始まりだ。そして現在、私立風花高校の地下一階の片隅の更に隅に位置するとある教室。そこが俺の部室、いや事務所である『探偵部』だ。
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俺の名は進藤俊作、高校生探偵だ。住民の約半数が学生であるこの学園都市、数が多く尚且つそのほとんどが親元から離れた人間だ。それだけにトラブルも多く複雑になる。それを解決するために去年の春、高校1年の俺がこの探偵部を作った。設立から一年が経つ今日この頃、毎日ではないがそれなりにトラブルを抱えた連中がこの事務所に現れる。
コンコン…
木製のドアを規則正しく叩く音、どうやら迷える子羊が俺を頼って来たらしい。