空は今日も青い
前回の続きです。
よければ最後までお付き合いください。
美歌は夢を見た。
白い空間に美歌は一人ぼっちでいた。
すると聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ると後ろには家族がいた。
「お母さん…お父さん…淳也…!」
「美歌、ほら、一緒に行きましょう。」
そう言って微笑むお母さん。
「おいで…美歌。」
手を差し出すお父さん。
「お姉ちゃん!こっちってすごく楽しいんだ!お姉ちゃんもおいでよ!」
いつもみたいに笑う淳也。
そっちへ行こうとすると後ろからまた声が聞こえた。
「美歌…こっちへ戻っておいで。」
微笑む男の人、私の初恋の人………隼人君。
「美歌、彼氏より家族の方が大切よね?ほら、おいで。」
お母さんが手を差し伸べる。
後ろでは隼人君が手を差し伸べる。
「お母さん…隼人君………。」
私は一体どうしたら…。
するとお母さんの目つきが鋭くなった。
「美歌はそんな冷たい子に育ってしまったのね。貴方は私達の知ってる美歌じゃないわ。」
そう言ってお母さん、お父さんは淳也の手を握って、行ってしまった。
「お母さんっっ!お父さんっ!淳也っ!嫌よ!置いていかないで!」
すると隼人君が
「最低だな。お前みたいな奴ともういられない。じゃあな。」
そう言って遠くへ行ってしまう。
私は追いかけた。走って走って…走り続けた。
なのに小さくなっていく隼人君。
「嫌ぁぁっ!!隼人君っっ!!嫌よっ嫌ぁぁっ!!一人にしないでっ!!
嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
白い空間に一人残される。
そしてずっと一人ぼっちで泣き続けた。
「嫌ぁぁぁっ!!!」
「大丈夫!?美歌ちゃん!美歌ちゃん!しっかしりて!」
目が覚めると病室のベットの上だった。
「看護婦さん……。」
「よかった…!大丈夫?すごくうなされてたわよ。」
ほっとした顔で私の手を握っている看護婦さん。
私が入院した頃からよく話を聞いてくれてる優しい看護婦さんだ。
「大丈夫。…夢を見たの…。家族皆と隼人君が出てきた。」
看護婦さんはただ私の話を聞いてくれていた。
「ねぇ、看護婦さん。私はいざとなったら隼人君か家族、どっちをとったらいいの?」
すると看護婦さんは少し微笑み、私の頭を優しく撫でた。
「どうしたらいいじゃなくて、美歌ちゃんがどうしたいか…。
美歌ちゃんがしたい事をしたらいいのよ。」
そう言って窓を開く。
空はいつもみたいに青くて、雲がゆっくりと風に乗って流れていく。
鳥が空を覆い、セミの鳴き声が響く。
「そうね…。」
風が私の頬を優しく撫でる。
「ありがとう、看護婦さん。」
「いいえ。…何かあったらすぐに呼びなさいね。すぐに来るから。」
そう言って出て行った。
私は窓の方へと歩いて行った。
ベットの上からじゃ空しか見えない。
だからたまには下の方を見る。
元気に走り回る子供たち。
散歩中のおじいさんにランニング中のおにいさん…。
また空を見上げる。
私はどうしたいのか。
家族はもちろん世界で一番大切だ。
でも隼人君も家族みたいに大事…。
私じゃ決められない…。
神様…私はどうしたらいいの?
その時美歌はゆっくりと地面へ倒れた。