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魔界闘神伝  作者: 和和和和
ゆりかごの世界編
3/305

出会い






「何だ……? お前!?」

 大貴は目の前に現れた紅蓮を見て目を見開く

 逆立った真紅の髪に額と両肩から生える漆黒の角。普段ならそんなものを見ればコスプレと思うだろう

 しかし目の前にいるその人物は違った。宙に浮いているとか、目が金色とかそんなことではない。その男を目にした瞬間、魂と身体がその全てで警戒と警告を鳴り響かせている


 一目見れば分かる。否が応でも認識させられる。――目の前にいるのは「死」と「恐怖」が服を纏って立っているような、形容しがたい絶対的な存在だと。


「空間隔離にも気付いてはいたようだが、やはり使っているわけではないのか」

 紅蓮は大貴を品定めでもするように視線を送り、好奇と疑念の入り混じった表情をみせる

「その内側・・のは何だ?」

「内側? 何の事だ……!?」

 いかにしてこの危機的状況を切り抜けるかを、次元がまるで違う圧倒的存在を前にして痺れる脳を叱咤して考えていた大貴は、紅蓮の言葉に裏返りそうになる声を必死に抑える

 逃げる事はできない。逃げられないと本能が叫んでいる。戦う事は出来ない。相手にもならないと本能が拒絶する。大貴はすでに自分の命が風前の灯であることを理解していた

(一層、土下座でもして命乞いするか・・?)

 心の中でそんな考えが浮かぶが自分自身で即座に否定する

(……逃がしてくれそうには無いか)

 心の中で独白する大貴の心情など全く理解していないであろう紅蓮は顎に手を当てて何やら思案するそぶりを見せる

「……とぼけているわけではなさそうだな。ということは、本人の知らない内に、ってことか」

 一人で呟いて納得したような表情を見せた紅蓮は、大貴に鋭い視線を向ける

「とりあえず、お前の中のモノを貰おうか。器を壊せば出てくるだろ」

 大貴には紅蓮の言葉の意味する所は全く理解できなかったが、それが自分を殺すという意味だと心のどこかで理解していた

「……っ!」

 紅蓮の身体から噴き上がる殺気に大貴は身を怯ませ、倒れそうになる身体を何とか支える

 殺気などというものは空想の産物に近いものだと思っていた大貴は、紅蓮の放つ質量と圧力を伴って襲い掛かってくるような本物の殺気に身も心も凍りつかせ、無意識に死を覚悟する

(生まれて初めて見た。……こんな、ただ立っているだけで人を殺せるような奴を)

 ただ向き合っているだけで命が削られるように感じる。ただ見ているだけで全身が闇に落ちるような感覚が頭の先から指の先までを支配する。一呼吸ごとに死が体内に入り込み、浸食しているような絶対的な死の予兆

 そんな中でも大貴が狂う事がなかったのは、紅蓮の殺気がそれすらも許さないほどに圧倒的なものだったからだ

「ほう、その辺の半霊命ネクストならとっくに死んでいるはずなんだがな……」

(ネ、ネクス……?)

 感心したような紅蓮の言葉と共に大貴は目の前が真っ暗に塗りつぶされていくのが分かった。死を迎えるのか、意識を失うのかは分からないが、これが最期だという事は理解できる

 紅蓮の手に真紅の光を内包した漆黒の炎が灯る

「さぁ、お前の中の力を貰うぞ」

「……っ!!」

 紅蓮の言葉に大貴が自らの死を覚悟した瞬間、天が砕けた。まるでガラス細工で作られた「何か」のように空に砕け散り、そこから何か・・が一直線に紅蓮に向かっていく

「……っ!」

 死角から飛来したそれを、まるで見えているかのように回避した紅蓮の正面。理解と知識の範疇を超えたやり取りに、半ば放心状態になっていた大貴は、自身の視界に映ったものを見てその目を見開く。


 刹那、純白の光が大貴の世界を斬り裂いた。


 あまりの速さに、その一連のやり取りは大貴の視界には映らなかった。それでも、かろうじて大貴が理解することができたのは、今まで目の前にあった暗黒が純白に変わったという事だけ


 しかし、その「白」は大貴にとって決して心温まるものではなかった。死を内包し、終焉を告げるべく自身を呑みこもうとしていた暗黒に代わったのは、まるで自分の全てが浄化されて消滅するのではないかと思えるような、清廉なる純白。

 まるで、自分という存在が排斥されるのではないかと思えるほど眩しい純白に取りこまれた大貴は、自分の視界にその「白」が映っている事を理解して目を見開く。


 目の前の純白の正体を掴みあぐね、目を見開いた大貴が、それが透き通るように白い翼だと気づくのに、数瞬の時を要した。

(翼……?)

 大貴の視界に閃くのは、白よりも白き、清廉なる白の翼。そして、その白に映える逆立った金色の髪が揺らめいていた。

(なん、だ……?)

「天使か……!」

 突如目の前に現れた存在に、困惑の表情を浮かべていた大貴の耳に、その正体を告げる紅蓮の言葉が届く

(天使……?)

「これ以上、お前の好きにはさせない。……悪魔め」

 大貴を庇うように立った天使――クロスが、激しい敵意を内包した鋭い視線を向けると、それを受けた紅蓮は、その口元を歪める

「いいぜ、止めてみろよ」

 まるで獲物をみつけた狩人のような歓喜と殺意に満ちた表情を浮かべた紅蓮は、そう言い放つと同時に、大貴を背後に庇うクロスへ向かって空を切った





「大貴! どこにいるの!?」

 突然消えた双子の弟の姿を探して詩織は周囲を見回す。

「そうだ、電話……」

 焦燥を隠せない様子で懐から携帯電話を取り出した詩織は大貴に電話をかける。

「なんで、つながらないのよ……」

 しかし電話の向こうから聞こえてくるのは「電源が入っていないか、電波の届かないところにある」というアナウンスのみ。

 この都会の街中で電話が通じなくなることなど、まずあり得ない。しかし、現実に電話がつながらない場所に大貴がいる。

 狼狽するその表情は青ざめ、自分達に何が起きたのか理解できずに困惑するその姿は、今にも倒れてしまいそうに見える

「彼ならここにはいないよ」

「!」

 その言葉に振り向いた詩織はその目に一人の青年を見た

 その見た目で歳は二十歳前後。やや幼さを残した青年といった容姿だが、その幼さの下からのぞく大人の男の雰囲気には優しさと力強さが同居し、信用し、頼れる人だと感じさせる何かがある

 漆黒の髪に金色の瞳。着物と洋服を足して割ったような服に、足元まで届く漆黒の羽織を纏っている

「あなたは……?」

「はじめまして。僕は『神魔』といいます」

「しん、まさん……?」

 詩織の言葉に神魔は優しく微笑むことで応じる

「それよりも、さっきのどういう事ですか?」

 その笑顔と雰囲気に、一瞬気を取られてしまった詩織はすぐに頭を振って我を取り戻すと、目の前の青年「神魔」の言葉にわずかに気後れしながらもはっきりとその目を見て聞き返す。


(この人、何?見た目は人間と同じだけど……何か、違う)

 神魔が悪魔だと名乗らずとも、詩織は目の前にいるのが「ただの人間ではない」と心のどこかで感じ取っていた。


 決定的に纏っている雰囲気が違うのだ。

 見た目は少し奇妙な格好をした人間という程度だが、その存在ともいえるものが放つ気配というかオーラのようなものは、まるで人間がくすんでしまうほどに気高く神々しいものに思えた。


「え? ああ。そうだね……君といた男の子は悪魔が作り出した別の空間に閉じ込められてるんだよ」

 詩織をじっと見つめていた神魔は詩織の言葉に我に帰ると優しく囁くように言う

「悪魔? 空間?」

 普段なら信じるはずも無いその言葉を、詩織は驚くほど自然に受け入れていた。

 それが何故なのか詩織自身にもはっきりとは分からない。しかし目の前にいるこの青年がそれを信じさせるに値する人ならざる者であると無意識に理解したからなのかもしれない。

「神魔さんなら、大貴を助けられるんですか?」

「…………」

 詩織の言葉に神魔は答えない。その沈黙に詩織はその質問を変える

「お願いです。私を大貴の所に連れて行ってください」

「君が行っても何も出来ないよ?」

 ゆりかごの世界に住む存在が仮に何兆人束になろうとも悪魔に勝つ事はできない。まして一人で行っても太陽に蟻が飛び込むようなものでしかない。いた事にすら気付かれずに消滅するのがオチだ

 それが分かっている神魔が、目の前の少女に視線を向けてその理由を説明しようとした瞬間、それよりも早く少女の強い意志の宿った言葉が響く

「いいえ。傍に行ってあげる事が出来ます」

 自分の言葉を否定するように言い放った詩織の言葉に、一瞬目を瞠った神魔だったが、すぐにその表情を綻ばせる

「……なるほど」

(偶然にしてはできすぎてるな……)

 どこか遠いところを見ているような視線で目の前の少女を見た神魔は、この奇妙な出会い(・・・・・・)に、運命とは言わないまでも、偶然ではない縁を感じ取っていた

(もしかしたら、この子と一緒にいれば、僕のこの心の靄(・・・)をとる事ができるかもしれない……!)

「わかった。君の名前は?」

「詩織。界道詩織です!」

 詩織が名乗るのと同時に神魔の身体から漆黒の力が吹き上がる。

「……!」

 天を穿ち、世界が漆黒に塗り潰されたかと錯覚するほどの強大な力。その力の持つ神々しいまでの恐怖に詩織は息を呑んだ

「分かった。詩織さん。君の弟さんを助けに行こう」





 その頃、切り離された空間の中でクロスは背後に大貴を庇いながら、相対した紅蓮に静かな殺意を向けていた。

「お前ここがどこか分かっているな?」

「ゆりかごの世界だろ?」

「ならここがどういう世界かも分かっているはずだな」

「九世界非干渉世界だ」

 クロスの問いかけに澱みなく答える紅蓮は、眼前の天使を小馬鹿にするような表情を浮かべており、さも「そんな分かり切っている事を訊くな」と言わんばかりだった

「この世界の人間に関わる事は禁じられているはずだ。目的を言え」

「さすが、九世界の秩序の管理者を自負する天使様の一人だけはあるな」

(ゆりかごの世界? 九世界? 天、使……?)

 クロスと紅蓮の会話に耳を傾けながら、聞き慣れない言葉に大貴は内心で首を傾げる

 クロスの放つ荘厳な殺気が紅蓮の殺気を掻き消しているらしく、大貴は事態を把握するだけの冷静さを取り戻していた

「その男の中には何か・・が封じられている。」

「――!」

 その言葉に大貴に知覚を向けたクロスは、紅蓮の言う通り大貴の中に何かが封じられているのを感じ取り、大貴は紅蓮の言葉に衝撃を受ける

「だが、これは封じられているというより……」

 大貴を知覚したクロスの言葉に紅蓮は微笑を浮かべる

 紅蓮の知覚は、大貴の中に封じられた「何か」は封じられているというよりも、大貴の存在と完全に融合している状態であることを看破していた。

「そいつに封じられているモノは『存在と異物を融合し、一つの存在として確立する』という九世界でも使える者は皆無といっていいほどの力によって封じられている。――誰が、何のために、何を封じたのか……興味は無いか?」

 紅蓮の言葉を受けたクロスは、その視線をより一層鋭くして無言のままその姿を睨みつける


 大貴の中にあるモノは「異物」を「正常なモノの中に異物として」入れる「封印」ではなく、その「異物を含めたそれそのもの」が一つの「正常な存在」として確立されている状態。

 即ち、切り離すことも取り出すことも出来ない封印より上の「同化」とも言うべき処理が施されている事になる。


「……だからこいつを殺すのか?」

「そうだ」

「っ!」

 クロスの問いかけに応えた紅蓮の言葉に、大貴は目を見開く。

 その声音には一切の感情が感じられない。それは大貴の命が奪われようとも微塵も感じることがないことを証明しているように感じられた。

「その方法で隠されたモノは、器を破壊しない限り取り出せない」

「器を殺すと同時に消滅する事もあるはずだ」

 存在が融合しているという事は、それそのものが命となっているようなもの。器となっている者の命が尽きれば、その命の火と共に消えてしまう事もある。

 安易に器となっている大貴の命を奪うことが危険であることは分かっているはずだが、紅蓮はクロスの言葉など意にも介していないかのように鼻を鳴らす。

「その時はその時だ」

 紅蓮は冷笑と共に言い放つとその手に漆黒の剣を召喚する。

 装飾の一切無い、抜き身の刀を思わせるその刀の刀身の横には金色の模様と、それに飾られた三つの真紅の宝玉が煌めいている。

 紅蓮が武器を出したのと同時に、クロスも白銀の刀身を持った自分の身の丈ほどの大剣を顕現させる。

「なら俺はお前の目的を阻むだけだ」

 大剣の切っ先を紅蓮に向け、そう言い放ったクロスの身体から神聖な白い光の力が吹き上がる。

「来い! この仕事は戦えないから退屈してたんだ! せいぜい楽しませてくれよ!」

 それに応えるように、紅蓮の身体から歓喜に彩られた漆黒の力が吹きあがる

「……っ!」

 二人が放つ白と黒の対極の力が二人の間でせめぎあう

 その圧力に全身が萎縮し、言葉を放つ事も出来ずにその様子を見守っている大貴は自身の身体の、否、魂の内側ともいえる部分に熱のようなものが宿るのを感じていた

(何だ!? この感じ……)

「いくぞ!」

 紅蓮の言葉に二人が今まさに戦いの火蓋を切ろうとした瞬間、二人の横の空間が漆黒の力によって破壊される

「!?」

「なっ!?」

 空間を砕くのではなく抉り取るように破壊し、結界の中に入り込んできた人物に紅蓮とクロスは同時に目を見開く

「……神魔」

「一触即発だね」

 二人を交互に見た神魔は、二人の放つ力の圧力に動じた様子も無く、足元まで届く漆黒の羽織を翻らせて悠然と静かに堂々と空間の中へ足を踏み入れる

 神魔が侵入した次の瞬間には、破壊された空間の入り口は一瞬にして修復され、破壊された事が嘘のように元通りの姿を取り戻していた。

「お前……」

 「何故ここに来た」という問いがその口からは紡がれる事はなかった。その必要がなくなったのだ

 神魔が空間に足を踏み入れると同時にその「答え」が神魔の背後から現れる

「大貴!」

「姉貴……!」

 神魔の背後から現れた詩織は、純白の翼を広げた天使の背後で膝をついている大貴の姿を見つけて、わき目も振らずに駆け寄ろうとする

「……っ!」

 しかしそれをしようと詩織が神魔の背後から数歩前へ出た瞬間、意識と心臓の鼓動を奪うほどの圧倒的な「何か」にその場に崩れ落ちそうになる

 意識が何か押し潰されるような感覚。自身の感覚が失われ、声を上げる事すら許さない圧倒的な威圧が詩織の心臓の鼓動すら許さない

「姉貴!?」

「俺達の殺気に当てられただけだ。――神魔!」

 突然糸の切れたマリオネットのようにその場に倒れそうになる姉に反射的に声を上げる大貴を、クロスが静かな言葉と共に制する

 大貴はその内側に封じられている「何か」の影響なのか紅蓮やクロスの放つ殺気や存在の威圧にもかろうじて耐えているが、本来このゆりかごの世界の人間がその中に飛び込めば、それだけで命を落とす事も少なくない

「分かってるよ」

 クロスの言葉に静かに頷いた神魔は、そっと手を伸ばして詩織の身体が倒れる前に支え、同時に自身を中心としたドーム状の幕を形成する

「……っ」

 神魔の作り出したドームに包まれると、詩織の心身を支配していた圧力が軽減し、詩織はいつの間にか止まっていた心臓の鼓動と呼吸を取り戻してむせ返る

「ごほ、ごほっ」

 胸に手を当てて呼吸を整える詩織から手を離した神魔は、詩織を庇うように前に移動すると、金色の目で肩越しに詩織を見る

「この『結界』の中から出ないようにしてね、外に出たら死んじゃうから」

「……はい」

 神魔の言葉に嘘がない事を身を以って理解した詩織は、自身の手を握りしめて小さく頷く


 先程の一瞬で自分は確かに一度死んだ。厳密に言えば一時的な心臓と呼吸の停止。あのまま神魔が手を差し伸べてくれなければ確実に死んでいたはずだ

 ただ同じ空間に存在するだけで命を奪われる。――それは、詩織に自分達と神魔、クロス、紅蓮の存在がいかに隔絶しているかを否応なく理解させるだけの十分な効果を有していた。


「なら、大貴のところに連れて行ってください」

「うん」

 意外にも詩織の言葉をすんなりと肯定した神魔は、そのままゆっくりと歩き出す。神魔の動きに合わせて二人の周囲を囲んでいる結界も同時に移動する

「大貴」

「……姉貴」

 クロスの近くに移動した神魔は、その結界を広げて大貴もその内側に包み込む

 詩織同様に紅蓮とクロスの威圧から開放された大貴は、その耐性の高さもあってすぐさま平静を取り戻すと、ゆっくりと立ち上がって心配そうに見守る双子の姉に視線で「大丈夫」と答える

「何のつもりだ?」

 大貴を守るような体勢で立った神魔に、紅蓮が殺気を込めた攻撃的な視線を向ける

 その視線は「邪魔するなという警告を忘れたのか」と強くほのめかし、同時に「邪魔をするなら命は無い」とも雄弁に語っている

「個人的に興味が湧いただけだよ」

 紅蓮の言葉に全く動じる様子も無く、神魔は優しく穏やかな口調で答えて微笑みかける

「そうか。なら仕方ない。二人ともこの場で消えてもらうしかないな」

 神魔の言葉を敵対と解釈した紅蓮から表情が消える

 それは怒気はもちろん、あらゆる感情の無い純粋な「殺意」に彩られた顔。

 人間には決して行う事が出来ない、目の前の敵対者を滅ぼしつくす無感情の殺意をもった悪魔の姿

「ここまで連れてきたんだ。その二人はお前がしっかり守れよ!」

「分かってるよ」

 背中越しにかけられたクロスの言葉に神魔は小さく微笑んで答える

「できるだけ離れて戦ってね。光力は相性悪い(・・・・)から」

「あいつに言え」

 神魔の言葉に、振り返る事無く言い放ったクロスの身体から神聖な光の力が吹き上がり、その身の丈ほどの刀身を持った白銀の大剣が純白の光を放つ

「来い」

 漆黒の力を身体から放つ紅蓮の言葉に、クロスはその純白の翼を広げて紅蓮に向かって宙を翔ける

「おおおおおっ!」

 一瞬にして距離を詰めた二人は、互いの力を込めた武器を真正面からぶつけ合う。

 クロスの純白の光と、紅蓮の漆黒の闇が真正面からぶつかり、相手への純粋な殺意に彩られた二つの力がせめぎあって炸裂し、隔離されたその空間を一点の混じりけもない純粋な白と黒へと塗り分けた





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