表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

月夜譚 【No.301~】

湯気になれたら 【月夜譚No.388】

作者: 夏月七葉
掲載日:2026/02/08

 鍋の湯気をぼんやり見ていた。形の定まらない白い塊が天井に昇っていく。決して掴むことができず、存在も不確かに思えるその湯気になりたいとさえ思った。

 世の中、自身の周囲だけを切り取っても様々なことがある。楽しいことも悲しいことも、否応なく目の前に展開することだってある。

 感情に振り回されて一々一喜一憂するくらいなら、何も考えずに宙を漂っていられる方が余程気が楽かもしれない。

「どうした?」

「あ――ああ、うん。ごめん。ちょっとぼーっとしてて」

 隣に座った友人に声をかけられて、彼ははっと我に返った。どこか曖昧に微笑む彼に怪訝そうにしながらも、友人は鍋をつつきながらビールのジョッキを傾ける。

 ここのところ、大学の課題提出が続いて疲れているのだろう。柄にもないことを考えてしまった。

 彼は密かに息を吐いて、自身のジョッキに手を伸ばす。

 人間は、湯気にも雲にもなれない。だったら、一喜一憂も楽しんでしまった方が人生勝ち組だ。

 彼は口角を上げると、一気にビールを喉に流し込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ