第四話 コードネーム:ナイト 改
任務開始5日後、後輩はハイド先輩を見て思った。これはマズイ!!!と…。
確かに初めての学生生活で疲れることもあるだろう。しかし、あそこまで任務中に先輩がゲッソリした姿を見たことはない!
昨日だって本部に帰った時にはまるで死人のようにゲッソリしていた。
原因は分かっている。結衣さんだ。あのおしゃべりという攻撃に、先輩は毎日さらされている。そりゃあ疲れるだろう。
そして僕は思った
「なら、僕が結衣さんの興味を引けばいい!」
数日前先輩から渡された行動分析報告書には結衣はは甘食好きとあった。
ならば、甘食を大量にプレゼントするまで‼
購買の一つ上の階まで来るとすでにバターの香ばしい匂いが鼻をくすぐっていた。
購買に着くとラスト一個の結衣さんの大好物、生クリームメロンパンが残っていた。
う~ん、一個か…まぁ、ラッキーと思って別ので埋めればいいか…
「「これください」」パン棚の前で指を伸ばした瞬間、別の指が重なった。
夜も忘れられないあの顔。
コードネーム:ナイト!
この女ここ数日間で先輩の潜入を邪魔する動きが目立つ。怪しい…
「お前ちょっと校舎の裏に来い」
「あ゛?何でだよ」
「とりあえずついてこいや」
校舎裏。桜吹雪が舞う中、あの顔をにらむ。
「率直に聞く。お前は敵か?」
あいつの眉がぴくりと動く。
「は?貴様何を言っているんだ?」
「素直に言えば殺しはしない。白状しろ!」
「おいどうなん――」
突然、数メートル離れていたはずのあいつの拳が目の前に現れる。次瞬きした時にはすでに空中を飛んでいた。
勢いよく地面にたたきつけられる。
そんな僕をあいつは冷ややかな鋭い目で見ている。
「いった!おい何すんだよ!」
「お前がバカだからだ」
「バカとは何だバカとは」
「あのな、私が敵であれば一番近くにいるエリオット様が気付かないわけないだろ」
「…確かに言われてみればそうだ…でもなんか怪しい!」必死に地に手を付け立ち上がる。
「どこが?」
「なんか僕らに対して冷たいし、最近先輩の邪魔をしているような行動が目立つし…ってまさか」
「まさか?」
「先輩の気を引くためにわざと邪魔をして――」今度は鳩尾に入る。気づくと離れていた校舎にたたきつけられていた。
「いたたた…何すんだよ!さっきからボコボコと」するとあいつのポケットからメモ帳が落ちたのが見えた。
「待て!見るな!」
ページをめくると──エリオットさんの写真に『エリオット様素敵』の文字が踊っていた。
「へぇ、そーなんだー」
あいつの頬がどんどん真っ赤になる。
「そっ、それ以上詮索するな。殺すぞ!」
「例えば―少しでもいい所見せてエリオットさんの気を引こうとでも考えてるんだろうなー」
「やっやめろ…」鼻が赤くなっていく。
「それでまずは結衣と親しくなろうとしてるのかもなー。いや、分かり安っ!そんなことでエリオットさんの気を引けるとでも?」
「やめろおおおおお」拳が再び飛んで来る。しかし、僕はぎりぎりそれを止めていた。
「そうはさせないぞ。絶対にな…このメロンパンだけは絶対に渡さない!!!」
「ああ望むところだ!!!」二人のナイフが激しくぶつかり合う。この最後の一つのメロンパンをかけた死闘はまだまだ続くようだ。
――その頃購買では
どう考えてもわからんいったいどうしてあいつ(結衣)はどこまでもついてくるんだ?!
本人は隠れて追跡しているつもりなのだろうが明らかにバレバレだ。というかむしろ周りの人に注目されている!
すると突然結衣の動きが止まった。不思議に重い目線を追うと…あぁ、購買のメロンパンか、
よほど好きなのか最後一つになっているメロンパンを凝視し、よだれが出そうになっていた。
「おいそこにいるんだろバレてるぞ」
「はへっ?」
「メロンパン買ってやるからつけるな」
すると一気に目がまぶしいくらいに輝きだす。
「はんっ!あんたってホントデリカシーないわね。私ダイエットしてるって知ってるでしょそんな女子にこんなもの渡せる精神が理解できないわ。それにこんな庶民的なものよりももっと上品な――」
「いらないんだな」
「しょうがないわねー余っているなら私が食べてあげるわよ。感謝しなさい」
手から強引に奪いものすごい勢いでほおばった。結果その翌日からより絡まれるようになりハイドの疲労度は倍増した。




