表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スパイは踊らない~学園に潜む影と恋~  作者: 猫吉
第二章 文化祭編
49/50

第44話 修学旅行4

「は?…もう一回言ってみろよ」

後輩の声は、低く、押し殺した怒りで震えていた。

報告に当たった通信員は、青ざめた顔でタブレットを握り直す。

「…当現場の警備人員の8割を撤退させる…とのことです」

「ふざけるな!上層部は何考えてんだよ!」

後輩が激昂し、デスクを叩きつけた。

静まり返った部屋に響き渡る。

「……理由は」

「明後日の日米首脳会談です。極めて信憑性の高い殺害予告が届いた、と」

確かに時期は重なる。

反米組織の不穏な動きも、情報の端々から掴んでいた。

だが、それでも8割は異常だ。

……嵌められたな

目に見えない巨大な指先が、盤面の上で僕たちの駒を排除していく感触がした。

「先輩、中止しましょうよ!この人数で大規模な襲撃を受ければ、お終いです!!」

後輩の叫びは、確かに正論だった。

だが、ハイドは振り返らずに静かに首を振る。

「いいか、想像しろ」

ハイドの視線が後輩を射抜く。

「列車で結衣を移送する。その最中に橋梁が爆破されたら?」

後輩の視線が泳ぐ。

「あるいは、高速道路での輸送中に進路を塞がれ、民間人を盾にされたら?ターゲットの命と、数千人の一般人の命。天秤にかけられた時、お前にその責任が取れるのか」

「…っ」

後輩は言葉を失い、奥歯を噛みしめた。

モニターに映し出された警備マップは、冷たい空白だけが多く広がっている。

それは、まるで獲物の喉元を晒し、牙を待つ獣の姿に見えた。

「くそっ……!」

「嘆いている暇はない。ただちに護衛プランを組み直す。残った全員を集めろ。」

夜の静寂が、今まで以上に重く、鋭くのしかかっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ