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スパイは踊らない~学園に潜む影と恋~  作者: 猫吉
第二章 文化祭編
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第39話 遠藤7

あの日、僕が躊躇してなかったら僕はあの車に乗っていた。

「C'est vous qui avez dissimulé ça ?(隠蔽したのもあんたたちなのか?)」

「Hein ?...(あ゛?)」

「Je ne suis pas au courant.(…知らないぞそんなこと)」

「…Hein ?(…え?)」

僕が聞き返そうとした瞬間、突然横の壁が砕け散った。

もうもうと立ち込める粉塵の向こうから、漆黒の装備に身を包んだ何かがなだれ込んでくる。

「Zut, ils arrivent... Adieu Pierre !(チッ来たか・・・あばよピエール!)」

「Fuyons !!!(逃げるぞ!!!)」

「Ils font aussi partie des extrémistes ?(あいつらも強行派なのか?)」

「Peu importe, cours !!!!!(いいからとにかく走れ!!!!!)」

足をもつれさせながら、必死に建物を駆け抜ける。

しかし、焦燥に足がついていかず。

僕は無様に転倒した。

すると目の前の建物の角から男が一人拳銃を構えて向かってくるのが見えた。


パンッ


衝撃は来なかった。

気づいたら目の前には重たいものがのっかっていた。

ズボンに液体がしみこむ。


「ピエール?…」


「Oups, désolé, je vous ai pris pour des ennemis...(おっと、すまない敵と勘違いしたもんでね…)」

男がこちらに向かってゆっくり歩いてくる。

男はひどく軽薄な声で笑っていた。

「Vous...(あんたら…)」

「Vous étiez peut-être aussi des membres ?(もしかして君も仲間だった?)」

「いやっ‥‥」

首を振ることしかできない自分に、男は靴の先でピエールの亡骸を小突きながら言った。

「Désolé, désolé. Je sais qu'il n'y a pas d'Asiatiques parmi les terroristes.(悪い悪い。テロリストのメンバーにアジア人がいないのは知ってる。)」

「Mais...(だが…)」

眉間に冷たい金属が押し付けられる。

「Maintenant que vous nous avez vus, on ne peut pas vous laisser en vie.(こうして顔を見られた以上、生かしておくわけにはいかないんだ。)」

「Non, non... Je...(そ、そんな…僕は…)」

死の恐怖が心臓を握りつぶす。

後ずさりする僕を、男はゆっくりと追いながら言う。

「Alors, que diriez-vous de ça ? Rejoignez notre groupe.(じゃあこういうのはどうだい? 私たちの仲間になるんだよ)」

「え?」

「Si vous refusez, on vous tue…Alors, que choisissez-vous ?(断ったら殺す…さぁ君はどっちを選ぶ?)」

血の匂いと、硝煙の香りが混じり合う。

男の問いかけは、選択肢など存在しない死刑宣告と同じだった。


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