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スパイは踊らない~学園に潜む影と恋~  作者: 猫吉
第一章 転校生と令嬢
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第一話 究極の美少女 (new)

追加しました。たぶんこれ以上最初のほうは変わらないのでご安心ください。

「ねえ、見た? 転校生、めっちゃイケメンじゃない?」

教室のざわめきが耳に心地よく響く。

私は、窓際の席から視線をそっと動す。

黒髪、整った顔立ち、制服の着こなしも完璧。まるで雑誌から抜け出したような子…

でも、何かがおかしい。

例の転校生は自分の席を確認すると、淡々と座り読書を始める。

まるで私の存在が空気であるかのように。

え、ちょっとなんなのあいつ? 今まで誰もが私を一目見た瞬間、話しかけてきたのに…? 私に気づいてないのかな?

…少し揺さぶってみるか。

「ごきげんよう!」

とびっきりの笑顔で声をかける。

フッ、落ちたな。いきなり転校初日に、こんな超ド級天才(笑)令嬢美少女に声かけられて恥ずかしがらないわけ…

「どうも」


…え?冷たっ…!

心に小さな棘が刺さる。プライドが、静かに軋んだ。

周囲の視線がだんだんと集まる中、必死に笑顔を保つ。

でも、心の中では大嵐である…っていうかハリケーンが上陸してる。

え?まじでなんなのよあいつ!

その後も私は必死に落とそうと攻め続けた。しかし、結果はこれだ。

ウインクしても無視、目の前で転んでも腕をつかんで引っ張るだけ。

シャーペンを落としても拾うだけでそのあと何の話も聞かない!

あとは本、本、本!!! 私が本なんかに負けるなんて! 絶対あり得ないあり得ないあり得ないあり得ない!!!!!!!!

「もうっ、ほんとにあなた、私を見て何も感じないの!!!」

机を叩き、大声で怒鳴った瞬間、クラスに沈黙が走る。

すぐに我に返り、顔が熱くなる。

「ご、ごめんなさい…」

クラスに再びいつもの活気が戻る。

しかし、このもやもやする心は収まらなかった。

「で…ほんとに何も感じないの?」

「ない。」

即答っ!?

その一言で、プライドは完全に粉砕された。

――クラスがざわつき始める。

「結衣様、あの子と幼馴染なのかな?」

「まさか元カレとか?」

「えー結衣ちゃん、俺狙ってたのに!」

「でもそうでなきゃ、なんであんなにそっけないの?」

変な噂が立ち始める。

顔を赤くなっているのは見なくてもわかる。

「でも、結衣様は究極の美少女令嬢よ。あんな奴明日には一ころよ」

一瞬忘れかけていた。私は究極の美少女令嬢! 絶対に落とせないやつはこの世にいない!!

――そして、決意した。

「絶対あんたを落としてみせる!!!」

また沈黙が走る。

何が何だかわからないまま、全速力で教室から脱走した。

決意は、誰にも止められない。


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