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くいだおれ令嬢秋香さん~清楚モードがギャル爆発!~  作者: サファイロス


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20/22

中崎町のおにぎり屋さん

季節はずれの大粒の雨が、上空を叩きつけていた。


 傘を差していても膝まで濡れるような豪雨。

 その中を、ライトブラウンのロングヘアを揺らしながら歩く少女――

 白鳳女学院の令嬢、秋香の姿があった。


「……まぁ。こんな日に外を歩くなんて、わたくし、なかなかの根性ですわね」


 しかし、今日はどうしても寄りたい店があった。


 谷町線・中崎町駅から徒歩1分。

 小さなおにぎり専門店。


 雨の幕を抜け、店の入り口に辿り着いたその瞬間だった。


「あっ、お嬢さん! 雨の中ありがとうございます!」


 店員がわざわざ店外へ出てきて、濡れた秋香にタオルを差し出しながら、

 深く頭を下げた。


「まぁ……なんて丁寧な……。ありがとうございますわ」


 案内されるまま店に入ると、

 木のカウンターの向こうで職人が“握りたてのおにぎり”を作っていた。

 真っ白な湯気がふわりと立ち上り、店内は優しい香りで満ちている。


 今日、秋香が選んだのは――


・すじこ+さけ

・ネギトロ+卵黄醤油漬け


 注文後すぐ、目の前で炊きたてのご飯がふんわり盛られ、

 そこに具材が“これでもか”と乗せられていく。


「まぁ……具材がまるで宝石の山……!」


 やがて、ふっくらと握られたおにぎりが二つ、秋香の前へ。


「……では、いただきますわ」


 まずは、すじこ+さけ。


 一口かじった瞬間、

 すじこの塩気と鮭の旨味がふわっとほどけ、

 炊きたての甘いお米が包み込む。


「……っ、やさし……。なんて品のある味わい……」


(うわ……これヤバ。ほっぺ落ちるやつ……!)


 店内には、無料で飲める“合わせ出汁”が用意されていて、

 秋香は温かい出汁を湯呑に注いだ。


 一度おにぎりを味わってから、

 最後にその出汁をかけて“お茶漬け”にする。


「……っ、はぁ……これは……贅沢の極み……」


(反則級にウマい……これ考えた人天才やん……)



 次は、ネギトロ+卵黄醤油漬け。


 ネギトロの柔らかな脂が口の中で溶け、

 醤油に漬かった濃厚な黄身がとろりと広がる。


「……まぁ……なんて官能的な味……!」


(え……これ一瞬でなくなる……もう一個いける……いや三個はいける……)


 食べ終わった秋香は、そっと息をついた。


 外ではまだ雨が降り続いていたが、

 店内の温かな空気と、心のこもった接客にふれて、

 まるで心まで温められたようだった。


「……また参りましょう。次は……“明太子マウンテン”にいたしましょうか」



 濡れた髪をまとめ直すと、

 秋香は静かに店を出た。


 大雨の中で見つけた、やさしい午後の幸福。

 その余韻を胸に抱きながら、

 彼女は街へと歩き出した。

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