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くいだおれ令嬢秋香さん~清楚モードがギャル爆発!~  作者: サファイロス


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14/22

北新地のカニ料理屋さん

テレビのニュースが、冬の訪れを告げていた。


 ――今年は、ズワイ蟹が豊作。


 その言葉を聞いた瞬間、

 秋香の瞳がきらりと輝いた。


 「……まぁ。これは“行くしかない”という天からの導きですわね」


 そして向かったのは――北新地。

 駅からわずか徒歩三十秒の、知る人ぞ知る日本料理屋の名店。


 ボルドーのトップスに、チェック柄のブラウンスカート。

 濃いめの秋色でまとめた“こっくりカラー”のコーデは、

 フリルとボリュームスリーブがほどよく華やかで、

 スカートのウエストボタンが彼女のスタイルをさらに美しく見せていた。



 木の格子戸を開けると、

 涼やかな水の音が迎えてくれた。


 扉を開くと、水音が静かに広がり、

 透明な水槽の中で、活きたズワイ蟹がゆっくり脚を動かしていた。


 「……まぁ……。新鮮そのもの……」



 半個室の席に案内され、

 落ちついた灯りがワンピースのベージュを優しく照らす。


 秋香は迷わず言った。


 「活ズワイ蟹のコースをお願いいたしますわ」


● 前菜四種


小松菜・春菊・椎茸の白和え


ぜんまい信田巻き・茄子びんろう煮


魚の南蛮漬け


無花果の胡麻クリームがけ


 「まぁ……。前菜から気品に満ちていますわ」


 白和えは香りが澄んでいて、

 無花果の胡麻クリームは、甘みと濃厚さのバランスが絶妙。


 (うわ……これ、ほんま“あて”の味やん……!

  無花果の濃厚クリーム、口ん中でとろけて……

  やば、好きすぎるんですけど……!)


● 蟹刺し + 鮪・ひらめ・イカ


 目の前で“花咲き”に切られた蟹刺し。

 透明感のある白い身に、ほのかに紅がさす。


 秋香はそっと箸を入れた。


 「……っ……! 甘い……。まるで雪のしずく……」


 (とろける……!これはホンマに新鮮なやつ……!)


 鮪・ひらめ・イカも揃っていて、

 味の流れが最後まで飽きさせない。


● 蒸し蟹


 三杯酢に“ダイブ”させて食べるスタイル。


 蟹酢の香りが立ち上り、

 身の旨味が一気に花開く。


 「……まぁ……! この調和……!」


 (やっば……蟹酢の破壊力エグい……!

  これで一生飲めるレベル……!)


● 蟹甲羅焼き


 蟹味噌・卵・出汁を合わせて焼いた“茶碗蒸し的”な一皿。


 銀杏が添えられ、香りは濃厚なのに後味すっきり。


 「……これは……想像以上に繊細ですわね」


 (味噌ガッツリの甲羅焼きちゃうねんけど……これもアリですわ……!)


● 蟹鍋 + うどん


 蟹脚・蟹爪


 白菜、椎茸、人参、大根、春菊


 出汁たっぷり。


 ぐつぐつ、という音が冬のBGMのよう。


 秋香は蟹を前に、口元に手を添えて微笑む。


 「……では、参りますわ」


 身を丁寧にほじって山のように積み上げ、

 “後で一気に楽しむタイプ”らしく

 三十分ほど蟹と格闘したあと――


 どかっ。


 と、盛大にカニ山を頬張る。


 「……んんっ……! 至福……!」


 (蟹鍋ってなんでこんな幸せなん??

  出汁もうまっ……飲める……延々と飲める……!!)


●しめのうどん。


 「雑炊……ないのですの?」

 「すみません……雑炊はございません」


 秋香は少し眉尻を下げた。


 「……まぁ、うどんも素晴らしいですけれど……」


 (雑炊ほしかったぁぁぁあ!!)


● デザート


 白い、なめらかなプリン。

 酒粕の余韻がほんのり香る。


 秋香は小さく微笑んだ。


 「……ふふ。冬の締めにふさわしい一品ですわ」

 (なにこれ……口あたりトロッとしすぎて反則やん……

  酒粕の香り、ひっそり効かせてくる感じ最高……!

  デザートでこれ出てくるとか、めっちゃ“わかってる店”やん……!)



 いろんな食べ方で味わい尽くした蟹。

 大変だけれど、

 “ほじる苦労”の先にある幸せは、他では味わえない。


 秋香はそっと息をつき、

 ほんのり赤くなった指先を見て微笑む。


 「……やはり、冬の蟹は格別ですわね」

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