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4話

 何気ない会話を続け、後日また会う約束をして一旦その日は帰ることにした。メモ帳が欲しい。彼は様々なことを話してくれた。それらの話はどれもインパクトが強く、興味深い。しかし、それゆえに覚えきる自信がなかった。

 リュックを背負い直し、大急ぎで家に帰る。さっき聞いたこともできる限り書き留めておきたい。家に着くなり部屋へ行き、未使用のノートを発掘して覚えていることを書いていく。人間の好奇心というのは非常に優秀なもので、恐怖は好奇心に呑まれてほとんど消え失せてしまった。

「天。もうご飯にするからおいで。」

「ちょっと待って!」

「あら。何やってるの?」

「少しね。」

「新しく小説でも書いてるの?」

「そんなとこ。今行く。おばあちゃんは?」

「いつも通り。別のとこで食べるって。」

 行ってみると、もうすでにお父さんがご飯を食べ始めていた。それに対してお母さんが文句を言っているのに笑いながら席に着く。お母さんといただきますを言ってからご飯を食べ始めた。いつも通り、おばあちゃんはいなかった。おばあちゃんはお母さんのことを酷く嫌っているので、ご飯時はいつも食卓に来ない。正直僕はおばあちゃんのことが苦手なので、少々安堵しているところがある。おばあちゃんは僕のことを可愛がってくれているのだが。

「遅かったな。何してたんだ?」

「少し興味のあるネタが見つかってさ。」

「また新しい小説書いてるんだって!すごいわよねぇ。」

「そうだったのか。頑張ってるな。」

「夢だからね。」

 そう、僕の夢は小説家だ。そして、両親はそれを知っている。それもあって、夢への道は今のところは順調だ。まだ、はっきりとした結果は出すことができていないのだけれど。

 両親はそれでも応援してくれている。とてもありがたいことだ。

「いいことだ。そう言えば、この前応募した作品も見たぞー。どうだった?」

「実は。一次選考通過しました!」

「あら。そうだったの!おめでとう。」

「すごいじゃないか!」

「えへへ。ありがとう。」

「二次も通過するといいわね。」

「そこなんだよねー。いっつも一次止まり。」

「まあまあ。一次通過だってすごいじゃないか。」

 そうお父さんはいうけど、一次通過ではまだ足りない。内容で評価をしてほしいものであるが、賞というのは大切なのだ。賞を取れれば、一気に有名になることができる。そしたら、多くの人に自分の書いた小説を読んで、評価してもらうことができるようになる。賞というのは、それほどに強い後ろ盾になってくれるのだ。

「よし!今度何かおいしいもん買ってきてやる!」

「やったー!羊羹がいい!」

「えぇ~。ケーキとかじゃなくて?」

「それはあなたが食べたいものでしょ?」

「そうだけど。羊羹ならいつも買ってきてるだろ?他に何かないの?」

「じゃあおはぎで!」

「最近の若いのは欲がないなぁ。とりあえず父さんのおすすめのやつ買ってくる。」

「おはぎは?」

「それも、買ってくるから。」

「よっしゃ!」

「あら、じゃあ私はエクレアが食べたいなぁ。」

「わかったよぉ。」

 そう言ったお父さんの声は何やら泣きそうだった。

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