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14話

 彼は僕のこの感情に気が付いている。そう気がついてしまえば、先ほどのハグよりも、もっと冷たいものを背中に感じた。これでは、彼ともう純粋に関わることができなくなってしまう。それは小説を書くにあたっても、友達として関わるにしても、この感情においても、何においてもよろしくない。そもそも、友達という関係自体が変わってしまうのではないか。それは、言葉にならないほどの恐怖であった。

 彼はふと笑みを消し、真面目な顔になった。そして、何を考えたのやら、僕をまた抱き寄せた。冷たいのは全く気にならない。自覚してしまうと、先ほどは平気だったはずなのに一気に恥ずかしくなってくる。そんなこっちの気を知ってか知らずか、彼は静かに言った。

「知らなかったことにしてやろうか?」

 そう言われて肩が震えた。そうしてくれるのであれば、どうかそうしてほしい。そう言おうと口を開いたが、それを遮るように彼は続けた。

「だが、ひとつ言っておこう。俺はソラに恋愛的な感情を抱いている。」

 ハッとして上を見る。冷やかし・・・ではなさそうだ。そもそも、こいつは嘘をつかない。唖然としていると、彼はそのまま続けた。

「関係を変えるかはソラに任せよう。」

 そう言った彼は笑っていた。関係を変えるかどうかは任せる。恋愛的な感情を抱いている。要するに、友達のままでいるか、恋仲になるかは僕次第だと彼は言ったわけだ。つまりは今告白を受けたのである。

「そんな遠回しな言い方できるようになったんだ。」

「遠回りな方が好きだと言っていただろう。」

「いつの話覚えてるんだよ。」

「それで、どうするんだ?」 

 そう言われると言葉に詰まる。今さっき自覚したばかりではあるが、要は両思いだということなのである。ただ、それでつきあうかとなるとそれは話が別である。恋人になったらもちろん関係が変わるわけで、それが良い方へ転ぶか悪い方へ転ぶかなんて、実際になってみないとわからない。友達のままでいればその可能性は低いだろう。告白を受けている時点で、ないとは言えないが。でも、これでつきあわないというのもどこか惜しい気がする。やっぱりすぐには決められない。

「い、家に持ち帰らせてください。」

「そうか。わかった。」

 そう返事をして彼は僕を優しく手放した。こっちは気が気でないというのに、あちらはだいぶ余裕があるようで腹が立つ。若干睨むように彼を見ていると、彼は思い出したかのように言った。

「そう言えば、名前についてだが。」

宙に浮かべるように言った彼は、続けてこちらを見て言った。

「ソラが自由に決めてくれ。是非ソラに決めてほしい。」

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