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9話

 しばらくして学校が始まった。夏休みという長い休みが終わったこともあり、旅行や思い出の話でみんな和気あいあいとしていた。僕もそれなりに周りにテンションを合わせながら話に混ざっていた。龍にあったとは一言も言わずに。その時間がとても辛く感じていた。

 以前から、僕にとって学校は苦痛でしかなかった。クラスメイトや先生と話すのも好きじゃない。勉強も得意ではあるがあまり好きではない。物語を考えて、文字に起こしていくことが僕は好きだ。そもそもの話、元の僕は人と関わるのが苦手だ。小学校では気を遣わなくてもなんともなかったのに、中学生になった途端に気を張らなくてはいけなくなって。気を張っていたら周りから評価され、今は生徒会副会長にまでなって、より気が抜けなくなった。苦手なものを得意だと偽って、苦手だとは言い出せなくなってしまったわけだ。だからか、周りに人がよってくるというのに、どこか寂寥感を覚えるようになっていた。

 そんな学校の時間にも楽しみができた。小さな幸運が起こることだ。どこかに無くしたキーホルダーが机に置いてあったり、席替えで後ろの窓側の席になったり、帰る前まで降っていた雨が急に上がったり。それぞれがありふれた幸運で、特別なこともない。だが、僕はそれを彼のおかげだと思うようにした。そうすることで彼と会えるまでの学校の苦痛な時間も楽しむことができるようになった。

 学校へ行って、学校が終わり、放課後に彼のところへ行く。彼と他愛もない話をしながら小説を書き、頃合いを見て家に帰る。それが日々のルーティンになっていった。

 彼と話をするのはとても楽しい。それは人と違って、話す時に心を偽る必要がないからだろう。彼は無遠慮にものを言うが最近はそれすらも楽しんでいる。何よりも大切な時間だ。

「今書いているのはいつ書き終わる?」

「そんな早く書けないよ。時間あんまり取れないんだから。まだ先。」

「それは難儀だな。」

「ほんとだよね。」

 嬉しいのは彼がまだ僕の小説を楽しみにしてくれていることだ。思ってしまえば、僕は彼をこちらの趣味に付き合わせていることになる。それなのに彼は飽きずに付き合ってくれている。まったく良い友達を持った。人に自慢することができないのがかなり惜しまれるほどだ。

「次の休みはいつだ?」

「長期休暇?なら12月まで無いよ。」

「そうか。」

 彼も僕といるのをだいぶ楽しんでくれているらしい。話す内容がだんだん小説や彼についてのことだけではなく、何気ない他愛もない話が増えてきた。今日何を食べたとか、綺麗な魚を見つけたとか、空に虹がかかっていて嬉しかったとか。そんな感じだ。

 だんだんと寒くなってきて、外にいるのが辛くなってきてもそんな日が続いていた。

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