十二話 忘れない彼女の笑顔
こいしが突然死して、早一ヶ月。そんなある日、
「なぁ、お前」
「?」
急に学ランを某漫画の大将に似せて着ている生徒3名に声をかけられた。
(あの某漫画かよ…)
「ちょっと、体育館裏来いや」
「来ないとどうなるか分かってるのか?」
「ボッコボコにしてやる!」
「重力と森と光で?」
「「「は?」」」
(あれ?違う?)
違うかったようだ。ちょっとふざけすぎたかな。ただ、こんな状況で死んだ彼女…こいしの笑顔を思い浮かべると何か今まで楯突けなかったこいつらにも楯突けれる様になった。
「まぁ、取り敢えず行かないから。それじゃ…」
と帰ろうとすると。急に三大将・生徒3名が僕の目の前を塞ぐように出てきた。
(はぁ…面倒)
「おい!死にてぇのか?あ?」
「いや?」
「じゃあどうして、お前なんかが誘いを断るんだよ!」
「うぜぇ〜…」
「「あぁ??」」
「殺すぞ」
あらら、口に出てたみたい。ただ、こいしの笑顔は僕を今も元気にしてくれる。
「デートのお誘いはお断りしているんですよ〜。」
「は?」
「兄貴!やるんですね!」
「今ここで!」
と言う茶番を三大将はしていたが…その兄貴とやらを一瞬でダウンさせた。
「あぐ…」
「こんな程度…か」
「は…」
「うそだ…」
「次は?」
と僕が言うと、「ごめんなさい」やら「もうしません」と言ってきたが、一回今までの恨みをこいつらで発散…殴った。
「ふぅ〜…」
と言って僕は汗をこいしから貰ったハンカチで拭いた。そして僕は、屋上へ向かったのであった。
「美味しいね…」
「…」
「露?」
「うん。美味しいよ…ただ、やっぱり最後にこいしの笑顔を見たかったなって…」
「…それは…四人全員が思っていることよ。前向いて行こ!ね?こいしは、そんな暗く考えてほしくないだろうからさ!」
「…」
「はぁ…後ろに妹がいる中堂々とイチャつけるよね…」
「え!?ルーミア!」
「私もいるし」
「そして、九鈴も」
「さとりの言ってることは少なくとも、私も同感だし」
「私も」
その時、冬なのにも関わらずに僕の首元に春のように暖かい風が吹いた。
「あ…うん、こいし…ありがとう!少し元気が出たよ!」
「なら良かった。」
「もう二度と、そんな顔をしないでね?」
「そうそう!何かあったときは相談して!」
そんな、心温まる言葉に僕は涙を流したのだった。そして、僕は心に誓った。彼女を笑顔の彼女を忘れないと




