第6話:クラス分け能力試験 筆記試験
ーオラベラ・セントロー
「ねね、エリザ。あそこにいる人知ってる?」
「えっ?誰?」
「あそこにいる赤髪の背の小さい人」
アラベラがそう聞くとエリザと私はその人を見た。
アラベラが言うように赤毛で赤瞳の背が小さい男?男の子?がエリザの方に向かって微笑んでいた。
「し、知らない…」
「でもなんかさっきからすごく良い笑顔でエリザのこと見てるよ。本当に知らないの?」
「知らないって」
エリザが嘘を言ってるわけじゃないと思うけど、あれはなんかナンパとかいう類の笑顔じゃない、知り合いにあって嬉しい的な感じの笑顔。それに髪の色と瞳の色とかエリザそっくりだし。気づいてると思うけど言ってあげよう。
「でもエリザ、髪の色とか瞳の色とかエリザそっくりだよ」
「確かに!生まれ別れの兄弟?」
「ありえないよ!お父様はお母さんにしか目がないんだから絶対にない」
「ブランカさんは?」
「お母さんは…、お父様にしか目がないけど…、なぜか完全否定できない」
「ははは、ブランカさんワイルドだもんね」
「でも赤毛、赤瞳はアシュトさんだよ。ブランカさんは黒髪で黒瞳だから違うよ。それにブランカさんは浮気しないよ。た、たぶん…」
「あっ、手振ってきたよ」
明らかにエリザに対してなのにアラベラが先に手を振りかえす。
エリザもアラベラに釣られて手を振る。
「さっそくライバル出現だねサムエル」
「ん?何が?」
「なんでもないから気にしないで」
エリザはアラベラの口を塞いで下がらせる。
でも本当に誰なんだろう?どこかで見たことあるような〜。
そうしているうちにすごい大きい教室にたどり着いた。
50人全員入れる大きさは十分にある。
先生達は教室の前に集まり、セバスチャン先生が説明を始めた。
「では、これからあなた達の現時点での能力を測る試験を始める。この試験の結果とあなた達のバックグラウンドを元に配属されるクラスが決まる。適切な評価を下すために、手を抜かず、うそをつかず、全力で挑んでもらいたい。もう既に知っている人がいるかもしれないが、このミレニアム学園では次の4つの項目に分けて生徒の能力を評価する。こちらにある項目だ」
そう言いながらセバスチャン先生は黒板を見るように手で指示をした。
黒板には4つの評価項目が書かれていた。
1.戦闘力:武術、魔術、その他を合わせた戦いにおける総合的な強さ。
2.知識力:歴史、地理、文学、数学などの様々な分野での知識。
3.判断力:難しい、あるいは迅速な決断が求められる場面での対応力、応用力。
4.影響力:人を惹きつける力、導く力、従わせる力、
その存在が他人、国、世界にどれだけ影響を及ぼすか。
「以上の4項目にFからSの評価をつける。Fが最も低く、Sはミレニアムナイトになるのに求められる能力基準と考えてもらえればいい。ただ、稀にこの基準を大きく凌駕する能力を持つ生徒がいる。そのためにミレニアム第10期生からSの上の評価S+、S++、S+++が作られた。だがしかし、そもそもミレニアムナイトになるのにはSより高い評価は求めていない。それにSより上の評価が与えられることがほぼないため、こういう評価もあるんだという程度の理解で良い。また、オールSを取れなければミレニアムナイトに慣れないわけではない。逆にオールSなんて生徒は両手の指で収まる程度しか在籍したことがない。故にこの能力評価が全てではないと理解するように。では、質問がなければこれから筆記試験を始める」
質問したい!そう思ったときにはもう手が上がっていた。
「オラベラ・セントロさんどうぞ」
「セントロ?」
「この国の王家の?」
「めっちゃ綺麗」
「お姫様の中のお姫様じゃん」
「あんな綺麗なお姫様って本当にいんのかよ!?」
あっ、まずい。
余計な注目を集めちゃったっぽい。
いろんな人から見られてる。
「静粛に。オラベラ・セントロさんどうぞ」
「は、はい。ええと、実際にS+++の評価を受けた生徒は今までにいらっしゃったのでしょうか?」
「確かに」
「知りてぇ」
「お姫様良い質問すんな」
「綺麗すぎる!」
「先ほども言いましたが、本日のスケジュールまたは試験内容と関係のない質問は控えて頂けると助かります」
「す、すみません。どうしても気になってしまって。大変失礼しました」
「と言っても、基準にするという意味では完全に関係ないと言い切れないのも事実。それに何より、多くの生徒が気になって仕方がないでしょうからね。では答える代わりに本日のスケジュール、試験に関係のない質問は控えること。良いですね?」
「はい」
私はもちろん、多くの生徒が返事をした。
「戦闘力と知識力の2項目においてはS+++の評価を受けた生徒がいます。まずは戦闘力。Sより上の評価が作られた要因となった生徒にして、今はミレニアム・グランドマスターのアンジェリカ様がS+++の戦闘評価を受けている」
「グラマス!」
「まぁ、S+++がグランドマスターになったんなら納得だわ」
「ミレニアム学園出身のグランドマスターの2人のうちの1人だよね?」
ミレニアムグランドマスターは10人しかいなく、ミレニアム騎士団の最高戦力であり、1人で王国1つを滅ぼせると言われている。そのためミレニアム協定を結んでいる国家においては英雄の中の英雄であり、最も知られている人たちである。サムエルの姉、アンジェリカ姉さんはこのグランドマスターのアンジェリカ様のように強く、たくましく育つようにと同じ名前がつけられたと以前に聞いたことがある。
「そして、知識力においては昨年まで在籍していたテドニウス・ハニガン様がS+++の評価を入学時点から受けていた」
(テッド兄さん!)
「ちなみにテドニウス・ハニガン様は他の全評価項目においてもS以上の評価を受けていました。つまり、先ほど説明した両手の指で収まる程度しか在籍したことがないうちの1人です」
「オールS!?」
「やばっ!」
「マジかよ」
「バケモンじゃん!」
やっぱりテッド兄さんはすごい!ああ、顔がニヤけちゃう。絶対にアラベラにいじられる。
と思ったけど意外にも「テッド兄さんってやっぱりすごいんだね」と言っただけだった。
そして「当たり前じゃないバカベラ!」と隣のエリザに怒られていた。
「これで聞きたかったことは聞けましたでしょうか?」
そう言うとセバスチャン先生は私を見つめた。
そっか、先生は私が最初からテッド兄さんのことを聞きたいとわかってたんだ。
「はい。お答え頂きありがとうございました」
「では、筆記試験の説明を開始する」
ーサムエル・アルベインー
「全員テスト用紙を受けとったな?では、説明する。渡されたテスト用紙には100の問題がある。それを答えるだけのシンプルなテストだ。制限時間は2時間。重複する問題がいくつかあるものの、基本的に各テスト用紙に違う問題が出題されている。そのためカンニングなどしても特に意味はない。テストの最中はおしゃべりを禁止とする。また、お手洗いにいきたいものは自由に行っても構わない。入ってきた扉を右に進めば良い。そしてテストが終わったものはそのまま自席で待機。2時間後にテスト用紙を回収する。あと、それぞれのテスト用紙はこちらの調べであなた達の第一言語のものを渡しているが、もしどうしても別言語で受けたいのであれば、おおよそ存在するほぼ全ての言語のテスト用紙も準備している。そういったものはいるか?」
第一言語で受けられるならわざわざ別の言語に変えるやつはいないだろう〜。
自分、頭良いんです〜アピールか、単純に第一言語でやっても簡単過ぎてつまんないわ〜。
のどっちかだろう。
「…」
ちょ、待てよ。それって少しおもしろうそうじゃねぇ?
あんまり知らない言語とかでやってあえて難易度上げる。
ふふふ、ちょっとやりてぇー。
でも、絶対目立つからやめておこう。
俺は平凡な学生生活を送るのだ。
「はい。カサンドラ・スリバンさん」
「ほぼ全ての言語でテスト問題を用意しているということでしたが、それには古代語や上位語、それからあなた達ミレニアム騎士団が使うミレニアム語も含まれますか?」
「上位語については解答を控えさせてもらう。古代語とミレニアム語の用意はある」
「ふふふ。すみません。いたずらな質問でしたね。では私はミレニアム語で受けてみたいです」
「ミレニアム語はミレニアム騎士団の古代から扱う言語であり、それを学ぶ方法はミレニアムナイトになる意外に方法はない。わからない言語で受けたところで点数が上がることはない。よってミレニアム語で受けるメリットはない。これは生徒の能力を正確に評価するための試験である。あなたの本来の能力を測れなければ意味がない。よって」
「大丈夫です」
「?」
「大丈夫です。私、生まれてから筆記テストというもので満点以外取ったことがありません。それがどういう言語であろうとも変わりません。どうしてもだめだというのならばこのままでも良いのですが、私にとってはとてもつまらない2時間になってしまいます。ですのでお願いできるのであれば、コホン、コホン、コホン」
車椅子の女は咳をした。しばらく治らず。教室の中は咳の音だけが聞こえた。
セバスなんちゃら先生は車椅子ガールに近づき何かの術を使用した。
そうすると車椅子ガールの咳が治った。
あれ、回復魔術じゃないな。
「失礼しました。ありがとうございます」
セバス先生は元の位置に戻る前に車椅子ガールの席に別のテスト用紙を置き、元からあったものを回収した。
車椅子ガールは嬉しそうだった。
「他に言語変更を希望するもの、もしくは質問のあるものはいないか?」
いないらしい。
「いないな。では筆記試験を開始する。始め」
それにしてもミレニアル語か〜。それは習おうと思っても習えない言語だ。
と言っても聞いたことがあり、いくつかの言葉をわかっていれば言語というのは解読できる。
だから無理ではないんだろうけど、車椅子ガールにそれができる知恵と機会があったってこと?
それともまさか、いや、ないな。それはないな。
さすがにこの筆記試験中にそれをやろうとするのはない。
ないよな?
でも、待てよ。そもそも触れられる機会がほぼない言語に触れるチャンス。
いくつかの言葉や基本的な言語の構造知識があれば不可能ではないし、
他にない千載一遇のチャンスになる。
ああ〜。くそ。自分もミレニアム語で受ければよかった。
テストの点数が0点でも受ければよかった。
でも、目立つような。目立ちすぎるよな。
でも受けたかったな〜。
まぁ、しょうがないよね。
では、テストを見てみよう。
ええと、ええと、ふ〜ん。なるほど。ふむふむ、そう来るか。
誰でもわかるような基本知識から、貴族以上の教育を受けていなければわからない問題、その道の専門家でなければわからない問題。
そして明らかに答えさせる気のない、世界でも有数の知能を持つものしか答えれない問題が数個。
うんうん、これは満点というのが無理なテストだな。
俺なら8割の問題は解けるけど、それで良いのか?
お姉さんが言うのには実力通りやればアルファになる。
でも、それはあくまでのお姉さんが知る俺の実力だ。
うん?おかしいな。
お姉さんに見せてる実力はアラベラと同じ、エリザよりは少し下な感じだ。
それでアルファなのか?
バックグラウンドか。バックグラウンドも関係してるとか言ってたな。
貴族だからアルファになりやすいのだったらなんか嫌な学校だな。
まぁ、どうでもいいけど。
とりあえず、このクラス分け試験で目指すのはアルファクラス以外。
毎日お姉さんに付きまとわれては何もできないからな。
お姉さんが言うのにはディスカッションと戦闘力を測る試験もある。
ディスカッションはどうなるかわかんないけど、この筆記試験と戦闘力を測る試験は比較敵に能力の評価を操作できそう。
知識評価は普通くらいにしとこうか。5割の問題に回答しよう。
それにしてもあの犬の女ずっと肉食ってるな。
テスト見てもいないし。
おいしいそうに食うからこっちまで腹が減ってきたじゃないか!
俺はぴったしと半分の質問に回答して、その後自分の席で寝た。
「サムエル。サムエル!」
「うん?なに?」
「もう終わったよ。テスト中に寝ちゃうなんてサムエルにとってそんな簡単だったの?」
「いや〜、半分しか答えなかったよ。だから後は寝ようかなと」
「半分か。私もそんな感じ」
「そっかそっか」
「同じクラスになれるといいね」
(エリザと同じクラスになるのは構わないんだけど、エリザはアルファの可能性が高いからそれは困る。でもここで否定すればもっと困る展開になるだろう)
「うんうん。そうだね」
エリザは満面の笑みだ。
エリザって笑うと本当に可愛いんだよな。
「第1筆記試験お疲れ様でした。10分の休憩の後、第2筆記試験を開始します。お手洗いに行かれる方はどうぞ」
セバス!?第2!?聞いてねぇよ。
でも、まぁ、第1と同じレベルだったらなんとかなるか。
俺たちは第1筆記試験についていろいろ話した。
アラベラは散々で、エリザと俺は半分くらい、オラベラが7割〜8割くらいは解けたらしい。
7割解けるんだなオラベラ。
まじめに解答したときの俺と変わんないじゃん。
前から本当すごいね。
いや、前からじゃないね、オラベラが勉強を頑張るようになったのはテッド兄さんに憧れるようになってからだ。
でもまぁ、頑張ればそんくらいはできちゃうってことだよな。
「では、これより第2筆記試験を開始する。先ほどとほぼ変わらないが、違う点は終わったものから速やかに回答を提出し、教室の外に出てもらうことだ。終わればお昼の時間とする。先ほど案内したトイレのある廊下をまっすぐ行くと階段がある。その下に降りれば食堂がある。時間となれば次の会場に連れて行くために我らが向かいに行くゆえそこで待機をするように。始める前に質問のあるものはいないか?」
ミレニアム語で受けたいけど、今それを言ったら変だよな。
すげぇおしいけど仕方ない。平凡な学園生活のために我慢しよう。
それにミレニアムナイトが先生しているこの学校ならまたチャンスはあるでしょう。
「第2筆記試験ではテストが始まってから質問は一切受け付けない。良いな?」
今の前置きはなんだ?あえて言うところ?
それにしてもさっきと違ってかなり薄いな。1枚だけか?
「では第2筆記試験を開始する。始め」
1問だけ?
以下のシチュエーションを想像してください。
あなたは軍の小隊の隊長です。
今、街が襲われてます。
3地点から援軍要請が来ています。
A .この国のリーダー、王族、貴族、政治家などが集っている宮殿。
B.戦えない人、子供を非難させた教会。
C.自分が最も愛する者が住まう街の区域。
(愛する者がそこにいて、なおかつ愛する者がこの国のリーダー等に当たらないこととする)
・あなたの小隊は王国内で有数の実力を誇り、援軍に向かえば敵軍を倒せるものとする。
・あなたの小隊が援軍に向かわなければABC地点にいる人々は全滅します。
・小隊を分けた場合、敵を倒すことができずに全滅します。
・ABC地点は自分の隊がいる場所から同じ距離とする。
・1つの地点の援軍に向かった後、そこの敵軍を倒せば、別の地点の援軍に向かうことが可能。
・1番目に援軍へ向かう地点にいる人は全員救える。
・2番目に援軍へ向かう地点にいる人の半分しか救えない。残り半分は命を落とす。
・3番目に援軍へ向かう地点では敵を倒すことはできるが、その地点にいた人は全員死亡する。
質問:
あなたはこの状況下でどのような行動を取りますか?
援軍に向かう場合はどの順番で援軍に向かいますか?
そして、なぜそうするのか、理由を答えなさい。
なんだこれ?知識とかかんけなくねぇ?
援軍に行く順番にパターンはあれど、
こんなの100人に聞けば100の答えがあるよな?
あっ。そういうことか100人じゃなくて50人。
50通りの答えがここにあんのか。
これは知識力のテストじゃない。
判断力のテストだ。
こんなの考えるまでもないことだけど、どうやって答えるか?
って、我鷲丸?
我鷲丸がいきなり立ち上がった。
「俺に任せろ。3箇所とも俺が救い出してみせら!」
そして教室を出て行った。テスト開始から1分ちょい。
えっ!?実際に助けに行ったってこと?
まぁ、ある意味迅速な判断力だな。
ははは。やっぱりあいつおもしれぇ。
「バルタ先生お願いできますか?」
「ええ、行ってくる」
そして獣人の女先生は我鷲丸を追いかけて行った。
さてさてどうしようか?
まぁ、俺としては
C→A→Bだな。
Cは言うまでもなく大事な人を助けるのは当たり前だ。
エリザ、お兄ちゃん、ビアンカ、まぁ、一応お父さん、お母さん、お姉さん。
助けなんて必要ねぇんだろうけど。
Aは単純に偉いやつらに恩をうっとけば後でおいしい思いができるかもしんないしな。
むしろ半分死んでくれることによってさらに俺に対するありがたみが浸透するでしょう。
それに家柄故に知っている人も多そうだしな。
Bはな。別にどうでもいいけど。戦いたいから仇を取るというていで敵の残滅はするかな。
というのが実際の俺。
でもこれは評価を簡単に下げるチャンス!
逃す手はない。
故に俺の答えはこうだ!
ー俺に人の命の価値を決めることができません。風が吹いた方面に近い地点に最初に行き、2番目に行くところはコインで決め、何もできなくとも最後の地点にも向かう。こんな質問あんまりだ。ー
と、あきらかに優柔不断な感じで行こう。
うん、いいね!
これでアルファは消えただろう。
どれくらいで提出しよっか。
早過ぎると怪しまれそうだもんね。
「肉なくなったのです!」
肉食い犬!
まるでそれが全員の問題であるように大きな声で言った。
「ザラサ。終わったのなら教室を出て右、階段を下で食べれますよ」
「うん!わかったのです!行ってくるのです!」
そして肉食い犬は教室を出て行った。
あれ、多分白紙だな。
つか第1筆記試験も多分白紙。
だってずっと肉ばっか食ってたもん。
試験開始から5分ほどで車椅子ガールは手をあげて、セバス先生が回答を受け取るとアイス先生が車椅子ガールを教室の外へと連れて行った。
車椅子だから押して行った?
まぁ、そんな感じ。
その後、試験開始から10分ほどでアイス先生に喧嘩売った不良君とその取り巻き2人がほぼ同時に立ち上がり回答用紙を提出し、教室を出て行った。
取り巻きのダークエルフはまだテストを行なっている最中だった。
その後、さらに5分。ロビーで質問していた紫髪の女を含める6人が回答用紙を提出した。
そろそろいっか。
俺は立ち上がり回答用紙を提出し、教室の外に出た。
あ〜あ。肉食い犬のせい肉が食べたくなっちゃったな〜。
って、不良君!?
教室を出たすぐのところに不良君とその取り巻きのメガネ不良とデカ牛女がいた。
「なんか用か、てめぇ?」
「いいえ、なんでもありません」
めっちゃ睨まれた。
でもなんにもされなかった。
あれってあのダークエルフを待ってんだよな。
律儀な不良君なんだね。
ってともかく今は肉肉。
食堂に着くと案内係みたいなのが食堂入ってすぐのところに待ち構えていた。
あっ!この人だ!
頭ん中でふとそう思った。
この人以外にいねぇだろうってくらいにその人だった。
学園史上1の美しさにして、世界でも有数の美しさを持つ…
持つ…、ア、ア、アントニウス、アンデレス?アンデュラス…
「ミレニアム学園の食堂へようこそ。生徒会長のアルドニスです。以後お見知り置きください」
「そうそう。それだ!アルドニス」
「?どこかでお会いしましたか?」
「いいえ。すみません。なんでもないです」
つか声まで綺麗じゃん!
生徒会長のアルドニス。