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第5話:学生証

ーオラベラ・セントロー


門を潜った生徒はミレニアム学園のメイン校舎(城)に案内された。


大きいペットを持ってきてる生徒は途中の飼育小屋にペットを預けた。

小さいのは問題ないとのことだったので、私はアンジーちゃん、エリザはレンジ君を持ったままだ。

でもダイアウルフのモロはさすがにかなりアウトでアラベラはモロを預けた。


メイン校舎につくと、その扉の前に既に7人の生徒がそこで待っていた。

前もってミレニアム学園に滞在している生徒だ。

特別な理由があれば学園はそれを認める。

数日前にその説明を受けたばっかりだからよく覚えている。

私はその7人の生徒のうち4人を知っている。


まず、レッド・サークル出身の氷条龍次郎君。彼がセントラムに到着したとき、王家は彼を出迎えに行ったのだ。パパとママが誰かを出迎えに行くのは他国の王族くらいだけど、昨年レッド・サークルとの戦争があったことで友好の印として王家全員で出迎えに行った。彼と一緒にセントラム王国にレッド・サークルの文化を教える大臣も来た。それと本来はもう1人、レッド・サークルからのミレニアム学園生も来るはずだったのだが、そもそも始めから船に乗らなかったようだ。考えが変わり、辞退したのかな?


黒髪の美女、美男は大陸の東側のイェン帝国の第1王女と第1王子。イェン・フォーヤオ王女とイェン・ウェイチェン王子だ。イェン帝国のイェン・フー皇帝が来賓したときに舞踏会で会ったことがある。フォーヤオ王女はとても賢く自信に満ち溢れたすごい人だった。なんかすごいかっこよかったのを覚えている。ウェイチェン王子はその逆で、人と打ち解けるのが苦手。そのためほとんど話さなかったけどお姉さんには負けないぞっていう気迫だけは彼から伝わった。


それと犬科の獣人の女性。尻尾が大きい。なんかずっと肉を嬉しそうに食べている。しかも肉を大量に持っている。


からのゴブリン!?ゴブリンの生徒がいるんだ!かわいい!話してみたい!


と、長い金髪に、青い瞳、アラベラのお父さん、ガビ様を若くした感じの男。


そして、私が知っているもう1人の生徒、車椅子に乗っている、白髪の赤い瞳の女性。

メジャイ協会理事長の娘カサンドラ・スリバン。

生まれたときから不治の病にかかっていて自身で動くことがほぼできない。

前に1度話したことあるけどとても面白くて良い子だった。

病気のこともなんとかしてあげたくて、パパにも相談したけど、本当不治の病らしく、世界中を探し回ったが治療法は見つけていないとのこと。今の医学でも魔術でも治せない。治すのには魔法しかないんじゃないかと言われている。

あっ!そっか!クラス対抗試験で優勝すれば。


その4人と目が合ったので軽く手を振った。

その後、校舎の扉は開かれ全員中に入った。


入った最初の間は巨大なロビーになっており、全生徒が入れる程の大きさだった。 

そこは自分が住んでいる城よりも綺麗な作りで、見たこともない芸術品がたくさん飾ってあった。

芸術方面に秀でている人もそうでない人もその凄さがわかりやすく、普通ならば多くの人がその美しさに驚いたことだろう。


ただ、ロビーにはそんな芸術品がどうでもよくなっちゃうくらいの美しいものがいた。

男子は全員彼女に釘付けだ。あの美女に疎いサムエルでさえ2度見してしまうレベル。

というか私を含め、女子の数人も彼女に魅了されている。

褐色の肌に、長い黒髪、とんがった耳、体の線がよくわかるスーツにヒール、そしてとどめに眼鏡。

うん、これはあっち方面に疎い私でもわかる。この人はおそらくエロい。

いや、それだと語弊があるね。この人がエロいのかはわからないけど、見た目がエッチな感じだ。

あれ?なんか違う?もっと違う言い方があったような。


「お姉ちゃんに負けないくらいに妖艶な人だね」


それだ!妖艶だ!うん、確かにサンさんに負けないくらい妖艶だ。

でもサンさんの場合は狙ってないというか、自然に妖艶というか、肌もほぼ見せないし、このダークエルフの女性とは違う。あの人はおそらく狙ってあいう格好をしてる。


「ってあれクイーンさん!?」


アラベラが言うと私も気づいた。妖艶なダークエルフさんはクイーンさんだったのだ。テッド兄さんの元クラスメイトで最強の世代の1人。ミレニアム学園の文化祭に来たときに何度か会っている。確かに学生の頃から絶世の美女ってことだったけど、大人の格好をするとさらにすごいね。ていうかここで何をしてんだろう?卒業したんじゃないの?留年?いやいやミレニアム学園に留年とかない。


荷物を床に置くように指示され、そうした後に校長先生が私達に話かけた。


「それでは改めて君達をミレニアム学園に歓迎する」


そう言った後、校長先生は私達1人1人を見つめながら話を続けた。


「この場にいる50人は全世界から集められた、ミレニアムナイトになれる素質を持つもの達である。私はこの場にいる1人1人に期待をしている。この学び舎で自分の才能を開花させ、是非とも我が騎士団に加わってもらいたい。だが、もしそれが叶わなくともここで学んだことは君達の将来において大きな力になる。今、この部屋にいる人達を見て欲しい。ここにいる人がそなたらの仲間になり、友人になり、ライバルとなるもの達である。そして残念ながら50人全員が一緒に卒業することはできない。我が校では年に3回退学の可能性がある。また、大きく学園の規律を破った場合にも退学の危険があることを覚えておいて欲しい。だが、そういうことに臆さず、その日その日が学園での最後の1日になるかもしれないという緊張感を持ってこのミレニアム学園での生活を精一杯楽しんで欲しい。それと我が事務室の扉はいつでも空いている。もし相談したいことがあったのならば遠慮なく尋ねるが良い。私からは以上だ。この後は君達を担当する先生方にお任せする。では、ミレニアム学園300期生の担任先生方よろしくお願いします」


そう言うと校長先生はこの場を去って行った。他の4人の先生方は校長先生の姿が見えなくなるまで頭を下げたままだった。だけどクイーンさんは校長先生の姿が見えなくなるまでずっと目で校長先生を追っていた。


「なんか良い人そうだったな」


「そうね。なんかわかんないけど頼りになる感じ?」


「イケメンだしね」


サムエル、エリザ、アラベラの感想である。


4人の先生は私達の前に立ち、自己紹介を始めた。


「300期生のアルファクラスを担任するミレニアムナイトのセバスチャン・アウグスティンだ」


金髪、青目のイケメン、昨年亡くなったボイルズ先生と同じ奇跡の世代の1人。


「ベータクラスを担当するミレニアムナイトのバルタだ」


長い白髪の獣人。女性。犬科かな?


「ガンマクラス担任、ミレニアムナイト、アラスカ・アイスランドよ」


白銀のショートヘアの女性。アイスランドってことはシンティア大陸出身だ。


「デルタを担当するフェデリコ・ロッチャーだ」


金髪の肩幅が広い男性。この人はよく知っている。まず、ナイトじゃなくてマスター。

昨年の戦争でレッド・デーモンとの一騎討ちに敗れた人。

ミレニアムナイトが絶対に負けることがないと言われていた一対一の勝負で負けた人。

彼が負けたせいで戦争は更に混乱し、ミレニアム騎士団の威厳が落ちた。

ミレニアムナイトは絶対に負けないという伝説を終わらせた人だとも言える。

実際に彼が負けた後にミレニアム協定を抜けようよした国家があった程だ。

学園の先生になっていたのか。


「レッド・デーモンに負けた人でしょ?」

「左遷されたのかな?」

「干されたってこと?」

「負けた人が先生ってマジ?」

「デルタになりたくないな」


周りの生徒もこのことを知るものは多く、小声でそのように言っていた。

ロッチャー先生に詳細まで聞こえているかわからないけど、噂されているということは十分に伝わる光景だった。

だけど、全く動じないところはさすがって言ってのかな?


「ご静粛に。これからの流れを説明しますよ」


大きな声でアラスカ先生が言った。


「おい。この学園は確か各学年5クラスだろう?もう1人の雑魚はどこだ?」


背の高い、白銀のショートヘアの男だった。両手をポケットに入れており、ぶてぶてしい態度で立っている。


「今なんと?」


アラスカ先生がその男を睨みつけて言う。


「もう1つのクラスの担任になる雑魚はどこにいるかって聞いてんだよ」


アラスカ先生はまっすぐにその男のところへ歩き始めた。

彼女の周りから氷のオーラが出ていて自然とその間にいた生徒は道を開ける。


「オマエ、今誰を雑魚と呼んだ?」


アラスカ先生のオーラが更に大きくなる。これは氷だけじゃない。この力は何?

だけど、その男も何?ほとんどの生徒が恐縮している中、目の前で睨まれているのに全くびびってない。

むしろ大歓迎って感じだ。


「てめぇらのことだよ」


そう彼が言うと彼の周りに3人の生徒が集まった。

彼の知り合い?いつでも彼を援護できるようにスタンスをとっている。

1人目は男と同じ白銀のショートヘアの男だが体の線は細い。

2人目は牛科の獣人の女性、今問題になっている男よりも背が高い。誰が見ても強そう。

3人目はか弱そうなダークエルフの女性。見た目は強くは見えないが、アラスカが先生が変な動きをすれば戦うという意思を強く感じる。


アラスカ先生も威圧すれば黙らせることができると思っていたのか中々次の動きに移れない。


「どうした?威圧だけしてやんねぇのか?だったら雑魚と呼ばれて当然じゃねぇか。レッド・デーモンにナイトを殺され、マスターがボコられた。そして今入学したばかりの1年になめられても何もできねぇ。これを雑魚と言わずになんて言うんだよ?」


「ちっ」


まずい。止めないと。あの男本当にやる気だ。さっきから殴ってくれとでも言ってるような体制でアラスカ先生を誘ってる。


「クレイ君」


「あっ?」


「オメガを担当する先生は所用で遅れているだけだ。到着次第すぐに紹介する。それと、この後の時間が詰まってるんだ。今日のスケジュールに関係ない質問や文句は後日聞く。良いな?」


アルファクラスの担任セバスチャン・アウグスティンは男を睨むでもなく、目を逸らすでもなく、たんたんと冷静にそのことを伝えた。男はその意識をアラスカ先生からセバスチャン先生に移した。目の前にまだオーラを発しているアラスカ先生がいるのに関わらず、彼女を全く気にもしないでセバスチャン先生を睨んだ。


「ああ、いいぜ」


「では、今日の流れを説明する」


セバスチャン先生は何事もなかったかのように話を始めた。

アラスカ先生は他の先生方のところに戻ったが、戻る際にあの男とその仲間3人に笑われた。


セバスチャン先生は彼のことをクレイと呼んだ。クレイさん?クレイ君?ともかく、さっそくの要注意人物1人目だ。


「続いて、彼女を紹介する。クイーン前へ」


「はい。アレハンドロ・マグワイアー校長先生様の秘書を務めております、クイーンと申します。私は数日前にこの学園を卒業したばかりで、まだ勝手がわからない身ではございますが、少しでも皆様の力になれるように精一杯頑張ります。それと秘書としては未熟ですが学園事情に関しては詳しいので何かお聞きしたい事がございましたらいつでもお気軽に相談ください。よろしくお願い致します」


拍手が起こった。先生達の自己紹介のときには起きなかったのに…

それとクイーンさんは声までもが妖艶だ。話したのは1回くらいだから忘れてた。

いや、当時の私には妖艶とかわかんないか。綺麗だなと思ってたくらいだったし。

というかミレニアム学園の職員になったんだね。クイーンさんすごい!

後でテッド兄さんについていろいろ聞いてみよう。


「本日はクイーンにいろいろ手伝ってもらうことになる。彼女は先生ではないがこの学園の職員だ。あなた達は彼女の言うことは先生の言うことだと思ってそれに従ってもらう。良いな?」


「はい」


私を含め多くの生徒が返事をした。


「では、これから全員にこのカードを渡す。カードには君達の名前が乗っている。このカードに魔力を込めることで種族、年齢、血液型、魔力総量、適性の高い職業などの情報が自動で記入される。また、魔力を込めながらカードで物などに触れれば独自の印をつけることができる。後ほど配布する教科書などのミレニアム学園からの支給する物に自分のだとわかるように印をつけてもらう。その印に魔力を流せばその持ち主の名前、学年、クラスのみが表示される。そうすることで誰の物かすぐに判別できる。そして今この印を自分の荷物につけてもらう。その後、カードは一度こちらで預かる。クラスが決定した後に所属するクラスと学籍番号をカードに記入し、担任になった先生から再度君達に渡される。いわゆる学生証のような物だ。くれぐれもなくなさないように。だが、なくした場合はすぐに報告すること。良いな?」


「はい」


ほとんどの生徒が返事する中、1人の女性が手を挙げた。

紫色の長髪で紫色の瞳、真っ白な肌、とても綺麗で神秘的な人だ。

この場にクイーンさんがいなければその美しさでとても目立っていたことだろう。


「レジーナ・ロナウドさん。どうぞ」


「ありがとうございます。田舎国出身の間抜けな質問であるのなら先に謝罪を。ですが、このようなカードは初めて目にしました。ましてやそのような機能があること自体が驚きです。これはセントラム王国では通常の技術なのでしょうか?」


「いいや。おそらく君達の1人を除く全員が初めてこのカードを見ることになる。今年から試作的に使用することになった新技術だ。そのためまだ不具合も多い。だが、ミレニアム学園はこのカードの技術が発展すれば学園内での様々な事の効率が良くなり、生徒の安全を更に守れることに繋がると判断し、使用することを決定した」


「そうだったのですね。わたくしだけが知らないという状況でしたらとても恥ずかしかったのでそれを聞けて安心です。ですが、1人を除くとは、それはどなたなのでしょう?」


「そこにいる、この技術の製作者トーマス・テスラ君だ」


トーマス・テスラ、セントラムの主な街を高速移動できる魔晶列車を初め、数々の発明品を製作した大企業テスラコーポレーションの御曹司。舞踏会で何度かあったことがあるけど話した事はほとんどない。ずっと1人でなんかしてて話しかけにくい雰囲気の人だと覚えている。


「なんと。そのような方がわたくしなどと同じ学年とは光栄ですわ」


レジーナさんは両手でスカートの裾を軽く持ち上げてトーマス君に挨拶した。

トーマス君は腕を組んだまま一度はレジーナさんの方へ向くも、挨拶は返さすにまた前を向いた。

レジーナさんはそれを気にした様子はない。

だが、あの挨拶は貴族のものだ。だけど彼女は見た覚えがない。覚えてないだけなのかな?


「先ほど言った通りまだ完全な技術ではない。カードに反応がない、不具合がある場合は速やかに報告するように。個別に対応をする。では、さっそくおこなってもらおう」


その後、それぞれ名前を呼ばれて、カードを受け取りにいく流れが続いた。


「なんかこれおもしろい!ハイテクってやつ?」


「アラベラはいつもお気楽だな。早くやりなよ」


「私がお気楽なんじゃなく、エリザが硬いんだよ。でも魔力総量とか向いてる職業がわかるとかすごいね」


「今まで特訓してきた職業と違うものが出てきたらなんかショックだよ」


「なんで?今からやり直すチャンスじゃん!大歓迎大歓迎!」


アラベラとエリザのこういう会話を聞くと、2人は真逆なんだなって改めて実感する。

私はそれでも2人が仲良くできていることがすごく嬉しい。


「おお、出た出た!魔力総量C、職業適性エンチャントレス、ビーストマスターだって。ふふふ、エンチャントレスは嬉しいな。お姉ちゃんと一緒だ。ビーストマスターはうん、なんとなくわかってた。魔力総量Cってどんくらいだろう?エリザは?」


「ええと、魔力総量A、職業適性ミュージシャン、ウォリアー・メイジ」


「ちえ〜負けた!悔しい〜」


悔しそうな顔をするアラベラ。でもウォリアー・メイジって。


「エリザ、ウォリアー・メイジはテッド兄さんの職業だよ。メイジの中でなるのが一番難しい職業だよ。その適性があるのってすごいね」


「はは。そう言われると嬉しいけど、私はずっとミュージシャンとしてやってきたからね。今更魔術師系統の勉強しても遅いんじゃないかな」


「そんなことないよ。アラベラが言ったようにせっかく適性があるのだからチャンスだよ。あっ、でもあくまでもエリザがそれを望めばだけどね。無理はしないで」


「うん、そうだね。考えてみるよ。ありがとうオラベラ」


「そういうオラベラは?何になったの?オラベラはなんかすごそうのが出そうね」


「今やってみる」


カードに魔力を込めた途端にカードから煙が出てきた。


「あれ?なんで?」


「これがあれじゃない?不具合ってやつじゃない?」


「俺も同じだ」


サムエルも私と同じくカードに不具合を起こしていた。


「報告しに行こっか」


「うん、そうだね」


1年生の全50人の生徒のうち、4人のカードに不具合が起こった。

私、サムエル、我鷲丸(がじゅまる)くん。(サムエルに名前を教えてもらった)

そして、くるくるした黒髪に肌が焼けたような色の男。

見たことない服装をしていて、どこ出身かはわからないが、おそろくヒルダ大陸じゃないところだろう。

だって、あんな衣装見たことがない。

彼の肩にものすごくかわいい魔獣が乗ってる。

なんか不思議なオーラがある。

というかオッドアイ!?

片方は真っ黒で、もう片方はアラベラの瞳よりも綺麗な碧だ!

すごい!それだけ色の違う瞳を持つ人初めて見た!

本当に綺麗な瞳…

見ていたら吸い込まれそうになる。

でも、なぜか嫌な感じはしない。

吸い込まれてもいいかも…


「オラベラさん」


「はぁあい」


変な声出た!恥ずかしい〜。


「もう1度言いますね。オラベラさん、サムエル君、我鷲丸(がじゅまる)君、ウィリアム君は後ほど個別に対応します。今は自分の荷物がどれなのかをクイーンさんに教えてください」


「わかりました」

「は〜い」

「うむ」

「はい」


それぞれが返事をした。

ウィリアム君と言うんだ。ウィリアム君。うん。ウィリアム君。


「オラベラ顔赤くなってるよ」


「えっ?そう?さっき変な声出して恥ずかしかったからかな」


「その前から赤くなってたよ」


「そうなの?」


「うん、あのポンチョを着た人を見ていたときからね。知り合い?」


「えっ!?ええと。ええと。ううん。知らないけど。なんか、なんか、よくわかんないけど」


「良いやつそうだな!」


「そう!それ!私もそんな感じがした!」


「うん、わかるよ。俺もそんな感じした」


サムエルが他の人を気にするなんて珍しい。

やっぱり特別な何かがあるのかなウィリアム君。


「2人とも大丈夫だった?」


「うん。後でなんとかしてくれるって」


私達は2人はアラベラとエリザのところに戻り、みんなの作業が終わるのを待った。


「では、荷物に印をつけ終わったらカードを回収します。その後、移動するので付いて来るように」


「あの〜」


今度は獅子科の獣人の女性が手をあげた。

あっ!この格好は知っている。

革ジャンにショートパンツ、厚底ブーツ、派手なメイク。

今流行りのギャルってやつだ!私もあいう格好してみたい!


「ンズリさん。どうぞ」


「ええと、うちらの荷物に印つけんのはわかったけど、その後どうなるわけ?」


「クラスが決定したらあなた達と同じ寮の先輩方が荷物を各寮のロビーに運びます」


「ええー。他の人に荷物とか触られたくないんですけど〜。うちこんなかマジで大切なもんとかはいてるし。壊されたら超ありえないし」


「では先輩方には最大の注意をはらって荷物を運ぶようにお伝えしときます。それで良いですね?」


「う〜ん。まぁ、それしかないんならそれでいいけどさ。マジ気をつけてよね」


「ご理解ありがとうございます。それでは皆様クラス分け試験会場へ移動します」


ンズリさん!なんかかっこい!ライオンだからかな?ギャルだからかな?あいう格好の仕方やメイクの仕方を教えてくれるかな?お友達になりたいな。


「オラベラ行くよ」

「オラベラ行くよ」


アラベラとエリザの言葉で我に返る私。


「うん、行こう」


そして、この後、5年間クラスメイトとして共に戦う仲間が決まるクラス分け試験が始まる。

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― 新着の感想 ―
この学年面白い生徒がたくさんいるね、あとオラベラがいろいろ興味しんしんで可愛らしい(笑)
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