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ミレニアム学園 ―赤き終焉への抵抗―  作者: 赤のアンドレ
【1年生編 ー赤い脅威ー】 第1章:最悪の世代入学
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第2話:入学日の朝(アラベラ・トゥドルとエリザ・ダルビッシュ)

ーセントラム五大貴族・トゥドル家の豪邸にてー


「今日からミレニアム学園生だ!」


起きた瞬間、サファイアのように澄んだ碧い瞳を輝かせ、豪快な笑い声と共に叫んだのは、トゥドル家令嬢アラベラ・トゥドルである。

長く伸ばした金色の髪に、透き通るような白い肌。

すらりとした体は、耳さえ尖っていればエルフと見間違うほどの美しさを備えている。だが、気高い美貌に似合わず、彼女は気取らない親しみやすさを漂わせる。天真爛漫で、ときには周囲を振り回しながらも、なぜか憎めない。

それがアラベラという少女だった。


「ワン」「ニャー」「ガオオ」「ピーピー」「ゲロゲロ」「クルルル」「シャーッ」


その部屋は魔獣で溢れており、アラベラが目覚めると、魔獣達が一斉に彼女に群がり始める。


「わあ、わあ、待って、みんな待って。きゃあ」


そしてアラベラの体は数多の魔獣に埋もれた。

身動きができない状況だ。


ちょうどそのとき、誰かがノックもせずにアラベラの部屋に入ってきた。


「アラベラそろそろ起きないと間に合わないわよ」


部屋に入り、ベッドのそばに立っているのは七本の尻尾を持つ狐科の獣人。

彼女の声は、女性にしては低いトーンで耳に残り、どこか艶を帯びていた。

しなやかな体つきに赤い毛並みを持ち、揺れる尻尾が空気を切るたびに神秘的な気配を放つ。

鋭さと妖艶さを同時に纏ったその姿は、獣人の中でひときわ目を引く存在だった。

それは、「レッド・フォックス」の二つ名を持つランク8の冒険者、サンだった。


「お姉ちゃん助けて」


「全くもう、この子は」


そう言いながらサンはアラベラの上に群がっている魔獣たちをどけた。


「ヒヒ、ありがとうお姉ちゃん」


アラベラは昔から嬉しいときや照れるときに「ヒヒ」と笑うクセがあった。

周りには変に思われても本人は全く気にしていない。


「”ヒヒ”じゃないのよ。ガビ様がわざわざ時間を作ってくれたのだから早く準備しないと」


「うん、わかった。すぐに準備する」


「それで、もうどの子を連れて行くか決めたの?」


「昨日ずっと考えてたけど決まらなくて、どうしようお姉ちゃん!?」


「知らないわよ。それに本当は生徒一人に対してペット一匹までのところをオラベラ王女とエリザ様の助けで三匹も連れて行けることになったでしょう?それで決まらないのなら知りません」


「だってみんな大好きなんだもん」


「はぁ〜、それはわかってます。みんなもわかってる。だからあなたの助けになりそうな子を連れて行きなさい」


「ふふ。うん。そうする」


って言われると、モロを連れて行きたいんだけどお姉ちゃんが困るよね。

モロは私のではなくお姉ちゃんのだし。


お姉ちゃんに準備を手伝ってもらって、準備を終えた私とお姉ちゃんは食堂に向かった。

そこにはパパが既に私たちを待っていた。


「アラベラ、サン、おはようございます」


細身で背が高く金色の髪に碧い瞳を持つ姿は、まるでエルフを思わせる気品を漂わせている。


「パパおはよう」


「おはようございますガビ様」


私はいつもしているようにパパにおはようございますのハグとほっぺにチュウをし、席についた。

パパの隣だ。


そしてお姉ちゃんはパパにハグをし、パパの膝に乗りながら、パパの唇に熱いキスをするのであった。


と、私はいつも妄想している。

なんでこんなにも長く住んでいてパパとお姉ちゃんはくっつかないんだろう?

パパは超イケメンで優しいし、お姉ちゃんは超キレイで強い。

お姉ちゃんじゃなくてママって呼びたい。

もちろん本当のママのことを忘れたわけじゃないし、今もこれからも愛しているけど、この数年間、お姉ちゃんは私にとってのママだった。

おそらくお母さんから学ぶべきことっていうのは全てお姉ちゃんから学んだ。

自分を綺麗に見せる方法から人の扱い、自分を守るための術までも教えてくれた。

ただのメイドじゃない、うちに来たときからただのメイドであったことなんかない。

血が繋がっていなくとも私の家族だ。

きっとパパもそう思ってるはずだ。

だから三人いるときは三人で同じテーブルで食事をとる。


「考え事ですかアラベラ?」


「ううん。なんでもないの。ただこうやって三人で食事をとるのしばらくないんだなと思って」


「私はビジネスのため後二ヶ月はホワイトシティにいます。それにサンはあなたがミレニアム学園生になるのに合わせて、冒険者登録先をホワイトシティに移行しました。会いたくなったら週末にでも帰ってきなさい。できる限り時間をお作りしますよ。サンもそうしてくれるでしょう。ですよねサン?」


「もちろんそうしますが、登録先をホワイトシティに変更したのはアラベラのためではありません。ホワイトシティのギルド長にどうしてもとお願いされたからです」


「ふふ、そうですか。ではブラッド・ケイジ様に感謝しなきゃいけませんね。あれだけ何度も誘いを受けておきながら、ずっと断ってきたサンがちょうどこのタイミングで首を縦に振ったことは彼の執念の成果ということでしょう。でも理由がどうであれサンがホワイトシティに残ってくださるのであれば私は安心できます」


「そのことなのですが、今ギルドはかなり忙しいみたいです。ほぼ家のお手伝いをすることができません。仕事をしていないのにこのままメイドとして雇ってもらうのは申し訳なく、もちろん解雇ということならこの家も出て行きますのご心配なく」


「なりません」


お父さんはお姉ちゃんを遮った。


「あなたは既にこの家族の一員です。メイドであろうがなかろうがこの家を出る必要はありません。それにランク八の冒険者「レッド・フォックス」を召し抱えるのはトゥドル家としても鼻が高い。サンがメイドの仕事を何もしていなくともそれだけで給料を支払うのに十分すぎる理由です。いいえ。違いますね。あなたはこの数年でとても有名になりました。逆に給料を上げないといけないですね。大変失礼しました。さっそく新しい給料の額を」


「いいえ、いいえ。わかりましたから。給料も上げていただく必要はありません。これからもよろしくお願いします」


「ええ、よろしくお願いします」


ふふふ、さっさと付き合えや!つか結婚しろよ!

はぁ〜。この二人見てるとなんか辛い。


「アラベラ先ほどから何も食べてないですよ」


「ああ、食べる食べる」


そして今日も三人でおいしく食事をとった後は、運命の選択、デスティニーチョイスだ!

選ばなければ、学園に連れて行く三匹を。


悩みに悩んだ挙句、二匹は決まった。

ネズミのレンジくんとフライングキャットのアンジーちゃんだ。

レンジは小さくて、すばしっこくて情報収集に長けている、鍵開けも得意だ。

そしてアンジーちゃんは難しい性格をしてるけど魔獣であそこまで魔術を扱える子は他に知らない。

一度、魔術師から三億ルカで買い取らせてくれと言われたほどだ。

魔術が使えようが使えなかろうが売るつもりはないけど、その魔術師が言うのにはアンジーちゃんはかなり珍しいとのこと。

魔獣を取り扱う店で売られてた場合三〜五億ルカの値がするほど希少らしい。

ふふ、うちのアンジーちゃんはすごいのだ。


これで技と魔術は問題ない。

すると残るは剛だよね?

そうするともう一択しかないんだけど、ダメだよね?

お姉ちゃんの相棒だもんね。

お願いしたらお姉ちゃんは「いいよ」って言ってくれそうだけど、モロが私と一緒にいることによってお姉ちゃんが怪我でもしたら絶対に嫌だ。

うん。別の子にしよう。

ホワイトタイガーのタイギーくんにしよう。

彼もすごく強いし。


「アラベラ」


「何お姉ちゃん?」


「モロを連れて行きなさい」


「え?でもモロはお姉ちゃんの」


「連れて行きなさい」


「できないよお姉ちゃん。だってモロは」


「でも、だってはなし。いいからモロを連れて行きなさい。モロならアラベラを守れる。それとも私をずっと心配させるつもり?仕事中にアラベラのことを心配してて傷でも負ったらどうしようかしら。困るな〜」


小悪魔的にお姉ちゃんは私を見つめながら笑った。


「お姉ちゃん大好き!」


私はお姉ちゃんに飛びついてハグをした。


「ええ、私も大好きよ」


このようにしてランク八冒険者レッド・フォックスの相棒であり、幾度もの戦いを経験している最強のダイアウルフ「モロ」をミレニアム学園に連れて行くことになった。


その後、うち、パパ、お姉ちゃんの三人は馬車に乗ってミレニアム学園に向かった。

しばらく会えないのは寂しいけど、学園もかなり楽しみにしている。

毎日オラベラとエリザと一緒なら絶対楽しい。

そんなことを考えながら、三人で話しながらミレニアム学園に到着した。

荷物が下ろされるのを待っているとエリザと目が合った。


「エリザ」

「アラベラ」


ーセントラム五大貴族・ダルビッシュ家の豪邸にてー


全ての支度を終えて、準備万端の状態で待つ少女。

燃えるような赤髪が肩にかかり、ルビーのように澄んだ赤い瞳が揺れている。

雪のような白い肌に、鍛錬で引き締まった体が映え、その姿には健康的な力強さが宿っていた。

華やかな装いをしていても、いつでも戦いに臨めることを思わせる。

そんなエリザ・ダルビッシュは、少し寂しそうに馬車の準備が整うのを待っていた。


そうすると階段から誰かが降りてきた。


黒髪に鋭い目つき、足取りも力強く、颯爽と現れたのはセントラム王国五大貴族の一家、ダルビッシュ家の奥様、ブランカ・ダルビッシュだった。

女性でありながらズボンを好み、腰には左にレイピア、右にダガー二本、背にはピストル二丁を携えるという、貴族の奥様らしからぬ装い。

その姿は凛として美しく、美しい顔立ちと豊かな曲線美をあわせ持ち、姉御肌の豪快さと女性的な艶やかさが同居していた。


普通に考えると場違いなこの女性は私のお母様、ブランカ・ダルビッシュだ。


「いつも通り準備が早いなエリザ」


「おはようございますお母様」


「朝食は食べたか?アシュトが言うには初日は学力テストやら模擬戦でやらでかなり忙しいようだ。しっかり食べないともたないわよ」


お母様はそう言った後にパンを口に入れ、それをワインで流す。


「はい、食べました。緊張していてあまり喉を通らなかったですけど」


「緊張してんのか。新しい生活が始まるからか?それともアルベインの小僧と毎日いれるからか?」


アルベインって聞いた瞬間にエリザの顔が赤くなり、視線を下げる。

その一瞬を突いてブランカはレイピアを抜き、エリザに向かって突きを繰り出した。

エリザは瞬時にそれをかわし、太ももに隠していたダガーを取り、構える。


「お母様!ドレスに穴が開いたらどうするんですか?今日のためにお父様が用意してくれたドレスですよ」


「知らぬ。構えろエリザ。稽古だ」


「もう〜」


エリザはドレスを脱ぐとその下には動きやすい膝が隠れるくらいのズボンと体にフィットした皮鎧を身につけていた。

ブランカは玄関前に飾ってあるレイピアを取り出し、エリザに渡すと稽古が始まる。


お母様との稽古はいつも真剣だ。

刃のない剣を使っても本当の戦いの訓練にならないからとのこと。

何度もドレスを台無しにされている。

ただ、お母様は私自身を切ったことは一度もない。

それだけ卓越した剣術をお母様は操る。

この数年である程度打ち合えるようにはなったが、それでも差は歴然だ。

でも、お母様が言うのには私には剣術の才能があるらしい。

私は戦うのはあんまり好きじゃないんだけどな。


30分ほど打ち合ったが、相変わらず全然話にならない。

お母様は強すぎる。

お父様も言っていた。剣術だけならお母様の方が強いって。

ミレニアムナイトを除いた王国の中でも上位らしい。

そんなお母様と互角に打ち合えるオラベラはやはりすごいな。


「はぁはぁ」


「どうした?もう息が上がってきたのか?情けないぞエリザ」


「す、すみませんお母様。昨日あまり寝れてなくて、調子がよくありません」


「だから何だと言うんだ。戦いは常に自分が調子がいいときにできるものじゃないぞ。むしろその逆の方が多い。自分の調子が悪いときの戦い方を学ぶのも生き残るために必要だ」


「はぁ、はい。お母様」


剣術を含め、お母様はどこでこんなことを学んだのだろう?

十五歳にもなるがお母様の過去についてはほぼ知らない。

お父様と海で出会って恋をしたことくらいしかわからない。


「と言っても、これ以上やると遅れてしまうな。体を拭いたらすぐに出るぞ」


「はい、わかりました。ありがとうございました」


その後、お母様と私は馬車に乗りミレニアム学園に向かった。

本当はお父様も一緒に行くはずだったのだけれど、昨年起きたレッド・サークルとの戦争の影響でまだレッド・サークルの海域に残っているのだ。


レッド・サークル、五十年程前までは幻の国と言われていた島国だ。

それがレッド・デーモンという極悪人のせいでミレニアム協定国家連合の国々と戦争をした。

ただし、戦争を仕組んだのがそのレッド・デーモンだとわかったレッド・サークルとミレニアム協定国家連合は和解し、どちら側も犯人のレッド・デーモンの処罰のみを求めた。

その他にもいろいろと和解には条件があったようだが、お父様のおかげでレッド・サークルとミレニアム協定国家連合との間に不可侵条約が結ばれた。

さすがお父様。

だが、そのせいで不測の事態に備え、レッド・サークルと唯一良好な関係を築いているお父様はレッド・サークルの海域に残らなければいけなくなり、今日この場にいることができなかった。


お父様はミレニアム学園の卒業生で、自分のクラスをクラス対抗戦で優勝に導き、首席で卒業した学園のレジェンドだ。

そのため学園についてはいろいろと聞かされており、お父様とは、私が学園に入学できたらの話を何度もしていた。

お父様にはここにいて欲しかった。

でも仕方ない、仕方ないんだ。


「そんなに悲しい顔をしていたらアシュトが悲しむぞ」


「す、すみません。ただ、お父様にはここにいて欲しかったってどうしても思ってしまい…」


「この場にはいないけど、アシュトはオマエのことを想っている。今もエリザのことで頭がいっぱいなのだろう。エリザがミレニアム学園生になることを誰よりも喜んでたからなアシュトは」


「はは、そうですよね。合格通知が来たとき私よりも喜んでいましたよね」


「ああ、そうだな。その日はアシュトは大喜びで、夜になっても喜びが収まらず激しく抱かれた。久々に朝までやったからなあの日は」


エリザの顔がトマトのように赤くなった。


「まだこういう話になれんのかエリザは。もう十五だろう?しかもこの後、親がいない、なんでもできる環境。すぐに経験することになるぞ。そのため何度もイロハを教えてやろうというのにその度に断りやがって」


「いいですって。私はそういうことはしません」


「アルベインの小僧に求められてもかい?」


「そ、それは…」


「ほらきた。アルベインの小僧でそうなっているんなら危ういぞ。エリザの住む世界は狭い。今までちゃんとした男を知ってこなかった。アルベインの小僧よりいい男なんてすぐに見つかるぜ。とくにあの化け物の巣窟の学園ではな」


「違う。他の男なんてどうでもいい。私はサムエルが好き!」


「ふはははは。はっきり言いやがった」


エリザの顔がまた赤くなる。


「も、もうやめてよお母さん」


「あんなガキのどこを好きになったんだがわからねぇな。いつも何を考えてるかわからねぇ、何事もやる気がねぇ、音楽しか才能がない、そしてその音楽でさえも真面目にやっていねぇ。私はそいつのことは全くもって認めてないからな。ただの遊び相手ならともかく、オマエを託す男としてあやつはダメだ」


「サムエルも頑張ってるよ。音楽も、た、多分他のことも」


「どうだかな。圧倒的な才能がありながらもオマエに追いつかれ、今ではオマエの方が音楽家としても評価が高いではないか。そんなやつを頑張ってると言えるのか?」


「頑張ってるよ。サムエルはただ自分の道を探しているだけなの。見つかったらお母さんだけじゃない。世界が驚くよ。彼を一番近くで見てきた私だからわかる。サムエルは誰よりもすごい」


「ふ〜ん、どうだか。ともかくそのすごさがわかるまではオマエをあいつに預ける気はない。お互いの家が中が良かろうと、同じ五大貴族であろうとも関係ない。わかるなエリザ?」


「は、はい」


お母様はサムエルに厳しい。

でも大丈夫。近いうちにみんながサムエルの凄さを知ることになる。

それよりも問題はそうなったときにサムエルが私を選んでくれるかどうか。

私はそっちの方が自信がない。

今までは幼馴染でほぼ独り占めできたけど今後はそのようには行かない。

多くの子がサムエルに目をつけることだろう。

だから頑張らないと、サムエルに選ばれるように頑張らないと。

困ったらアンジェリカお姉さんに手伝ってもらおう。

て、手伝ってくれるよね?


「アシュトが戻ってきたらすぐに連絡を入れる。帰れるときに帰ってきなさい」


「お父様そろそろ戻れそうなんですか?」


「数日前にレッド・デーモンが捕まっただろう?それでレッド・サークルとミレニアム協定国家連合の一番の脅威は取り払われたからな。このままなにもなければアシュトにも帰還の命が下るはずだ」


「よかった。お父様が戻ってきたら学園に許可をとってすぐに会いにきます」


「ああ、そうしな」


レッド・デーモン。世界大戦以降、最も大きな戦争を引き起こした人物。

世界の希望と呼ばれ、ミレニアムマスターへの昇格が間近と言われていたトミー・ボイルズを殺害し、歴戦の猛者であるミレニアムマスター、フェデリコ・ロッチャーを打倒した男。

あの世界最強と言われるミレニアム騎士団のナイトとマスターを彼らが絶対に負けるはずのない一対一での勝負で破った男、レッド・デーモン。

しかし、彼は卒業を数日後に控えた『最強の世代』の四人のミレニアム学園生によって捕らえられた。

マーシャル・ゲラー、リリエ、ロビン、バルニー。

その四人組は殺害されたトミー・ボイルズの教え子だった。

自分たちの先生の仇を討ち、世界指名手配犯一位の男を捕まえたことで、彼らは英雄となった。

各新聞社はその快挙を報じ、瞬く間に「レッド・デーモン捕縛」のニュースは世界に広がった。

ミレニアム協定国家連合の国々は歓喜し、昨年に始まった大きな事件は幕を下ろした。


…はずである。少なくとも、世界はそう信じている。

ただ、お母様が新聞で、そのニュースを読んだときにこう言った。


「あいつが捕まるわけねぇだろうが、馬鹿どもが」


まるでレッド・デーモンを知っているかのような言い方だった。

詳しく聞きたかったが、お母様はそういうことを私に教えることはない。

だからあの言葉の意味は今でもわからないままだ。


しばらくすると馬車はミレニアム学園に到着し、執事が荷物を下ろしている間に大親友のアラベラを見つけた。


「エリザ」

「アラベラ」


「いよいよだね」


「うん。楽しみ楽しみ。オラベラは?」


「まだ見てないけど、王様も女王も来ると言ってたからすごく目立つはずよ」


二人で話しているとセントラム王国大将軍マルクス・グリフィンが先頭に立って進む王家の一団が見えた。

しばらく待つとオラベラが馬車から出てきて、私たちは急いで彼女の元へ向かったのだった。



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― 新着の感想 ―
モロwww もののけ姫の姫登場
ガビとサンくっついてほしい!そしてアラベラとその魔獣たちの学園生活早くみたいな! エリザ頑張れ〜!彼女のこれからも気になる!
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