プロローグ:運命の囁き
この世界の運命は決まっている。
このままであれば結末は変わらない。
そして我々はこの世界に大きな変化をもたらすことが禁じられている。
それはなぜか?
この運命になったのは我々のせいだからだ。
我々は関わってはいけないことと関わった。
やってはいけないことをやった。
本来の我々の存在理由から外れた。
故にこれ以上の悲劇を出さないために世界に大きな変化を与えない程度で自由に遊ぶことになった。
世界に大きな変化をもたらすものとは何か?
難しい質問である。
意図的でなくとも我々の行いは世界に変化をもたらす。
その行い自体は大きな変化を与えなくとも、その行いを元に大きな変化が生まれたことは1度や2度じゃない。
だが、我々に聞いても我々の行いは大きな変化を及ばさない程度のものだったと答える。
我々はの多くは”嘘”という罪を持たない。故に本当にそう思ってることだろう。
だが、我々の中に”嘘”という罪を持つものも現れた。
そういう我々に聞けば、そうだと思ってなくとも、そうだと答えてることが可能となる。
だが、我々にはその区別の判断はできない。
この世界の運命は決まっている。
このままであれば結末は変わらない。
そして我々はこの世界に大きな変化をもたらすことが禁じられている。
そのため我々の多くは残されたわずかな時間を楽しんでいる。
そのためか近頃は我々は多くの機会に姿を現した。
前は頑なにそうしなかったのに。
今まで彼らと関わりを持たなかった我々も近頃では彼らと関わるようになった。
その関わりでどれだけの意図しない変化がもたらされるのだろう。
その関わりでどれだけの意図する変化がもたらされるのだろう。
だが、我々にその計算はできない。
この世界の運命は決まっている。
このままであれば結末は変わらない。
そして我々はこの世界に大きな変化をもたらすことが禁じられている。
だが、我は意図してこの世界に変化をもたらそうとしている。
自分が司る力を駆使して世界に変化をもたらそうとしている。
赤き破滅が確定している世界に変化をもたらそうとしている。
決められた運命から脱しようとしている。
我々に知られれば我は怪しまれるだろう。
そうなれば我々による裁判が行われ、嘘という罪を持たぬ我は裁かれるだろう。
裁きを受けた我はかのものが受けた同じ運命か、よりひどい結末を迎えることだろう。
それでも我は我々に立ち向かい、彼らに手を貸すとしよう。
我々がもたらしたこの破滅から彼らが生き残る道を模索しよう。
そのためには見つけねば我と共にこの危険な道を歩む彼らを。