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2話 魔王の腹心

初めて御息女様の悲鳴のような泣き声を聞くことになった。

魔王様が勢いよく扉を破壊しなければ、事の重大さに気づけず、転移が間に合わなくなり、

御息女様のしっぽは、再生できなかったかもしれない。


冷や汗が止まらなかった、


そのしっぽは、獣族、一部の魔族に生えている劣悪な尾とは全く違う。

それらと比べるなんて、不適切極まる。


このしっぽこそが、魔王と言われる由縁

象徴でもある。

それが、切れることを、未然に防げなかった。

私の落ち度であり、注意不足である。

この首一つで足りるだろうか、

「アトル」

「はっ!」

「何なりとお申し付けくださいませ。アスタルト・ゼヌニム様」


産まれた直後に控えてた緑髪のお姉さん。

今見たら上半身は人、下半身は蛇だ。

あのときは、生まれたばかりだし、目もほぼみえなかったし、しょうがないよね。

しかもあの後以降部屋にこなかったし、


「この責任どうとる?」

「私の首一つでお許しください」

この首一つで家を守れるなら。


なんか、雰囲気まずくね。

嗚咽もとまらん。


「んっ///」


え…


まるで見せつけるように行われた。

舌と舌を絡め合わせ、

ゼヌニムのしっぽがアトルのお腹あたりにくるまり、

先端が、スカーフをめくり下に入っていく。


「ぷは//」


なんで今、キスすんだよ。


「この場は娘の教育の場として」

「これで勘弁しといてやろう」

「寛大な配慮に感謝いたします」


トルテカコ・アトルは、へたれこんでしまった。


次失敗すれば今度こそ自分の命はないだろう。


彼女は魔王の娘の教育指導者けん、城の結界魔法の使い手として雇われていた。

もともとは結界魔法のみだったのだが、ゼヌニムの計らいにより、

2歳からの娘の教育指導者として、もう一仕事やってもらおうと思ったのだ。


小さな村で、先生となり村の子供らに、

魔族としての基礎言語、常識を教えていた。

だが、おおまかな収益は、この村に大規模の認識阻害の結界を張ることだった、

畑や農場も含めると、へんぴな村といえどかなり大きかった、

少なくとも、その大きさの結界魔法を巡らせるのに6人の魔法使いが、維持するのに2人必要だった。

しかし、それらを一人でやってのけたである。


その結界は芸術的な美しさをしていた。


ゼヌニムがなぜ認識阻害の結界内にいる、アトルと会えたのか、それは、たまたまである。


たまたま、クーデターをした村を潰しにに行ったとき、

他の協同してるであろう村を、探しているなか、

一枚見知らぬ村の地図を、みつけた。

それが、アトルの村だ。

なぜアトルの村が、見つからなかった理由は、魔王軍の地図作成の裏にあった。


毎回クーデターを起こす村をさら地にするので、

地形が変わる、そのたび地図も変わるのだ。

だから見つからなかった。

途中で、アトルの村が、結界でおおわれてしまい認識できなくなったのだろう。

簡単な理由だ。


そしてゼヌニムはアトル欲しさに魔王軍の結界魔法の使いてらを村に六人渡した。

これでもおつりがくるほどアトルは凄かった。


なんなんだいまのは、

凄く眼福ではあったが、違うだろ。

8ヶ月の俺になに見せてんだ、

今じゃねーだろとか、思ってたら。


そのしっぽが。なにやら、光っていた。


瞬間。


光で目の前が、見えなくなる。

目がチカチカしてるなか、気がつけば。

母親の下半身が、蛇になっていた。


嗚咽は止まった、


これが魔王、アスタルト・ゼヌニムの能力、

しっぽを媒体とし模倣する能力、

相手の粘膜体液に触れることで模倣できる。

その対象の生殖器からでる体液が、もっとも純度の高い模倣を可能にする。

次点で唾液、血液、その他(汗など)

の順に高い模倣が可能である。


アトルは内心びっくりしていた。噂には聞いていた魔王の能力、この能力ただの体を真似るだけのコピーではないことは、一瞬で理解できた。


瞬間。

アトルの結界内からもう一枚結界があらわれた。


アトルもこれはよく知っている。

知っているどころではない、トルテカコ家に伝わる秘技の一つだ。

アトルは、驚愕した。 

秘技が使えるだけに驚愕したのではない。

範囲だけではなく、魔力消費も私のと比べるまでもなく強化されていたのだ。

ただ私が知っている。

秘技 光輝く感覚(スクルプトーリス)

範囲内にいる味方の魔力の底上げなのだが。

それとは、少し違うような気がした。


あれ?痛みがなくなったし、

というか力がみなぎってくるような。

あっ、立てた。歩けるかも。


御息女様が立った。立ったのである。

それだけではない、歩きもしだした。

まだ、一歩一歩丁寧にしか歩けなさそうだが、歩けるようになったのだ。

先ほどの事件を忘れたかのように、魔王様が喜んでいた。


ひとまずこれで一安心、一件落着と言ったところでしょうか。


あれからさらに4ヶ月、

ここ異世界に生まれ落ち1年がたとうとしていた。

最近やたら母親が、同じ言葉を連呼するようになった。

「母様、母様」

まねしてみるか。

「かぁたぁま」

お、喜んだ。

自分に、指をさして喜んでいた。

日本語で言うところの、ママみたいな感じか?

指をさして「んっ」とか「あっ」って言うといろいろ教えてくれる。

例えば、最近やたらよく来るようになった緑髪の蛇の姉さん。

母様に顔を向け指をさすと、

「アトル」

って言ってたので多分名前だろう。

そういえば俺の名前はなんだろう。

今度自分に指でもさしてみるか?

そういえば父様は半年ほどみてないが何をしているのだろうか。


最近御息女様が指をさしてあれやこれやを聞いてくる。

結界のおかげか、少し成長が早くなっているのだろうか。

良い兆しである。

魔王様も母様と呼ばれ、とても喜ばれていた。

私もアトルと呼んでもらいたい。

なんならお姉さんって呼んでもらいたい。

恐れ多くてそんなの教えられないが。


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