13話 勇者、魔王の娘に剣を教える
今日は秘技を習うらしい。
少しだが、予測をたてることはできた。
魔法とはまったく違うものではないことはわかる。
詠唱よりも呪文に近いものなのかもしれない、
確認をしようと思ったのに。
俺に秘技を撃ってきたご本人は、いつも通りぐっすり眠っている。
羨ましい限りだ。
と昨日の話を聞かなかったら、そう思えただろう。
勇者は何を教えてくれるのだろう。
そういうば父様は、剣を学べと言っていた。
もしかして剣に関係している秘技なのか、
剣で思い出した、あの書斎にも2本の剣が、
置いてあった。
点と点が繋がるような気がした。
いつも通りニアを起こし、勇者のところに行った。
朝から今日も素振りをしている。
「おはようございます」
「リリス、おはよう」
「ニャ」
「ニアもおはよう」
ニアは眠そうだった。
「今日からよろしくお願いします」
「お願いしますにゃ」
「うん、いい返事だ。朝からその活力は凄く大事だぞ」
「秘技に、ついて詳しくお願いします」
「そうだね」
「まずは秘技と族秘技の違いを説明しよう。秘技は、一般的な家名を持っている者に伝わっている技となるが、族秘技は、その族の長とその血が繋がっている子供にしか使えない」
秘技は家名に伝わっている技、配偶者も使えるのだろうか。
族秘技は長と子供しか使えない。
なんで族秘技だけ配偶者も使えないんだ、
情報漏洩防止のためにか、
「勇者、なぜ族秘技は長とその血筋の子のみなのでしょう」
「それは、神からの呪縛のようなものだと思う」
神か、一体なんなのだろう。
そいつら、
そういえば神がいる情報なんてなんで知っているんだ。
族の候補者しか知らされないと母様は言っていた。
「呪いですか。」
「似たようなものかもね、族の継続を絶対にしたいのだろう」
呪いなのだろうか、メリットが大きすぎるような気がする。
「族が逃げ出したらどうなるのでしょう」
死ぬこともあるだろうか。
「未だかつてそんな事象は、起こったことがないから、わからないね」
「ありがとうございます」
「いいよ、これが僕の役目だからね、なんでも聞いて」
この間ニアは暇そうに飛んでいる蝶を、目で追っかけていた、
絶対聞いてなかったな、ニア
「じゃ、剣の稽古をしていこう」
「とは言っても、僕は翼天一刀流しか教えられないけどね」
翼天一刀流、
一般的な剣術から、双刀、抜刀まで幅広く学ぶ。
生きることに力を注ぐ剣術だ。
「あの、私の族技と剣術関係があるのでしょうか」
「うん、ないかもしれないね。族技は他の秘技や魔法よりも、隙ができやすい、それを剣術でカバーするんだ。だから君の父さんは、僕に剣を教えて貰おうとおもったのだろうね」
なるほど、俺に族技はまだ早いと思われたのかもしれない。だから勇者のところで剣を学ぶのだ。
確かに、ニアも詠唱中、魔法に対処できていなかった。
弱点を一つ減らすための剣術、
「ニアも剣を持つの」
「うん、持たせるよ。未来、剣を使わなくても、
対処に困らないようにさせたいからね。」
こうして剣の修行が、始まった。
「まず常の構えからだ」
これは正面で剣を持つ構え方だ、よく剣道とかで見る構え方をしている。
剣先が自分の目線の先を向いている。
「次、轟の構え」
常の構えから剣を、上げるだけだ。
「振り下ろす、剣先をぶらすな」
今はその2つを使い、めんとでも言いそうな素振りをしている。
「限界までするように」
「にやぁ」
ニアは、200回で音を上げた。
「はぁ、はぁ、」
俺はというと300回だ、ニアとあまり変わらない。
筋トレしてるというのに、
しかも手に豆が出来て痛い、
「今から一つ型を教える」
「翼の構えだ」
飛ぶ斬撃でもあたえるのだろうか
片足を後ろに引き、引いた足の反対の体をすこし前にだす。後ろに剣先が地面を向くようにし、相手に刀の刀身、長さを悟らせにくくする構え方。
「この構えは横、前の敵に斬撃を与えやすくできるので覚えていくように」
こんな感じで午前は剣技を、午後は模擬戦をする。
この模擬戦は好きなように戦ってよい、
「初め」
「ニア、かかってきなさい」
ニアは勇者相手に怯んでいた。
「では僕からいくよ」
勇者は剣を、振り落とした。ニアにギリギリ当たらないように、風は吹いていないのにニアの髪は凄く揺れていた。
「ダート」
ニアは、しょっぱな泥の魔法を顔にめがけて使った。
勇者は華麗に避けた、
族秘技を使った。
体には雷がまとわれており、
四足歩行の体勢に。
いつもと違うのは、
左手に短剣が握られていた。
ただこの短剣練習用の木刀のなかに錘が入ってるやつだ。
「きしゃぁあ」
まず1回目左手の短剣で首を、
突き刺そとする。
木刀でミアの左手を叩く。
だが、痛みに耐え、
族秘技を繰り出した。
地面を蹴り、1メートルは浮いていた。
2回目は右手の爪で、
勇者の顔を狙ったが、
失敗
木刀でミアを吹っ飛ばした。
ミアは受け身をとり、体勢を立て直す。
「ここまで」
勇者は言う。
「ミアの短剣を使うという発想も、泥の目隠しも発想は良い。明日は短剣の練習をしてみよう、族秘技と相性の良い組み合わせも考えてみよう」
「わかったにゃ」
次は俺の番だ、どう戦うか、もうミアとの戦闘は前に見られている。フロストノヴァは見られている、いや一つだけあった、メタスタ、転移の魔法だ。これを駆使したら、もしかしたらあるかもしれない。
「初め」
勇者のかけ声の合図とともに剣を持つ。左手を構え、しっぽの魔力を意識して、
「グロウ」
この魔法は手元を、光らせるぐらいの魔法だが、
しっぽの能力を、解放した今は閃光なみに眩しい、
目を潰した。
「メタスタ」
転移の魔法で後ろに周る。
後ろは、ガラ空きだ、
翼の構えを使い、
剣を振り切る、
瞬間勇者は翼の構えで、俺の剣を弾き飛ばした。
なんで後ろバレたんだ。
「メタスタ」
間合いをとった。
少なくとも10mは離れいる場所に、
「ウインドウェイ」
瞬間その間合いは縮まる。
急いで次の魔法を
「アイスクル」
氷魔法で盾を作る。
轟の構え。
勇者の剣が、降りかかってきた。
瞬間盾が、壊れた。
クソしっぽの魔力を、使えば、
頭に勇者の木刀が、当たる。
コーンと言う音を立てた
「うっ、」
涙目になった。痛いものは痛い
「あっ、ごめん。手加減したつもりなんだけど」
ヤバいちょっと速度間違えた。
「大丈夫です」
明日、同じ目に合わせてやる
「ではここまで、」
「リリスは組み合わせは上手くできている、けど決定打がかけているね、明日いろいろ決定打になりそうな魔法を教えてあげよう」
「そうですね。私もそう思いました」
いつも通りニアと、ご飯を食べ、お風呂に入り、寝た。
今朝からずっと考えてしまう、あの勇者を、倒すにはどうするべきか。
例えば、
アイスクルを、たくさん打つ。
絶対全部斬り落とすでしょ。
化け物め。
これは、
ウォーターボールで上手く足元を濡らす、そこからフロストノヴァ、足止めできるかな。
なんか氷潰して歩きだしそう。
あ〜勝てるビジョンが見えない。
そういえば、雷か、もしかしたら
「ライトエレクトリック」なら
今日も午前は素振りと、常の構え、轟の構え、
翼の構えをした。
今日の午後は昨日負けた反省と作戦の練り直しの時間になった。
いい案が出れば、戦って良いことになっている。
「勇者、戦いなさい」
「今日は意気込みが凄いね」
もちろんだ。雷なら化け物の勇者を倒せると思ったからな。
「初め」
「フロストノヴァ」
しっぽの魔力4分の1、フロストノヴァ
これは前の俺なら5回今の俺なら6回分はある
「やるね」
内心勇者はびっくりしていた。
ここまでのフロストノヴァは久々にみたからだ。
「メタスタ」
前よりも早く
勇者の右腹部の近くにワープ、そこから、
「ウインド」
勇者の顔に向けて風圧で剣を、飛ばす。
しっぽ魔力4分の1を使った。
それなりのスピード剣を投げる速度の3倍くらいは速くなった。
勇者は投げた剣を剣で弾き返した。
チェックメイト、
勇者のお腹に手をあて、
「ライトエレクトリック」
一応しっぽの魔力は使わなかった。
ライトエレクトリック、アトルが、苦手な雷魔法だ。確かに少し体が痺れるきがしたが、あまり気にはならなかった。
勇者倒れたりか、
勇者は少しそり返った。
「ふぅ、やるねぇ」
その顔は心底嬉しそうだった。
「ライトエレ」
「ウインド」
嘘だ、風と剣で飛ばされた。
2度も、負けた。
「凄く惜しかったよ、そうだね、多分怪我させないよう魔力を抑えてくれたんだね、ありがとう」
「でも僕は勇者だ。本気でかかってきなさい」
「君の、本気で死なないことを約束しよう」
初めて勇者のことを、恐ろしいと思った。
ただ、何度負けても、勝てるまで挑みたくなってしまった。
その後ニアも戦っていたが昨日と同じ負け方をしていた。