12話 城塞都市
ニアが寝静まったころ、昨日のことを思い出していた。
獣秘技、普通の魔法よりも長い詠唱をすることによって、発動する、魔法なのか。
今のところ魔法で分かっていることは、魔法の名をいうと上手く具現化する、魔法名の省略、詠唱破棄は不完全な形か、なにも起こらないという結果になる。1回出したらそれを消すことはできない。そして体から離れたら操作が効かない。の4つだろうか。
ニアが使っていた四足幻獣、体に雷をまとわせ火力をあげる魔法なのかな。
そのおかげで、俺の氷魔法を潰せていた。
一度使ったら雷は消えていたが、それは今、持続する魔力がないだけなのか、1回きりの必殺技的なものなのだろうか。
そもそも秘技とはなんだ。
その種族だけが使える魔法、いや技なんだろうか。
母様も父様も聞けば教えてくれそうだが、今はいないし、
う〜ん、なんだろうか。
明日勇者か本人に聞けばいいか。
朝になり、ニアを起こした。
「起きて、ニア」
わぁ、ザッ猫だ。丸まってる。
「リリス、朝早いにゃ」
ニアは、朝が弱いのだろうか。
目を開けず、返事をしていた。
「今から走りに行きます」
「一緒に、行きましょう」
凄くいやそうな顔を、していた。
「私の、日課なんです。付き合ってください」
この世界では魔法を、無効化する奴らがいるらしい。見たことはないけど。
魔法が無効化されて逃げれなかったら、己の身体一つでしか生き残れない。
俺は生き残るために走る、力をつけようと思った。
この世界で死ぬのは嫌だ。前世なら全然よかったのだがな。
やりたいことも沢山あるし。だからこの世界では筋肉を育てるのだ。
「ウォーター」
飛び起きた
「ウォーターボールは勘弁にゃ」
「ごめん。言ってみただけ、撃ったりはしない」
「心臓に悪いにゃ」
なんだろう、なぜこの生き物に加虐心をくすぶれられるのだろうか。
凄く意地悪を、したくなってしまう。
不憫なことが似合うのだろう。
顔を洗って外に出た。
勇者は素振りを、していた。
朝からはやいな。俺も結構早く起きたと思ったのに。
「おはよう。ニア、リリスちゃん」
「リリスで良いですよ、朝が早いのですね」
「分かった。今からリリスと呼ばせてもらおう」
「それとこれは僕の日課だからね」
まめな男である。あっちの世界だったら毎日夏休みの日記を書いていそうな人であった。
もちろん俺は最終日に仮想の夏休みを作るが。
「リリスとニアは、こんな朝早くどうしなんだい」
「寝れなかったかい」
「私は日課のランニングです」
「ニアは、珍しいね」
「にゃ」
ニアは少し上を向いてた。
「ちょうどいい、ランニングついでに人族の街でも行ってみようか」
人族の街か。俺魔族だしニアは獣族なのだが、大丈夫なのだろうか。
走りながら聞いていた。
「私魔族、なんだけど」
「大丈夫、ここ数年は君の父さんの頑張りによって魔族嫌いは少ないよ、街の人からしたらいいお客さんだからね逆もしかりだけど」
「君の父さんは凄いよ、200年ぶりの交易を復活させたからね」
200年前何があったのだろう。
そういえば、父様が人族との会合で何かしていることは知っていたが、貿易のことだったとは。
「魔族は人族に、鉱石や木材などの資材を提供し、人族は主に野菜や家畜などの食べ物を提供してるんだ」
「今はどっちの族にとっても大事な相手だね」
戦争したり、交易したり、本当に忙し世界だ。
まぁ、あっちも同じようなものだけど。
距離として2キロ弱だろうか。
城の壁が見えてきた。
高さは6メートル弱厚さは3メートルぐらいだろうか。
屈強な門番が4人いた。
全員槍を持っていった。
「勇者さまお久ぶりでございます」
「そうですね」
「そこのお二人は」
そんなにジロジロ見るなよ照れるだろが。
「僕の連れさ」
「中に入ってもいいかい」
「はい、ここに名前を書き、お金をお支払い頂ければ、いつも通り滞在の時間と理由もお書きください」
小さな紙を渡されていた。
入国審査みたいだ、警備は見た目にはんしそこまで厳しいみたいなわけではなかった。
「おじちゃん」
「なんだい」
「魔族は怖くないの」
「最初はね、でもあんまり人と感性は変わらないからね、民は馴れてきたね」
「もともと交流自体はあったし、最近それが大きくなっただけで」
もともと交流はあったのか。
「行くよ二人とも」
「にゃ」
「分かりました」
おぉ、これが城塞都市、アニメでしか見たことなかったが生で見ると圧巻だ
「ここが城塞都市カルタンマヤ」
家の城も凄いと思っていたが別ベクトルの凄さ。
酒屋、冒険者協会、異世界定番のなにが置いていても違和感は、ないだろう。
あの城を中心に栄えている感じだ、
「凄い壮観です」
いろんな、出店が並んでいた。
「ここで少し食べ歩きでもするか」
「肉にゃ」
「はい」
ニアは肉串ばっかり食べていた。
まぁ、そんな俺も沢山食べてしまった。
「美味しいにゃ」
「本当に塩加減が最高です」
肉の筋はちゃんと処理されており、食べやすい。
肉自体は結構硬いタスマニアビーフぐらい、
少し顎を使うが逆にそれがいい。
肉の旨味が噛めば噛むほどでてくる。
「ではご飯もとったことだし、少しお店でもみて行こうか」
「はい」
「にゃ」
服屋に目が着いてしまった。
「そういえばニアが服を、汚しちゃったね」
「にゃ、ごめんなの」
「もう良いですよ、私もやり返したのですから同罪です」
「ニアも服少ないから買い足そうか」
「ニャ」
「リリスも好きなの選びな」
「ニャこれだ」
古着屋にありそうな。虎柄の服を、持ってきた。
「え、センス、ないよ」
「いや、着てみるにゃ、似合うと思う」
馬鹿にしてんのかコイツと思ったが目を輝かせていたので本気なのだろう。
「主人見るにゃ」
その主人は吹き出していた。
そして値段を見てドン引きであった。
あっちの世界では20000円ぐらいだろうか。
「ニアは、こっちの方が似合う」
「白のワンピースお揃いにしよ」
えぇ、という顔をしていた、
「普通にゃ」
「元がいいんだから、普通でもいいの」
「これでお願いします」
「ありがとう」
心の底からそう思った勇者であった、
「こっちのセリフではないでしょうか」
いろいろ回っていたら、もう夕方になっていた。
一日は本当に早く終わる気づいたら終わっている、
1年も気づいたら終わっているのだ。
寿命で死ぬ時も気づいたら死んでいるのだろうか。
いや死んだら気づけないか。
「今日は沢山ありがとうございました」
「いいんだよ、これが大人の役目だからね」
本当にいいやつだ。そりゃ父様と母様もコルネも気にかけるわけだ。
「こっちこそお礼をいいたいぐらいだ。ニアの友人になってくれて、常識ま教えてくれる」
「いえ、ニアといると楽しいので私も感謝しています」
父様には本当に感謝しないとな、
父様がこの場を用意してくれていなかったら、ニアとも人族のことも分からなかった。
「それと父様にも感謝です」
「そうだね、この件を作ってくれたらからね、僕もまたお礼をしないとな」
家につき、今日もニアとお風呂に入った。
「ねぇ、ニア、四足幻獣ってあれどうやったの」
「分かんにゃい」
え、分かんないわけないだろ、
「なんであぁ、なるのかは分かんにゃい」
そういう意味の分からないらしい。
「どこで教えてもらったの」
「母さんにゃ」
「どんな人だった」
絶対美人ではあるのは確定だが、性格は終わっていそうだ。
「獣族の長をしてたにゃ」
え、いや、え、
母さん、廻る七の会合が始まるより先に族な長の友達?になれました。
「ニアもここに勉強しにきたの」
「捨てられたニャ」
ふぁ、なんてこったい、そんなことするか普通、いやここは普通が普通じゃない世界だから仕方ない。
「言いたくなかったら、いいけど理由が」
「私は弱いニャ、双子の弟に負けて席を取られたそれだけにゃ」
「だから秘技も一つしか知らにゃい、どっちにも秘技、四足幻獣を教えて強い方が長に、なりもう一人は、適当に捨てられる、でも母さんは優しいから勇者に、預けたのにゃ」
「それにまだ挽回の余地はあるにゃ」
「14歳、廻る七の会合で勝った方が長に、なれるにゃでも、戦わずに、勇者のところで幸せになりにゃとも言われたにゃ」
そうかだからあの時泣いていたのか。
「なら勝とうよ、負けたままで終わるのって嫌だもんね」
「そうにゃ、14になるまでに凄く強くなるにゃ」
「リリスにももう負けないにゃ」
俺も負けないが、母様の前で恥を晒したくない
「私は1度も負けません」
「その顔に泥を塗ってあげるにゃ」
もう、塗られたよ、
泥。
そのままいつも通り髪を乾かしてあげて勇者のところにいった。
「主人、明日から修行頑張るにゃ」
「あぁ、もちろんだ」
勇者は嬉しそうにしていた。
「あの、秘技について教えてもらってもいいですか」
「なんですか、秘技って」
勇者は真面目な顔に戻りいった。
「族長の直属の子のみが使える技さ」
「今回の修行はね、リリス、君に秘技を覚えて貰うために作ってくれた時間なんだ」
え、なんで勇者が、教えるんだよ、
それに秘技って、直属のみだろ。
母様から直属に教わればいいじゃないか。
「言いたいことは分かるがとりあえず明日詳しく話そう」
「今日は疲れたろう。ニアと一緒に、寝なさい」
「分かりました」
明日から本格的になりそうだ、