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9話 ヘイトは私に任しなさい

ヘイトとは、敵の注意を自分に注ぐことである。

その注意をそそいでいる間に他の仲間が連携し、敵を倒す、他にも仲間が傷を負ったときそれを回復する時間を作るために、使う。連携がとれるパーティーだったらよくやる技法の一つだ。


ようは前衛の基礎である。


「リリスちゃん、ヘイトってなにか知ってる」


知ってるもなにも俺はFPSでやってたからな、

よく知っているともさ、

ヘイト管理、どこらへんがこの世界と違うのかわからないが、

だがあえて俺はこう答える。


「分かりません」


普通4歳児が知っているわけねぇだろ。


「そうですか、魔王ちゃんとか、メグレズに聞いてるのかと思いました」


この世界、異世界で普通じゃなかったわ。

でも聞いたことがなかったな。

そもそもさっき、父様と母様が元勇者パーティーだったって知ったばかりだよ。


「今日初めて、父様と母様が冒険をしていたのを知りました」

「てっきり言ってるのかと思いましたが、勇者君ともまだ仲直りできてないですもんね」


母様なにをしたんだ、まぁ、寝込みを襲ったとかそんなところか、そんな気がする。


「まぁ、それではヘイトについて教えますが、全魔術とりあえずは使えるらしいですね」

「それなら魔術面では特に教えることはないですね」

「魔術って、」

「あ、魔法のことです」

「人間は魔術って言ってます」

人族と魔族で言い方が違うのか。

知らなかった。

まだ4歳だし、しょうがないね。

うん、4歳だもん、

「それでは具体的に教えていきます」

「そんな、難しいことではないのです、魔物を狩りやすくするために、1人囮になるのですよ。それがヘイトです。他にも仲間が魔物から傷を受けたら回復する時間をとったりもします」

「上手くやるコツですが、音、光、を使ったり、前戦にでます、後は適当に魔物に向かって魔法を撃ったり、斬りにかかればよいでしょう」

「それで倒せたら御の字です」


「他に質問はありますか」

「いえ、大丈夫です」


この世界も似たようなものだった、要は死なずに敵の注意を引けばいいのだ。

だが1番死にそうな、役でもある。

この世界、治しやすいと言っても即死なんかは治せないはず、死霊術や死者の蘇生はもっての他だろう。多分だけど、


「なんで、そんな危ない役に回ったのですか、お姉ちゃんは」

「成り行きとそうですね、私しか適任がいなかったからです」


「君の父様は体術はからっきしダメですし、魔王ちゃんは当時猫被っていましたので普通の魔術師だと思っていました。勇者君は体が小さく奇襲が上手かったので私がやっていましたね」


猫を被っていた母様、清楚系ビッチじゃねぇか。

とんでもないことを聞いたような気がする。

知れば知るほど母様のイメージが崩れる。

いやもともとあってなかったものか、

今の清楚感もアトルで完全になくなった。


「座学だけで、ごめんね、本当は実践で教えたかったのだけれど」

「さすがに魔物が出るところに4歳は連れていけないや」


「大丈夫ですお姉ちゃん説明が上手かったので実践でも使えそうです」


急な魔物の戦いとか嫌すぎる。もっと強くなって余裕になってからがいい。

俺は初めの草むらである程度育成してからメインのシナリオを進める派なのだ。


「そうですか。それは良かったです」


細目すぎて前が見えているのか気になる


「ではそうですね、お外にいきましょう」

「鎌の使い方を見せて上げます」

「すっごく、楽しみです」

その顔は凄く嬉しそうだった。


俺も凄く嬉しい。


ふたりともニコニコで外に出ていった。


いつもの校庭のグラウンドみたいな場所にでてきた


「この鎌は、外側と内側どちらも刃がついているので触っては行けませんよ」

「はい、お姉ちゃん」

「実は、この鎌を使うと魔力を減らされるのですよ。その代わり切れ味が良くなります」

「そういう能力持ちの剣です」


だから背中に担いでいたのか手で持つと魔力を吸われるから。

能力持ちの剣、魔剣とか勇者の剣とかだろうか。


「魔力で使う剣です。略して魔剣と呼ばれます。この世界はですね。魔法だけが強いのではないのです。リリスちゃんは剣の素質もあります、魔王ちゃんと一緒です」


剣士と魔法使い差はどのくらいあるのだろうか

母様が剣をもっているところなんて見たことないが

一つだけ思い当たる節がある。

しっぽが切れた事件、あれは凄く痛かった。

あの2本の剣も魔剣なのかもしれない。

母様が使っていたものだったものかも


「だからリリスちゃん、これからいろんなことを覚えていきましょう」

「はい、お姉ちゃん」


「ではこの魔剣、鎌之助の本分見せていきます」


鎌之助、もっといい名前はなかったのだろうか。


「その魔剣の名前って決まっているのですか」

「うん、所有者が決めていいことになっているよ」

鎌之助…


「ではお披露目です」

「よ、鎌之助」

ちょっと言ってみた

「なんです、それ」

「マイブームみたいな」

ツッコまれると恥ずかしい

「変な掛け声ですね」


笑われてしまったが良いだろう、お姉ちゃんの笑顔をこの恥ずかしさで買えたのだ安いものだ。


「ではいきます」


そこらに生えている木で試し切りをするようだ。

高さは1メートルくらいの小さな木

フォォンという風を斬る音と一緒に木が抉れていた。

根本の幹のみ残っていた

スプーンで掬うかのような軽さで抉っていた。

多分風の魔法が付与されていると思う。

感でしかないが。


「これが魔剣の力です、普通の鎌じゃまず無理でしょうねこんなことするのは」


「魔剣ってどこにあるのですか」

欲しいそんなの欲しいに決まってるよ。

「売ってたりするよ、すっごく高いけどね、まぁ、1番は遺跡やらダンジョンやらで見つけることがおすすめかな。私は勇者達との旅で遺跡を攻略する依頼を受けたときに見つけた。魔力消費激しいからあんまり使えてないけどね」 


うわぁ、行くしかないなダンジョンと遺跡、そんなの集めたいに決まってるだろうが。 

ただ死ぬかも。と思うとやる気がメリメリなくなって行くが。


「1回だけ振ってもいいですか」

「魔力は大丈夫ですか、結構使いますよ」

どれくらい魔力消費を使うのだろう

「初級魔法何回分ですか」

「20回かな」

余裕だ。しっぽの魔力分今の俺には鎌25振りはできるだろう。

「魔力的には大丈夫です」

「え、凄い、さすが魔王ちゃんの娘」

本当に凄いと思う。そんなのこの年齢で、そんなのできるの龍族とか天翼族とかしかできないよ。

「1回だけです」

「さすがに危ないのでね」

本当は1回だけでも危ないから使わせたくないのですが、いずれ魔剣を握ることになるでしょう魔力を吸われるということを体験するには良いことです。


もしかしたら怒られるかもしれないがあることをやってみようと思う。気づいてしまったのだから、まぁできたらだが、この鎌あるところに行くまで魔力が吸われ続けるのだが、その途中で吸うのを辞めるのだ。


まだ、お前吸えるよな、


と思ってしまった。


「リリスちゃんごめん、それ重いよね大丈夫」

「結構軽いですので大丈夫です」

木刀に鉄芯を入れたやつより少し重いぐらい、問題はない、

そして案の定、魔力はまだ送れることに気づいた

これで二回分の魔力を注げた。

怖くなりここで辞めてしまった。

あれ、これって魔剣に自分の魔力貯めることできるんじゃないか、


「この魔剣って振るわなかったら魔力の貯蔵とかもできるのお姉ちゃん」

「できると思うけど毎回魔力を空にしないと予期せぬ時に発動するのは怖いじゃない、だから私はやらないよ」 


銃の扱いと似てるような気がする


「では斬ります」

ゴォォンという音とともに木が完全になくなった。

残っているのは幹だけだった。 

「リリスちゃんなにをやったのかな」 

その笑顔は凄く引き攣っていた。


何が起きたのか私には理解できなかった。ただ、リリスちゃんやらかしたことだけは直感が言っていた。

明らかに私の一撃よりも殺傷力が違いすぎる


「ごめんなさい、魔力をまだ吸いたそうに、してたから」

泣くか泣くべきか、げんこつ一発ですんだらましかな。

「いや、リリスちゃんは悪くないよ。ちゃんと魔剣の能力を把握しきれなかった私のせいだよ、こちらこそごめんね、責めたみたいなっちゃったね」


ギュっと抱きついてきた。

ふわっといい匂いがした、

花の香りだ。

俺が男だったら起立間違いなしだろう。

ただ今は、その相棒がいないのだが。


「大丈夫です、びっくりしただけです」

「うわんごめんね」

お姉ちゃんこそ泣きそうだ。

「良かったよ怪我なくて」

今度から余計なことは聞いてからしよう。

本当に心からそのことを体に刻んだ。


一部のことを父様と母様に、話していた。 


「ということが、あって、ごめんなさい、危険に晒しちゃいました。」


「怪我がないそれで良いではないか」

「悪気が、あったわけでもない、それにその鎌を調べ尽くせなかった我々にも責任はあるそうだろ我が夫よ」

「そうだな」

これは絶対許すべきという、合図なのだろう、

「母様、父様ごめんなさい、勝手に多めに魔力をこめました」

「何か学べたか」

父様が聞いてくる

冷や汗が、でてきた

「あっ、何かする時は事前に確認してからやります」

「そうか」

膝をつき、両肩を持って言った。

「お前は凄い、この魔剣の、能力を一つ見つけたんだ、」

「我々にもできなかったこと」

「しかも、今回ダメだったことも学べた」

「凄いぞ。頑張ったな」

「ただ今回の一件を絶対忘れぬように」

「はい、父様」

涙袋に熱いものが貯まっていた。

こぼしはしなかったが。


俺は一瞬本気で叱ろうと思った、だけどあまりにも怯えていたので、褒めてしまった。ダメな父親だ。

叱るときには叱らないといけないのにな。



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