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不適合者の生存闘争  作者: リン
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序章――不適合者

――不適合者。


そう呼ばれる者たちがいつから存在しているのか定かではない。呪いを受け、太陽に嫌われた、夜に生きる者たち。

いつの時代も人から蔑まれ、迫害され、人間未満の扱いを受けてきた。

彼らは人間社会にとって害でしかなく、見つけ次第”駆除”するべきだというのが常人の共通認識であり、それはどれだけ時代が進んでも変わることはなかった。

そんな長い迫害の歴史の中で多くの犠牲者を出しながら、彼らは生き残りをかけて戦い続け、結果として三つの生存戦略を確立した。


一、一人で行動する。


二、決して普通の人間に危害を加えない。


三、月の祝福の力を鍛え続ける。


生存戦略一。


まず不適合者は数が人間に比べて圧倒的に少ない。現代の都市化によって都市に人口が集中する社会になる前では、一つの街に一人いるかいないかであり、群れたところで大して常人には抵抗ができなかった。

そもそも不適合者にとって、常人に見つかることは死に等しいことであり群れるメリットが少ない。

よって基本的に一人、もし群れるとしてもその数が二桁を超えることは絶対にありえない。


生存戦略二。


先ほども述べた通り、不適合者にとって常人に見つかることは死に等しい。なぜなら常人は不適合者を見つけると必ず街の自警団などに通報する。通報を受けた自警団はすぐに不適合者の追跡を行い、見つけ次第拘束する。拘束が困難な場合は処刑するというシステムのようなものが存在するからだ。

そんな中で見つかるだけではなく、常人に危害を加えてしまった場合。その不適合者を追跡するのは自警団ではない。




――対不適合者組織アインズ


現代ではアインズと呼ばれる対不適合者組織が彼らを追跡するが、過去にもこのような組織は存在した。それが軍なのか教会なのかそれ以外なのかは時代によって変わるが、不適合者専門の殺し屋であることに変わりはない。

アインズなどの対不適合者組織に目を付けられた不適合者はまず生き残れない。そのため、不適合者は絶対に常人には手を出さないのだ。




生存戦略三


不適合者は歴史上そのような苛烈な迫害に合い続けてきた。

それでもなお絶滅することなく、今もなお存在しているには理由がある。

不適合者とは呪いを受け、太陽に嫌われた夜に生きる者たち。

不適合者は生まれたときからそうであるわけではない。彼らは常人として生まれ、常人として生きる。その人生の途中に呪いを受け、不適合者になる。

その呪いを受けた人物は太陽に嫌われる。つまり、日が出ている間は活動をすることができない。だが吸血鬼などのように日光を浴びて死ぬなどということはない。ただ大幅に能力を削られる。生まれたての不適合者ならば日が出ている間は動くことすらできない。これは太陽が出ている間は常に当てはまり、日光の届かない地下や屋内に身を潜めていても関係ない。

これでは対不適合者組織から逃げるどころではなく、もちろんただの常人にすら敵わない。

そこで彼らは月の祝福を使う。


――月の祝福


それは不適合者が呪いを受けると同時に手に入れる力。

その力は千差万別であり、常人も使う剣術や弓術などをより強力にするものもあれば、魔法や魔術などの常人には使うことのできないものもある。

月の祝福による力を鍛え続けることによって、不適合者は常人との戦闘技術と、太陽への耐性を得る。

しかし大抵の不適合者はその力をものにする前に常人によって殺される。

それでも生き残り、その力を極めた不適合者はほとんど常人に見つかることはない。


この三つが生存戦略として確立した現代では、昔ほどの犠牲者は出なくなったものの、現代でも不適合者は見つかれば殺されるということには変わりない。


そんな厳しい世界で風変わりな魔法を使う不適合者がいた。

名前を月宮 正人(つきみや まさと)

これはそんな彼と不適合者の闘争の物語。

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