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ほのぼの異世界旅  作者: ねむねむしぐれ
一章 魔王討伐の旅
6/15

5 言質は取らせていただいてますので。

今日は予定があるので、明日分の投稿はなしです。多分

『「じゃあ、ロリータファッション、やってみない?」

 「んんぅ、バニーをやるくらいなら...」』


「ということなので、観念して?」

「リリー、それは卑怯じゃん!?」


 ギルドで発行した、半透明のカード。あれにはなんと、「録音機能」が付いていた。

 ついでにナビや検索機能もあった。地球のスマホ的な感覚で使えるのは嬉しい。


「よーし、飾り付けちゃお!」

「だーかーらー!」


 嫌がり、抵抗するイレイヴを引き摺りながら、良さそうな洋服店を探す。

 十数分の探索の末、候補は一つのブティックに絞られた。

 ぷんすか怒っているイレイヴは、何処か幼く、可愛い少女にしか見えない。

 そう言えば、何歳なんだろ?


「イレイヴって、何歳?」

「えーと、確か...17だったかな?途中から数えるのがめんどくさくなって」


 おお、御座なりな一面も。まあ、俺も今は年齢不詳だし?

 それにしても、17かぁ。まだ高校生じゃん。JKってやつ?

 モダンな街並みにロリータファッションとか、絵になりそうだな。



********************



「飾り付けタイム!」


 小洒落た店に入った俺たちは、試着室を陣取ると、気になった洋服を両手いっぱいに収集してきた。勿論、相手に着せるためのものを、だ。

 白いレンガに黒樫の木材?で建てられた店内の様子は、高級感こそあるが、堅苦しさを感じさせない。

 照明は淡いオレンジ色で、この場の雰囲気を引き立てている。前世は、女の子と、こんな場所で洋服に囲まれるとは思いもしなかったな。


「まずはこれ。パールホワイトのワンピースにニーソックス。帽子はこのハンチング」

「...はじめの2つはまだ分かるよ?でも、このハンチングはちょっと...」

「可愛いは度胸!それ」


 ガバっと、帽子をイレイヴの頭に被せる。

 その帽子は白基調の布地に黒いレースがアクセントになっている。そして、頭頂部にぴょこんと2つの突起物があった。


「にゃ~んって言ってみてっ!」


 そう、それは猫耳帽子なのだ。

 両手を頬に近づけ、手首をくいっと曲げる。上目遣いをして、試すような視線を送る。


「絶っっっ体に嫌!!」

「えー」


 全力で断られてしまった。

 見たかったなー、白猫ちゃん。


「まあ、取り敢えず着てみて」

「うう、仕方ないわね...」


 弁明しておきます。何か、罰ゲームみたいだけど、同意に基づいて行われている行為ですからね!


 何せ、周りから少し疑いの視線が射すようになってきたので、肩身が狭い想いをしているのだ。

 止めてくれ、コミュ障の俺にはその視線が効く。


――ザー


 試着室のカーテンが開かれた。

 そこから、花の少女に恥じないファッションのイレイヴが姿を現...さなかった。

 カーテンの影に身を潜めてしまったのだ。


「イレイヴ、出ておいでぇー」

「嫌。恥ずかしいから」


 とは言っても、しっかり着てるじゃないっすか。背後の鏡で全部見てまっせ。


「鏡」

「...きゃあ!」

「かわい~よぉ」

「もう止めてよっ!」


 ふふふ、俺の推測どおりだ。白い肌と、パールホワイトのワンピースは相性バッチリだ。

 オリーブアッシュの髪も、帽子のアクセントと調和して、全体的な印象から外れない、完璧な塩梅。

 やはり、俺には才能があるみたいだ。


「にゃ~ん?」


 再び猫のポーズで挑発してみる。


「うう、もう!やれば良いんでしょ、やればっ!」


 顔を真っ赤にしたイレイヴは、お決まりの、猫のポーズをする。


「...にゃあ」

「カ ワ イ イ !」


 パシャパシャとシャッターを切る。

 実はギルドカード、カメラ機能も付いてるんだよな。


「やめて~!黒歴史になる!」

「ダイジョブ、オールライト!一生大切にするし、誰にも譲らないから!」

「ダイジョバないやつじゃんそれ!」


 俺、こう見えて口は堅いぞー。

 安心しなされ。からかうかも知れないけど、広まることはないから。


「ふふー、次は...」

「ちょっと待った!次はリリーの番だからね」

「ふぇ?」


 忘れてた、俺も着るのか。


「私もとっておきのやつ選んだからね」

「タノシミダナー」


 コスプレ系かえっちなやつが来る予感。

 イレイヴは、ハンガーにかけられた衣服を手渡す。


「じゃーん。どう?」


 絶句した。


「...これ、着るの?」

「も ち ろ ん !」

「うぅ...」


 皆様、お察しの通りのものが来ましたよ。


「リリー、出てきてよ」

「む、無理。人目に付いた時点で人生終了するから...」


 俺は先程のイレイヴのように、カーテンにくるまっている。勿論、鏡に映らないように、文字通り、くるまっている。見かけは当にイモムシだ。立場が逆転してしまった。

 対して、イレイヴは満面の笑みだ。やり返すなんて、卑怯だぞ!日本は仕返しを禁止する法律があるんだぞー!あ、此処日本じゃないわ。


「大丈夫だって!」

「やめてぇっ!」


 何重にも巻いて、ひょっこりと顔だけ出していたのだが、くるくる回されて、段々と防御壁が薄くなる。嫌だぁ!

 ついに、この姿を世に曝け出してしまったのだ。

 ...少女趣味の水着姿を。


「うぅ、イレイヴのえっち」

「ありがとうございます」

「へ?」


 感謝された。やばい、性癖を拗らせてしまったようだ。


「こんなの、唯の布切れじゃん!」


 水着は、碧がかった布切れと言っても問題ないほどの面積しか、身体を隠せていない。

 構造はツーピースで、どちらも、申し訳程度にしか肌を覆っていない。映画なんかで、モザイクをかけるべき場所以外隠せていないのだ。

 トップスの方には、白っぽい薄いレースが付いているが、スケスケで、あってもなくても変わらない気がする。

 胸元には赤いリボンが可愛らしく結ばれている。そして、ひらひらしたレースやリボンは、幼さを強調している。


「下着姿と何ら変わりないし、寒いよ!」


 室内はクーラーも効いていて、冷風が素肌を撫でる度に凍えさせられる。

 お願いですから、もう着替えていいですか?イレイヴ様。


「やっぱり、絵になるなぁ。幼い顔立ちに、ふんわりとした白緑のショートヘア。それを引き立てる赤いリボンや白いレース。碧がかった水着は肌の白さを際立たせる。人間国宝級の美しさだよ!」

「こんな人間国宝はいやっ!それに、撮影禁止!」


 パシャパシャとシャッターを切られるのは、心に特大ダメージが...

 もう勘弁してぇー。



********************



「どっと疲れた...」

「奇遇ね。私もよ」


 店を出た頃には、既に日は暮れ、満天の星空が広がっていた。

 空気がきれいなのか、鮮明に星は輝いている。

 睡魔も最高潮を迎えている。


「眠いよぉ」

「ホテルにでも泊まる?そこに良さそうなところが...」

「あれは絶対ダメ!」


 イレイヴが指差していたのは、そういうホテルだった。

 無知って怖い。


「ほ、ほら、あっちにもホテルはあるから...」

「そう?じゃ、そっちにしよっか」


 セーフ。ギリギリ回避!

 ってか、異世界のホテルって、どんなんなんだろ。

 ホテルの前に着くと、宣伝用の看板を覗き込む。

 どうやら、魔法がかけられた温泉が有名で、入る者の疲れをあっという間に癒やすらしい。

 凄いな、魔法。それに、美肌効果や血行の促進も見込めるようだ。

 温泉旅館だし、卓球はあるかな?


――温泉。

 やらかした。俺、女湯に入らねばならんのか。

 申し訳ないから避けたいのだけれど、男湯に入るわけにもいかないからな。(そっちのほうが騒ぎになる)

 心を無にすることにしよう。


 扉を開くと、来客を知らせる鐘が、チリンチリンと音を奏でる。


「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

「ええ。空室はあるかしら」

「はい、305号室が空いております。泊まっていかれますか?」


 当然のように同室の流れ。他に部屋もなさそうだし、仕方ないんだけど、無理かなぁ。

 もういっそ、男友達だと思い込むことにしようか。

 お風呂上がりには軽く巻いただけのパーマもとれるだろうし、リボンなんて付けて寝ないよね。

 そんなことを考えているうちに、チェックインは終わったようだ。


「こちらがお部屋の鍵になります。夕食は今から1時間後となりますので、時間になったら食堂へお越しください」

「ありがとうございます。行こう、リリー」

「はーい」


 俺の理性が持ちますように。

tx!:)

ありがとうございます(╹◡╹)

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