第十三話
捜索開始から二時間も経てば、既にドル研の部室はものぐさが住むワンルームがごとき様相を呈していた。
とにかくモノが多すぎる。年代物の洋画DVDから漫画、ボードゲーム、カビの生えた教科書、パーティーグッズ、安物のアクセサリー、十年以上前に発売された据え置きゲーム機、とっくに干からびたメイクセットなどなど。
既に足の踏み場もわずかとなってしまったが、それなりの収穫もあった。
「んー……このサイズやったら……ちょっと厳しかかな?」
「サイズ感はだいたい同じくらいだと思います。胸がちょっと……キツいかもですね」
ビニールカバーから取り出した衣装の丈を、四条のボディラインに合わせる音海が言った。
「うーん……こればっかりは我慢するしかなかね」
たはは、と困った顔で笑う四条。
一方で音海はといえば、眼前に実る豊満な双丘に息を呑んでいる様子だった。いろいろな面で対照的な二人組である。
ちなみに見つかった衣装は五着で、すべて同じデザインだった。セーラー服をモチーフとしているようで、濃紺の襟に白いラインが二本走っている。胸当てはなく、リボンは着脱式で、きちんと五色に分かれている。
全体的に丈が短く、激しい動きをすればへそチラぐらいわけないだろう。最近の流行りはロング丈の清純派アイドルだったりするが、先代はどうやらアグレッシブな系統だったらしい。
「ばってん、さすがにかなり痛んどうね」
「最後に使われたのも、もうだいぶ前でしょうし……」
経った年月を考えれば奇跡的な保存状態だったとも言えるが、相当に色あせているのは素人目に見ても明らかだ。
「アンティークってやつだろ? 結構なもんじゃねぇか」
CDの束をいくつも積み上げていた日暮が、衣装を見物する二人に振り返った。
「そんなにいいものじゃなかばい」
「はい……本来ならぞうきん行きですね」
「そんな夢のないこと言うなよお前ら……歴代の汗と涙が詰まってるんだからよぉ!」
「「…………」」
無言のまま一歩、二歩と後ずさる音海&四条。相変わらず発言にモラルがない奴だ。
「日暮、作業のほうはどうなんだ?」
見かねた俺が声を掛けてやると、日暮はお目当ての三枚を誇らしげに掲げてみせた。
「ああ、ちゃんと見つかったぜ。我らドル研のオリジナルソングだ」