旅の始まり
ラージュはやっと意識を取り戻した。地はえぐれ、クレーターの様になり、リベリト村の原型すらすでに残っていなかった。
「一体何が……?」
ラージュは目の前のことを信じられず呆然としていた。
俺の親父は?母は?
「みんな……みんな、うわぁぁあああああ」
ラージュは気づくと叫んでいた。
一通り落ち着いたラージュは少女と男から自己紹介を受けた。
青い髪の毛の彼女の名前はリーシア、魔剣の巫女というお役目を持っているらしい。
そして鍛え抜かれた男はネイバー、大きな剣を担ぎ、何もしていなくても覇気を感じ圧倒されてしまう。
「あなた達と俺はどうして生き残ったんですか?」
ラージュは今、ただそれだけが知りたかった、いや知っても何にもならないだろうと言うこと、それはわかるが聞かずにはいられなかった。
「それは私たちにもわからないのです」
リーシアも困ったように答えるしかできない。
「リーシア様、ラージュ君。そんなことをしている場合ではありません、夜になったら魔物が現れます。早く町か村へ向かった方がいいでしょう」
ネイバーがそんな二人の話に割って入る。
「ラージュさん、申し訳ないですが話の続きは町に行ってからにしましょう、ここにいてもわからないことだらけです」
実際リーシアの言うようにラージュもここにいては何もわからないそう判断した。
「わかりました、とりあえず……町に行きましょう」
ラージュもそう言いうなずいた。
村があとかあとかたもなく吹き飛んだが、食糧庫の地下の食料はかろうじて無事に残っていたのではいしゃくしてきた。
奇跡的にリーシアとネイバーの持ち物も無事だったという。
それから三日が過ぎた。
道中で弱い魔物に何度か遭遇したが、ラージュでは太刀打ちできず、ネイバーとリーシアが撃退してくれた。
ネイバーはもちろん戦えるとわかっていたが、リーシアは不思議な術で水を操り戦った。
正直言って、リーシアが戦えることにショックを覚えた。
そして今、ラージュは初めての町、ラファンにたどり着いた。